忘れたとは言わせない の商品レビュー
14歳だった少年が罪を犯したとして地元を離れたが23年後戻って来た。慌てて実家を後にする彼と、バスルームで発見された父親の刺殺体。彼が殺したのか?その土地で生まれ育った女性警察官・エイラが捜査にあたるが疑わしい過去が掘り起こされていく。初めて読んだ北欧ミステリ。スウェーデンで数々...
14歳だった少年が罪を犯したとして地元を離れたが23年後戻って来た。慌てて実家を後にする彼と、バスルームで発見された父親の刺殺体。彼が殺したのか?その土地で生まれ育った女性警察官・エイラが捜査にあたるが疑わしい過去が掘り起こされていく。初めて読んだ北欧ミステリ。スウェーデンで数々の文学賞を受賞した作品らしいがとても面白かった。老人の死から23年前の事件の真相に繋がる過程が読み応えを感じた。真相に近付いた時のエイラの葛藤も理解出来る。警察の杜撰な捜査で人生を変えられた彼が最後まで気の毒ではあったかな。
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スウェーデンの北からストックホルムへ、自動車を運ぶ仕事をしているウーロフは久しぶりに実家に寄ってみると、父親が浴室で死んでいた。実はウーロフは23年前、14才の時に16才のニーナを殺したとして刑に服し出てきた、という過去があった。クラムフォシュ署の警察官補のエイラは捜査に赴くが、...
スウェーデンの北からストックホルムへ、自動車を運ぶ仕事をしているウーロフは久しぶりに実家に寄ってみると、父親が浴室で死んでいた。実はウーロフは23年前、14才の時に16才のニーナを殺したとして刑に服し出てきた、という過去があった。クラムフォシュ署の警察官補のエイラは捜査に赴くが、そこは自身の育った地域に近い所だった。そして近所の住人はさらに前の事件に、そして自身の家族さえもが23年前の事件とのつながりが見えてくる。 クラムフォシュはスウェーデン北部地方で、にぎやかなところではなく、数十年前は木材の切り出し工場がたくさんあったが、今は1つの工場が残るが機械化され過去の何倍もの製材をしている、そして昔は川で木材を流していた。また夏の明けない夜、冬の長い夜、など知り得ない高緯度地方の描写が興味深い。北欧小説に惹かれるのはここか。 事件そのものは、思ってもいない結末だった。事件は少年と少女の性の事件だが、著者のあとがきでは実際に起きた1985年の集団暴行事件や1998年の誘導自白をヒントに創作したとあった。 少年少女期の心情行動の残酷な一面が現れた事件ともいえる。少女殺害とされる事件は1996年に起き、その時ウーロフは14才とあるのでウーロフは1982年生まれ。事件が23年前とあるので現在時点は2019年。出版は2020年なので今現在を舞台に書いたことになる。 紙の地図帳とグーグルマップで検索しながら読んだが、本に簡単な地図をつけて欲しかったなあ。クラムフォシュは地図帳にもグーグルでも出てきたが、スウェーデン発音で出てこないところもあった。場所を分かって読みたいのだ。 トーヴェ・アステルダール:1960スウェーデンマルメ生まれ。2009年「海岸の女たち」でデビュー。本作で2020年度スウェーデン推理作家アカデミー最優秀長編賞、2021年のガラスの鍵賞受賞。 マルメで生まれ、ウメオとストックホルム郊外のヤコブスベリで幼少期を過ごす。高校卒業後ストックホルムの精神科病院に精神科専門看護師として勤務。20代半ばにフィンランドとの国境に近い北部の街カーリクスの学校でジャーナリズムを学ぶ。そこでのちに人気作家となるリザ・マークルンドと知り合い親交を深め、のちにマークルンドの作品のほぼ全作品の編集を行う。その後カーリクスの南方にある街ルレオに居を構えて、執筆活動を始める。フリーのジャーナリスト、テレビやラジオの番組編集者から始め、以後20年にわたって映画、テレビ、ラジオの脚本を書き続けた。20年近く前、オーダーレン地方に家を買う。 2020スウェーデン刊 2022.8.31初版 図書館
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※このレビューにはネタバレを含みます
