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クララとお日さま

カズオ・イシグロ(著者), 土屋政雄(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2021/03/02
JAN 9784152100061

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2024/05/06
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※このレビューにはネタバレを含みます

■全体的な印象 カズオ・イシグロの他作品の中では、本作は「わたしを離さないで」に印象が似ていると感じた。残酷な社会システムがあり、それが徐々に明らかになる展開が。また、社会に根付いてしまっているそのシステム変革することは諦めつつ、その中で人の心や記憶といったものをシステムには奪えない最後の尊厳として生きてゆく者たちを描いている点が。本作の世界では「向上措置」という生命のリスクを負う代わりに子どもの知能を向上させる遺伝子操作が行われており、処置をした子としない子の間に格差がある。また、AFという子どもの親友となるロボットが存在するが、人間とAFの間にも格差がある。未処置の子やAFは社会から見捨てられる運命にあり、それが「わたしを離さないで」の提供者と重なる。AFに特別な思いを持つ販売店の店長は、「わたしを離さないで」のマダムと重なる。 本作の舞台はアメリカのようであることが最後の方で出てくるが、正確にはよく分からない。また、明確に説明されない言葉が色々出てくる(AF、オブロン端末、クーティングズ・マシン、DS等)。翻訳が独特な単語もある(シャーピ鉛筆、ウィンドー等)。原文の英語で読むと何か分かるのかもしれない。 ■人工知能クララ 本作の語り手であるクララは人工知能である。人工知能が登場したりテーマとなったりする小説は多いし、人工知能が書いた小説もあると思う。しかし、人工知能が一人称の語り手となっている小説は初めて読んだ。クララは自分の感情を語るが、そもそも人工知能に感情はあるのか、感情の真似事を語っているだけなのではないかという疑問が生じる。カズオ・イシグロの得意技である「信頼できない語り手」の発展形だろうかと思う。 心が不安になると、クララの視界は断片化する。これも、人工知能に心などはなく、クララ自身の安全や目的遂行(ジョジーを守ることなど)に支障が生じた場合に、迅速に大量の情報を処理しようとしている状態と理解すべきなのかもしれない。 太陽光をエネルギーとするクララは、太陽に超自然的な働き(ジョジーの回復)を期待し祈る。人工知能の信仰のようであり興味深い。 ちなみに、巻末解説を読むとクララは子ども型のロボットとあり、子どもの親友となるべき存在として考えてみれば当然なのだが、私は何故か20代前半ぐらいのイメージで読んでいた。クララの姿が子どもと大人では大分印象が変わると思うので、もう一度子どものイメージで読んでみたい。ただ、姿が子どもだろうが大人だろうがクララは結局はロボットであり本質的な違いはないとも言える。それでも、姿によって印象が変わるというのはどういうことか。本作のテーマの一つに、「その人をその人をたらしめる特別な何かはあるのか」ということがあり、最後にクララは「それはその人の中ではなく、その人を愛する人々の中にある」と言う。クララの外見も、クララ自身の「特別な何か」というより、それによってクララを愛する人々(=読み手)の気持ちが変わるということかもしれない。

Posted by ブクログ

2024/05/03

悪者にされがちなAIだけれど、心優しく賢いAIも多分いるはず。 クララの献身は痛いほどで、ハッピーエンドだったのだけれどラストシーンは悲し過ぎる__自分が大切にしていたぬいぐるみ達を思い出してしまった。 多様な境遇にある人間にも、AIにも、草花やビルディングにも、平等に太陽の光は...

悪者にされがちなAIだけれど、心優しく賢いAIも多分いるはず。 クララの献身は痛いほどで、ハッピーエンドだったのだけれどラストシーンは悲し過ぎる__自分が大切にしていたぬいぐるみ達を思い出してしまった。 多様な境遇にある人間にも、AIにも、草花やビルディングにも、平等に太陽の光は降り注ぐ。

Posted by ブクログ

2024/04/30

未来小説、ユートピアでは決してないが、全くのディストピアでもない、ゾッとするような未来ではあるが、全く希望がないわけでもない未来。未来の人間のありようを描くというよりも、そうではなくて感情さえも持つようになったロボットのその感情を丁寧に描いている。そのことによって、人間の奥深い複...

未来小説、ユートピアでは決してないが、全くのディストピアでもない、ゾッとするような未来ではあるが、全く希望がないわけでもない未来。未来の人間のありようを描くというよりも、そうではなくて感情さえも持つようになったロボットのその感情を丁寧に描いている。そのことによって、人間の奥深い複雑な数値計算することがとうてい及ばない心模様を結果として映し出している。 数値計算と論理で全てを管理する社会においても、その範疇を超えた人間のありよう、それを把握できるのは、文学ではないか。文学が片隅に追いやられる風潮にある現代において、あらためて文学にお日さまの光を当てた作品だと思う。

Posted by ブクログ

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