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あなたならどうする 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2020/07/08 |
JAN | 9784167915254 |
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商品レビュー
3.3
8件のお客様レビュー
昭和歌謡をモチーフに書かれた短編集。章の始めに抜き書きされている歌詞を眺めながら、「昭和歌謡って既に終わった、あるいは終わりが見えている恋愛を歌ったものが多いのかな……?」などとぼんやり考えていた。そんな自分は平成生まれである。 少なくとも(かの有名な)『トリセツ』のような、「い...
昭和歌謡をモチーフに書かれた短編集。章の始めに抜き書きされている歌詞を眺めながら、「昭和歌謡って既に終わった、あるいは終わりが見えている恋愛を歌ったものが多いのかな……?」などとぼんやり考えていた。そんな自分は平成生まれである。 少なくとも(かの有名な)『トリセツ』のような、「いろいろ手がかかるしワガママも言う私だけど、これからも君は私を愛してね!よろしく!」みたいなポップさは一切感じられない。物語に当てがわれているどの歌も、だいたい「昔はこういうことしたよね、あなたのこういうところが好きだったの、でも今はあなたはいない……」みたいなしっとり(ジメジメ?)感が漂っている。これは時代の変化によるものなんだろうか。女性の社会進出が進み、自由気ままに自己主張や自己表現ができるようになったことが関係していたりはするのかな?昨今は男を翻弄する小悪魔的なヒロインを描く作品も増えているが、この小説で描かれているのはそんな流れとは逆行して、とことん男に振り回されて人生がだめになっていく女達である。 たとえば、ヤリチンに弄ばれる不器用ながら純朴な女子を描く「小指の思い出」、共に将来を誓うもやはり故郷を捨てられない男を許し、夢を追う為に一人東京へと発つ「ジョニィへの伝言」、不倫の末に夫と子供を捨てて男の元へ転がり込むも、年若い女子に鞍替えされてしまう「あなたならどうする」など。 我々は読者という第三者視点で俯瞰的に見ることができるので、男の態度が途端につれなくなったり、明らかに怪しい言動が出てきたりすると、どの物語、どの男女の関係においても必ずどこかに「終わりの予兆」を感じ取る。だが悲しいかな、恋は盲目という言葉が指すように、その渦中にいる女達にとってはそれは知る由もないこと……あるいは気づいていても敢えて見ない振りをしているようで、その愚かさが愛おしくも切ない。 優しかったあの時の彼、口説かれた当初の熱っぽい眼差し、初めて抱かれた時の温もりなど……そうした過去の楽しい記憶を何度も思い返し、それだけを頼りに最後まで男を信じ縋ろうとする彼女達を見ていると、なんとももどかしい気持ちになる。「もっといい男とまともな恋愛しなよ〜!」なんて台詞が口に出かかったあとで、「いや……これは余計なお世話かもしれない……」なんて思い直したりして。実際こういう底なし沼にハマっている人たちの生々しい話は、フィクションだからこそ楽しく読めているのかもしれない。身近にこういう、まさに身を滅ぼすような恋愛をしている人がいたら、果たしてそんなハッキリ「やめとけ〜!」と言うことが出来るのか。どうなんだろうな……あなたならどうする?残念ながら、わたしにはそう言い切れる自信がない。
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題材となった昭和歌謡を聴いてから読むとより話に入り込める。 一話一話が短く、読みやすい。 男性の9割がクズ。こんな男いるか?と思うくらい清々しいほどのクズ。「サルビアの花」の方だけは幸せになって欲しい。
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*恋も愛も裏切りも、すべてが詰まっていた――。井上荒野が昭和の歌謡曲をモチーフに書いた短編集。 病院で出会った男と女の行き場のない愛(「時の過ぎゆくままに」)、カルト宗教の男を愛してしまった女の悲劇(「あなたならどうする」)、冷酷非情に女を乗り換える男の理屈(「うそ」)。他に「東...
*恋も愛も裏切りも、すべてが詰まっていた――。井上荒野が昭和の歌謡曲をモチーフに書いた短編集。 病院で出会った男と女の行き場のない愛(「時の過ぎゆくままに」)、カルト宗教の男を愛してしまった女の悲劇(「あなたならどうする」)、冷酷非情に女を乗り換える男の理屈(「うそ」)。他に「東京砂漠」「ジョニィへの伝言」など昭和歌謡曲の詞にインスパイアされ生まれた9つの物語* 個人的には大好物系です!ねっとりとした昏さと諦観さが根底に漂う、大人の男女ならではのお話たち。 だめだとわかっているのに、自分ではどうしようもない感情。そして、それを冷静に眺めて、受け入れてもいるもう一人の自分。その描写がとにかく巧いです。希望の見えるラストでもないのに、読めば読むほど何かがじんわり染みてくるような、クセになる読後感です。 そして、このお話たちは、出来れば単行本で読むのがお勧め。装丁が内容にぴったりで本当に素敵。一見華やかで楽し気なのに、よく見るとモノクロの中に哀しさを秘めた表情の女性たち・・・本を閉じるたび、物語とリンクしてため息が出ます。
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