北欧スウェーデンと言えば、美しい森と湖。オーロラ、白夜。「魔女の宅急便」に出てくるような綺麗な街並み。 そして手厚い福祉で幸福度も高いが、税金も高い国、というイメージ。 しかし、この小説では森も川もそして森、川を含んだ風景も、美しく綺麗には書かれていない。暗く全てを呑み込んでしまう恐ろしさを森や川、風景に感じてしまう。その森と川で起こった23年前のレイプ殺人事件。若い男達に、誘うように微笑みながら森の中に入っていくリーナ。他の男達にからかわれながらリーナの後を追う最年少14歳のウーロフ。この事件が、そして森や川が、この物語の全てを支配する。 物語の始まりはウーロフの父、スヴェン・ハーグストレームが殺されているところから。たまたま家に立ち寄ったウーロフが父の遺体を見付ける。しかしウーロフは23年前のレイプ殺人事件の加害者。つい逃げてしまうが、捕まる。読んでいるこっちは、ウーロフが犯人でないことだけはわかる。真犯人は誰か? この小説は所々で、レイプ犯に対して徹底した嫌悪、憎悪を描いている。レイプは許されない犯罪であり、許してはいけない犯罪でもある。しかし、だからと言って行きすぎな制裁をしてはならない。例えば刑期を終えた者が反省し静かに生涯を終えたいと思っているのに、有らぬ疑いを持ち、声高らかに「制裁を」と強調して叫ぶこと。 或いはレイプ犯の疑いある者を無理やり犯人にする冤罪。この小説は、それも描いている。 何はともあれ、次から次へと目紛るしく変わる展開。次々と出て来る新事実。そして一癖も二癖もある容疑者とその家族。煽る群衆と軽薄な若者達。真面目な普通の女性警部補である主人公と自分に影響がない範囲で主人公に同情的な同僚たち。これ等の登場人物たちは、見方によっては魅力的。 この小説は面白い。さすがスウェーデン推理作家アカデミー最優秀長篇賞、スカンジナヴィア推理作家協会ガラスの鍵賞W受賞作にして、米国でTVシリーズ化も決定している小説。久しぶりに海外のサスペンスを読んだが、後を引く面白さだった。
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23年前、当時14歳の少年だったウーロフはとある少女を暴行殺人した犯人とされた。 仕事中偶然立ち寄った故郷で、ウーロフはなんと実の父親の死体を発見してしまう。 ウーロフの昔の事件を知る地元の人間は、ウーロフが犯人と信じて疑わなかったが… その事件から始まり、次々と連鎖して明かされ...
23年前、当時14歳の少年だったウーロフはとある少女を暴行殺人した犯人とされた。 仕事中偶然立ち寄った故郷で、ウーロフはなんと実の父親の死体を発見してしまう。 ウーロフの昔の事件を知る地元の人間は、ウーロフが犯人と信じて疑わなかったが… その事件から始まり、次々と連鎖して明かされていく事実。 それを紐解いていく主人公で女性警部補のエイラ。 彼女は私生活では、認知症の母親と悩みながら暮らしていた。 次々と明るみにされていく過去は、現在は、柔らかい急所のようなもので、多く登場する人物たちの生い立ちと家庭の事情とやらだったりする。 事件と日常。 まるで相反するようなこれらが結びつく。 私たちの日常はいつ事件となるかもしれないし、ならないかもしれない。 そして人間というもの、人柄というものの不確かさのようなものも。 そう、仄かに思わせる物語だった。 緩やかすぎず激しすぎずの物語の起伏は、飽きがこず読み進めることができた。 シリーズものかぁ、エイラの今後が気になる気持ちがあるから、続きが出たら読んでみたいかも。
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展開がちょっと解りにくい点も散見するが、まあ続編は出るなら、とは思う。しかし、土地の位置関係がさっぱり。
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14歳の時、少女への暴行殺人容疑をかけられて以来、23年間寄り付かなかった生まれ故郷に、つい、立ち寄ってしまったウーロフ。 待っていたのは自宅で殺されていた父の姿。 主人公は警察官補のエイラ。 ウーロフと同郷で23年前は9歳だったが、地元をよく知るとして捜査に加わった。 当時...
