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モダニティと自己アイデンティティ 後期近代における自己と社会 ちくま学芸文庫
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モダニティと自己アイデンティティ 後期近代における自己と社会 ちくま学芸文庫

アンソニー・ギデンズ(著者), 秋吉美都(訳者), 安藤太郎(訳者), 筒井淳也(訳者)

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モダニティと自己アイデンティティ 後期近代における自己と社会 ちくま学芸文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2021/08/12
JAN 9784480510631

モダニティと自己アイデンティティ

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商品レビュー

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2024/01/07

「再帰的」といい「内的準拠性」といい、社会学プロパー以外には馴染みにくい概念だ。近代は社会も人間も自分自身を反省しながら、繰り返し自らを作り変えていく。伝統社会にはないこの近代特有の性質が「再帰性」であり「内的準拠性」だ。反省は自分に帰ってくるから「再帰的」であり、反省の拠り所は...

「再帰的」といい「内的準拠性」といい、社会学プロパー以外には馴染みにくい概念だ。近代は社会も人間も自分自身を反省しながら、繰り返し自らを作り変えていく。伝統社会にはないこの近代特有の性質が「再帰性」であり「内的準拠性」だ。反省は自分に帰ってくるから「再帰的」であり、反省の拠り所は神や伝統といった自分の外にはなく、自分の内にしかないので「内的準拠」なのだ。 道具立ては手が込んでるが、本書はウェーバーが100年前に提起した合理化と意味喪失の問題を、人格(実存)にフォーカスした機能主義的システム論の枠組みで捉え直したものだ。言うまでもなく自由と実存的不安のジレンマは神を殺した近代の難題だ。ギデンズはなお近代への希望を捨てないが、自分らしい「ライフスタイル」の選択にアイデンティティ再建を託すのはあまりに楽観的だ。ギデンズも自覚するように、資本の論理に絡め取られるのがオチだろう。むろん、もはや世界が詰んでしまったという絶望の上に、よりましな世界の可能性の一つとしてならわからぬではない。 その限りにおいて、可能なるオプションとしては「伝統」も捨てたものではない。オプションであるからには「外的準拠点」にはなり得ない。だが分化した抽象的システムがローカルな世界を侵食しようとも、固有な時間と空間のナラティブとしての伝統は「小さな物語」くらいにはなる筈だ。その成否は伝統そのものよりも、伝統を支える人々の共同的な関わり合いにかかっている。これはライフスタイルの場合も同じだろう。本書にそうした視点が希薄なのは残念だ。実存的不安を個人主義的にとらえ過ぎている。 本書でありがたいのは訳者による充実した解題だ。単行本解題では初学者向けに本書の読み方を指南(細部に拘泥せず、ざっくりと4~7章を先に読め)した上で、本書の問題点を手際よく整理してくれる。文庫解題では原著出版以降の世界の変化をふまえて本書の議論の有効性を論じている。いずれも的確でとても参考になる。忙しい人は6、7章と二つの解題を読めばポイントはつかめる。

Posted by ブクログ

2022/07/11

どこまでが役に立つかよくわからなかったが、リスクの考えでは卒論の役には立つと想定される。  あとがきで、どこを読むようにと訳者が解説しているのでそれを先に読んでから読む方針をたてるとよいと思われる。

Posted by ブクログ

2021/12/21

 原著1991年刊。著者ギデンズはイギリスの社会学者。統計データの数値から傾向を見いだしていく実証的社会学ではなく、抽象的な概念操作で社会の様相を描き出そうとする、ニクラス・ルーマンに近いような理論社会学の本。  本書の文章はかなり読みにくい。独自の専門用語をかなり振り回している...

 原著1991年刊。著者ギデンズはイギリスの社会学者。統計データの数値から傾向を見いだしていく実証的社会学ではなく、抽象的な概念操作で社会の様相を描き出そうとする、ニクラス・ルーマンに近いような理論社会学の本。  本書の文章はかなり読みにくい。独自の専門用語をかなり振り回しているし、本来なら数冊の著書に書き分けるような広範な主題を1冊の中に凝縮しているため、ぎゅうぎゅうと詰め込まれた中身を目まぐるしく動き回っているので、読んでいて目が回る。  そもそも私は「アイデンティティ」という概念を中心に据えた考え方をまったく好きでない。一応エリクソンも読んでみたが、やはりその考え方に惹かれるところは全然無くて、拒否反応が心身に浮き出してきて苛々した。  そうした心理学的領域をコアにして、他者の哲学の著作などもしきりに言及し、社会学の域を超えつつさまざまな問題を論ずる。とはいえ著者が社会学者であることは変わりなく、哲学のように基礎概念を根本的に問い直していく工程は省かれているから、結局哲学にはなり得ない。哲学から始まって社会学的な概説に言説を広げたミシェル・フーコーとは逆の態様だが、著者ギデンズはしきりとフーコーを批判している。  実に多くのことをギデンズはここに書いているのだが、やはり、具体社会学の実証性を欠くために、リーマンと同様検証不可能な危うさがある。「アイデンティティ」やそれ系の概念郡をはじめとして、本書を読んでいて納得できない部分は多々あるが、それでも、沢山書かれたことのなかに「なるほど」と思わせる言説もしばしば見られた。特にこんにち世にはびこる「セラピー」についての分析に関しては、惹き付けられるものがあった。

Posted by ブクログ