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流人道中記(上)
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
| 発売年月日 | 2020/03/06 |
| JAN | 9784120052620 |

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商品レビュー
4.1
51件のお客様レビュー
浅田節満載。道中始まったばかりながら、波瀾万丈、これからどうなるかハラハラドキドキである。次巻楽しみ!
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井の中の蛙とはよく言ったもので、その井戸にだけしか住んでいなければ隣のことなど知れるわけがない。だからこそ、井戸の全てを無知蒙昧に肯定してしまう。それこそが生きる全てだから。 而して、違う井戸からその井戸につかなければならなかった主人公2人の目を通して侍·武士の世の不条理をまざ...
井の中の蛙とはよく言ったもので、その井戸にだけしか住んでいなければ隣のことなど知れるわけがない。だからこそ、井戸の全てを無知蒙昧に肯定してしまう。それこそが生きる全てだから。 而して、違う井戸からその井戸につかなければならなかった主人公2人の目を通して侍·武士の世の不条理をまざまざと見せてくれたことがとにかく面白くそして泣ける。 礼が喪われてしまったからこその法なのだ、という言葉は胸に刻みたい。
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『大名倒産』が面白かったので続けて浅田次郎さんの時代物。扱われている題目は共通だけれど、前者は『プリズンホテル』のような洒脱で軽妙な物語であるのに対し、後者は『鉄道員(ぽっぽや)』や『壬生義士伝』を思い出させる哀しみに満ちていました。世界に類をみないほど内戦が無く天下泰平の世が続...
『大名倒産』が面白かったので続けて浅田次郎さんの時代物。扱われている題目は共通だけれど、前者は『プリズンホテル』のような洒脱で軽妙な物語であるのに対し、後者は『鉄道員(ぽっぽや)』や『壬生義士伝』を思い出させる哀しみに満ちていました。世界に類をみないほど内戦が無く天下泰平の世が続き町人文化が花開いた時代、と素晴らしい素晴らしいともてはやされる徳川の治世ではありますがそれはひとつの視点というか時代のごく一面であり、平和で華やかな上辺の下には強大な権力に抑え込まれ実が無くなるどころか害を生すほどまでに形骸化した身分制度と法に縛られる侍の苦悩を、ややこしい制度と侍の矜持や面目について読者に分かりやすく説明しながら、きちんと娯楽小説に仕上げてしまうという浅田さんの剛腕ぶりが際立つ作品。苦しいながらも「お家大事」であるとか「武士たるもの」と妄信して突き進んでゆく大半の侍とその家族の姿は、後世の者からすると愚かしいながらもある種の儚さや潔さが感じられ酔いしれそうになってしまう日本的美学もあったりして、厄介だなぁと思いながら読み進みました。冒頭の三奉行による吟味の場面、乙次郎によるモノローグ、乙次郎が妻女きぬに宛てて書く便り、それぞれの宿場で行合う人々の一人称で書かれる場面、そして青山玄蕃による圧巻の独り語りと、まるで人間国宝の落語家さんの人情噺を聴いているような気分で読了しました。読み応えは十分、読後感はほろ苦さが残りますがある種のカタルシスもあって、しみじみとした作品でした。
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