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解放されたゴーレム 科学技術の不確実性について ちくま学芸文庫
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解放されたゴーレム 科学技術の不確実性について ちくま学芸文庫

H.コリンズ(著者), T.ピンチ(著者), 村上陽一郎(訳者), 平川秀幸(訳者)

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解放されたゴーレム 科学技術の不確実性について ちくま学芸文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2020/11/12
JAN 9784480510228

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商品レビュー

3.5

4件のお客様レビュー

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2025/05/13

科学技術と付き合う上で考慮しなければいけない点を具体的な事例に沿って紹介している。あくまでも考える為の資料を提供するという立場。

Posted by ブクログ

2025/02/16

1. はじめに 本書『解放されたゴーレム』は、科学と技術の関係性を深く掘り下げ、特にその不確実性について論じている。著者は、科学と技術が人間の創造物であり、同時にそれらが持つ不安定性やリスクを探求する。以下では、科学と技術の間の複雑な相互作用、技術の信頼性、そしてそれに伴う社会...

1. はじめに 本書『解放されたゴーレム』は、科学と技術の関係性を深く掘り下げ、特にその不確実性について論じている。著者は、科学と技術が人間の創造物であり、同時にそれらが持つ不安定性やリスクを探求する。以下では、科学と技術の間の複雑な相互作用、技術の信頼性、そしてそれに伴う社会的影響について詳述する。 2. 科学と技術の関係 2.1 科学の不確実性 科学は、厳密な実験と理論に基づいて構築されているが、常に不確実性を伴う。著者は、科学者たちが実験室の中で管理された条件下で結果を出す一方で、外部環境は常に変化し、その影響を受けることを指摘する。このため、科学の成果は時として予測不可能な結果をもたらすことがある。 2.2 技術の信頼性 技術は、科学の成果を基にして実用化されるが、著者は技術の信頼性にも疑問を投げかける。例えば、ロケットや飛行機は、高度な科学理論に基づいて設計されているが、それでも事故が発生することがある。著者は、技術が成功する場合は科学のおかげとされるが、失敗した場合は人間や組織のミスに帰されるという「負けなし」の論理に警鐘を鳴らす。 3. 科学と技術の社会的文脈 3.1 社会的権力と技術 科学と技術は、社会的権力と密接に関連している。技術は政治的、経済的な影響を受けやすく、特定の技術が成功するかどうかは、その背景にある社会的な力関係によって決まることが多い。著者は、技術が政治や軍事、経済に直接的に結びついている点を強調し、その影響力を分析する。 3.2 非専門家の専門性 本書では、「非専門家の専門性」という概念も取り上げられている。たとえば、農夫やエイズ患者など、専門的な訓練を受けていない人々が、技術上の意思決定において重要な役割を果たすことがある。著者は、これらの非専門家が持つ実体験に基づく知識が、科学者や技術者にとっても価値あるものであると述べている。 4. 事例研究 4.1 チェルノブイリ事故 チェルノブイリ事故は、科学と技術の不確実性を象徴する事例として取り上げられる。事故後、科学者たちが放射能のリスクを過小評価したことが、農家や地域社会に深刻な影響を及ぼした。著者は、科学者が持つ知識やモデルが必ずしも現実に即しているわけではないことを示し、科学者と地域住民との信頼関係が損なわれたことを指摘する。 4.2 パトリオットミサイルの成功と失敗 パトリオットミサイルの使用を通じて、技術の成功と失敗に関する議論が展開される。著者は、成功とされる結果がどのように計測され、評価されるのかという問題を提起し、技術の実際の効果が理論通りに機能しない場合の社会的な影響を考察する。 5. 結論 本書は、科学と技術の間に存在する不確実性について深い洞察を提供する。科学と技術は相互に依存し合うが、それぞれが持つリスクや社会的影響を理解することが求められる。著者は、専門家だけでなく非専門家の視点を取り入れることの重要性を強調し、より民主的な意思決定プロセスを促進することが必要であると結論づける。

Posted by ブクログ

2023/06/16

 原著は1998年。専門知の不確実性があらわになった具体的事例を取り上げて検討することで、科学・技術を価値中立的で秘教的なものと捉えがちな一般潮流に警鐘を鳴らし、またそれによって揺らぐこととなる科学の正統性をいかにして守るかを説いた書。  コロナ禍を経て、専門知の無謬性への信仰な...

 原著は1998年。専門知の不確実性があらわになった具体的事例を取り上げて検討することで、科学・技術を価値中立的で秘教的なものと捉えがちな一般潮流に警鐘を鳴らし、またそれによって揺らぐこととなる科学の正統性をいかにして守るかを説いた書。  コロナ禍を経て、専門知の無謬性への信仰などはとうに後景へ退いた今日の世界からすれば、本書のテーマ設定はやや古ぼけて見えるかもしれないが、まさにそうした「後知恵」でながめる科学観こそが本書で反駁されているともいえる。  専門家、専門知とは何か、また一般市民はそれをどのように解し、どのように向き合っていくべきなのか。今でも答えが出ず、また今ほどその答えが求められている時代は他にないともいうべきこの問題について、本書は先んじて切り込んでいる。  また文庫化にあたって書き下ろされた訳者あとがきにて、原著刊行後の動向を含めた科学論のおおまかな展開がわかりやすく記されている。

Posted by ブクログ