14歳の時、少女への暴行殺人容疑をかけられて以来、23年間寄り付かなかった生まれ故郷に、つい、立ち寄ってしまったウーロフ。 待っていたのは自宅で殺されていた父の姿。 主人公は警察官補のエイラ。 ウーロフと同郷で23年前は9歳だったが、地元をよく知るとして捜査に加わった。 当時からから変わらない世間の事件に対する目、 小さな町で起こったことはすぐに広まり、互いにその見方を同調していく。 本当は、それぞれがそれぞれの事情で家庭で抱えている問題があり、それがこの事件を暗くして、探るにつれて醜く暴かれていく。 エイラは、警察官として捜査を進めるうちに23年前の事件に疑問を感じていく。 それは、仕事としてではなく、自分を覆っている、もやもやとしてつかみとれない衣をはがしていきたいという、欲望の表れのように感じる。 二転三転する展開は、予想している暇もないほどで450ページの物語も長くは感じない。 また、北欧ミステリーの「森と湖、夏の白夜と冬の暗さ」は土台となっているものの、他にみられるような社会問題に対する主張はそれほど強くない。 どちらかといえば、小さな集団の中での同調と排他的意識での息苦しさが、この物語を暗くしている。 真相が明るみになったその時、23年前14歳だったウーロフが犯した罪とされたものは、いったいなんだったのか……この事件そのものが違った意味を帯びてくる。 読み終わった後に、ポツリと残った余韻がいい。
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スウェーデンの田舎町。廃墟のようになった古い家の中で、そこに住む老人の遺体が発見される。発見者は隣人から不審者として通報された男。 しかし、警察が調査すると彼はその老人の息子で、23年前にこの街の森で行方不明になった少女リーナを殺害したとされるウーロフだった。 この街の警察官補と...
スウェーデンの田舎町。廃墟のようになった古い家の中で、そこに住む老人の遺体が発見される。発見者は隣人から不審者として通報された男。 しかし、警察が調査すると彼はその老人の息子で、23年前にこの街の森で行方不明になった少女リーナを殺害したとされるウーロフだった。 この街の警察官補として働く女性エイラは、23年前の事件が起きた時はまだ幼かったが、その事件のことはぼんやりと記憶していた。 かつて殺人を犯した少年、少年であったが故に正しい裁きを受けないまま、今度は父親を殺したと街はウーロフを犯人扱いするが、エイラたちが捜査を行ううちに、今回の事件どころか、23年前もウーロフは少女を殺していないのではないかという疑惑がで始める、、、、。 北欧ミステリーは日照時間が短く、冬は氷と雪に閉ざされるという、暗さ、冷たさが特徴。そして物語が淡々と進行していく。 ただ、今ひとつこの主人公のエイラに感情移入できない。冤罪ではないかと思われるウーロフにしても、途中で意識不明になり、物語の終わりの方まで回復しないので、冤罪を晴らそうとする盛り上がりみたいなものにも欠ける。 物語の終盤、残り100ページを切ったあたりで漸くリーナは生きているのでは?という調査が始まり、どこでリーナと遭遇するのか、誰がリーナなのか?という盛り上がりが少しあるのだが、、、。 この作品が評価されてアメリカでドラマ化されるらしいのだが、そこまで面白いかなあというのは正直な疑問。
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文章の読みづらさでなかなか読み進めることができなかったものの、内容は良かった。田舎町に住む人々の悲しみや陰影が丁寧に描かれていたのが良かった。読後感は意外と爽やか。
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北欧ミステリーなるジャンルの存在を初めて知る。 ごく狭い地域の中で起こっている事のようでそれでいて深遠なる時代を行き来しているようで。 曇天模様の下鬱蒼とした森林が広がる田舎町を思い浮かべながら。
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今まで図書館で適当に手に取って読んでみた中で、スウェーデンははずれが多かった中、これはまあまあ良かったです。刑事物。最近老人が死んで、たまたま息子が帰ってきた。あやしい。主人公は女刑事で、なんかロボみたいなんだよね、体力的にも精神的にも。どうもその故郷から逃げていた息子が冤罪っぽ...
今まで図書館で適当に手に取って読んでみた中で、スウェーデンははずれが多かった中、これはまあまあ良かったです。刑事物。最近老人が死んで、たまたま息子が帰ってきた。あやしい。主人公は女刑事で、なんかロボみたいなんだよね、体力的にも精神的にも。どうもその故郷から逃げていた息子が冤罪っぽ。しかも自分の兄ちゃんがあやしい?死んだはずの女実は生きてる?あらすじは複雑でなく読みやすいが、やはり死人のような主人公の行動と感情がちょっとホラーに感じた。もっと情緒不安定でいんだよ?
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