さまよえるハプスブルク 捕虜たちが見た帝国の崩壊

大津留厚(著者)

• 販売会社／発売会社: 岩波書店
• 発売年月日: 2021/04/13
• JAN: 9784000614634

商品レビュー

2025/03/17

はじめに
- 第一次世界大戦と第二次世界大戦の関連性
- 1939年9月1日、第二次世界大戦が始まり、「第二次世界大戦」という言葉が初めて使用された。
- 一週間後、初めて「第一次世界大戦」という名称が登場。

- 第一次世界大戦の発端
- オーストリア・ハンガリー帝国がセルビアに宣戦布告したことがきっかけ。
- 1914年夏に開始され、協商国（セルビア、ロシア、イギリス、フランスなど）と中央同盟（オーストリア、ドイツ、オスマン帝国など）による全球規模の戦争。

戦争の影響とその評価
- 戦争の終結と新国家の誕生
- 1919年に開かれた講和会議では、オーストリア・ハンガリー帝国は存在しなくなっていた。
- 戦争はこの国にとって「最後の戦争」となり、作家カール・クラウスはこの戦争を「人類最後の日々」と呼んだ。

- 勝者と敗者の概念の再考
- クラウスによれば、戦争には明確な勝者も敗者もいなかった。利益のために引き起こされた戦争は、人類を焼き尽くした。

ハプスブルク帝国の崩壊
- 帝国の崩壊と民族国家の形成
- ハプスブルク帝国の崩壊は、ロシア帝国やオスマン帝国と共に旧体制の終焉を象徴。
- 新たな国民国家の成立は、ヨーロッパの他国でも同様に進行した。

- 地域における民族的統合のプロセス
- 同じ言語や文化を持つ人々が国家に統合される過程があり、これは多民族のモザイクであったハプスブルク帝国の解体と関連している。

欧州連合の形成とハプスブルク帝国の再評価
- 欧州連合の「保護者」としての役割
- ハプスブルク帝国の崩壊により、多くの地域がEUに加盟し、保護者としての役割を担うことに。

- 作家ローペルト・ムージルの視点
- ハプスブルク帝国を「カカーニエン」と呼び、その多様性と特異性を皮肉的に描写。

戦争の現実と捕虜の経験
- ユーラシア捕虜収容所群島
- 西北戦線と南西戦線に戦局が分かれ、戦争における捕虜の経験が語られる。

- 捕虜の生活と心理的影響
- 捕虜たちの生活は過酷で、彼らの精神状態に大きな影響を与えたことが記録されている。

結論
- 戦争の教訓と未来への期待
- ハプスブルク帝国の崩壊と第一次世界大戦の影響は、現代の国際関係や国家形成において重要な教訓を提供している。
- 戦争の悲劇を経て、再び人類が平和を選択することへの期待が込められている。