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レニーとマーゴで100歳 新潮クレスト・ブックス
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2022/01/31 |
JAN | 9784105901783 |
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レニーとマーゴで100歳
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商品レビュー
4.3
14件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
『レニーとマーゴで100歳』 著者 マリアンヌ・クローニン 訳者 村松 潔(むらまつきよし) 舞台は終始、英国グラスゴーの病院です。 病院スタッフに見つからない様にゴミ箱をあさり一通の手紙を拾う老婦人と、その場面に出会し起点を効かせて彼女を助ける少女との偶然の出逢い。 互いに印象的だった二人は、院内の高齢者向けのアートスクールで再会し、終末期医療を受ける17歳の少女レニーと83歳の老婦人マーゴの、二人合わせて100年分のストーリーを絵にするという共同制作が始まります。この素敵な思いつきは、少女レニーの提案です。 物語の中では、二人の人生が交互に語られていきます。マーゴの語る83年分の人生は(病院を飛び出して)、過去を一年一年描き出します。レニーはこれから続いたであろう人生の長い年数を、マーゴの語りの聞き手となることで、あるいは自分の経験のように感じていたのかもしれませんね。 結末がわかりきっているだけに、二人が生きてきた合わせて100年分の人生を、取りこぼさずに読み進めていきたくなります。 17歳のレニーはスウェーデン生まれ、7歳の時にイギリスのグラスゴーに移住します。複雑な家庭環境にあり、そして思春期で死に直面する彼女は、クールで、自分の考えを神父アーサーにぶつけていきます。周囲の人々に対しても、達観した見方をしていて少女とは思えないくらいですが、そうやって強がることで自分を維持しているようにも思えます。 マーゴとの出会いのシーンでは、起点を効かせる彼女の判断力、行動力がクールで可愛らしいです。 レニーのこれからの人生を、もっと知りたかったと思える魅力的な少女です。(周囲の人たちとしては、振り回されている間は大変でしょうけれど、笑) そして、老婦人のマーゴの83年分の人生。穏やかな雰囲気を感じさせる老婦人の想い出は、彼女の生きた時代を象徴するような出来事に翻弄され、信頼した女(ひと)を晩年になっても愛し続けている姿など、その起伏に富んだ人生が語られていきます。人生半ばからのちょっと個性的な(笑)天文学者との運命的とも言える出会いからは、穏やかで楽しい雰囲気があり微笑ましかったです。 病院の礼拝堂の神父アーサーとレニーのやり取りや、アートクラスの臨時雇いピッパの人生もクロスしながら、この本に深みを加えています。 そして。終盤は、やはり涙が溢れました。 60点の作品の完成を祝う会が開かれ、レニーは作品を鑑賞する周囲の人々の姿に対して、自分の葬式を見ているような感覚にとらわれます。〈わたしはもっとやりたかったのに。もっとたくさんのことをやりたかったのに。〉という、押し殺してきた感情が表現されています。それでも彼女は取り乱さず、その場から離れることで、心を落ち着ける行動を取ります。ともすれば、無神経にもその他の人々の様な行動をとってしまうかもしれない自分に、クールな少女レニーの行動はハッとさせられました。 最終話『マーゴのおやすみ』。一通の手紙が繋いだ二人の出逢いは、少女レニーが先立ち、マーゴもまた大手術を控えています。 レニーはぬいぐるみの豚のペニーをマーゴに残していました。怖がらなくてもいいようにと。 最後まで、互いへの思いやりが溢れていますね。 そして二人はそれぞれチケットを手に、人生のターミナルから旅立っていきました。 読み終えるのに時間がかかってしまいましたが、温かな気持ちが残っています。よい読書の時間でした。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 作者について。 あとがきに、『マリアンヌ・クローニンへのインタビュー』が記載されています。ここで、この本を書くのに六年あまりかかったこと、お気に入りの本のこと、泣かされた本のこと、笑わわされた本のことなどが語られています。訳者の松村潔さんのあとがきからも、この本の魅力がとてもよく伝わってきます。素敵な作品をありがとうございました。
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17歳の少女レニーと83歳のマーゴット、終末期患者の病棟で出会い、2人合わせて百歳であることを祝い、これまでのそれぞれの1年の思い出を語り1枚の絵に描く。命の終焉が迫っているにも関わらず、いや死を常に意識せざるを得ないからこそレニーもマーゴットも燃え尽きる前の蝋燭のように生き生き...
17歳の少女レニーと83歳のマーゴット、終末期患者の病棟で出会い、2人合わせて百歳であることを祝い、これまでのそれぞれの1年の思い出を語り1枚の絵に描く。命の終焉が迫っているにも関わらず、いや死を常に意識せざるを得ないからこそレニーもマーゴットも燃え尽きる前の蝋燭のように生き生きと輝きながら、人生という贈り物を友情と愛で鮮やかに彩る。 Your heart is beating and your eyes are seeing and your ears are hearing. You’re sitting in this room completely alive. And so you’re not dying. You’re living. 「あなたの心臓は動いているし、 目は見えているし、耳は聞こえている。あなたは完全に生きた状態でこの部屋に坐っている。だか ら、あなたは死にかけているわけじゃない。あなたは生きているのよ」
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最近読んだ外国文学3作品(「年年歳歳」「過去を売る男」と当作)はブクロクでの評価が高かったので楽しみに読んだのだけれど、やはり、とても良かった。良いと感じる物語は色々な要素を含んでいて、且つ、一つ一つの要素が深いので、読後に様々な感情が湧き上がってきてまとまりがつかなかったり、余...
最近読んだ外国文学3作品(「年年歳歳」「過去を売る男」と当作)はブクロクでの評価が高かったので楽しみに読んだのだけれど、やはり、とても良かった。良いと感じる物語は色々な要素を含んでいて、且つ、一つ一つの要素が深いので、読後に様々な感情が湧き上がってきてまとまりがつかなかったり、余韻に浸っていたかったりで、なかなか感想を書きにくい。 上質な物語に出会えたことに感謝。
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