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八本脚の蝶 河出文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
| 発売年月日 | 2020/02/06 |
| JAN | 9784309417332 |
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八本脚の蝶
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商品レビュー
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奥歯のブログの前半は楽しげに進むが、だんだんと内省的になり、本からの抜粋が増えていく。この本は彼女の死に至る思考の変化を追うためのもののようだ。ブログは死を宣言して別れの言葉で終わる。そこに加えて彼女の近くにいた友人、恋人や親交のあった作家たちの小文が載る。 芥川龍之介は体調...
奥歯のブログの前半は楽しげに進むが、だんだんと内省的になり、本からの抜粋が増えていく。この本は彼女の死に至る思考の変化を追うためのもののようだ。ブログは死を宣言して別れの言葉で終わる。そこに加えて彼女の近くにいた友人、恋人や親交のあった作家たちの小文が載る。 芥川龍之介は体調不良、母や友人の狂死、自身の文学の限界などの『ぼんやりした不安』に捉われ耐えきれずに命を絶ったという。太宰は人間関係と自己嫌悪に疲れ、話を終わらせるために。彼らは自分が嫌になって自分から逃げたくなった。一方、三島由紀夫は己の美学と思想を真実のものとするために老いる前に人生を完結させた。自分を守りたかった。「二十歳のエチュード」を書いた原口統三は欺瞞に満ちた社会を拒絶し、これ以上生きる意味を見出せないという確信を持ち、自らの純粋性を20歳で止めたいと考えた。彼の目的はくだらない現世から自分を守ること。では奥歯は? 過去の誰かの苦悩や選択を後世の人が勝手にまとめて一覧表にするのは失礼な話だ。それは私たちが今のような人生を生きてきた理由を見ず知らずの他人にひと言でまとめられるくらい見当はずれでいい加減で不愉快だ。でもこの本はそれを読者に考えてもらい共有するための本のような気がした。 彼女は少女性に固執し大人になりたい気持ちとなりたくない気持ちの狭間にいた。身体と中身は違う存在であることにこだわる。乱歩の「悪魔人形」で洋館の老人に『人形にならないか」と誘われるルミちゃんを例に出し、自分もそんな人形になりたかったと呟く。次第に自分に否定的になり他人に認められない不安や恐怖に支配され、混乱し、わからなくなってくる。 最後の1ヶ月は恐怖の連呼だ。肯定を欲しがる価値観を捨てられない。少女でいたい、人形になりたい。ペットになりたいと叫ぶ。しかし彼女の知性は益々鋭さを増す。大人びた性的肉体と彼女の求める少女性とのズレは広がっていく。その歪みに耐えきれず、自らのイメージを真実化するために人生を「完結」させたのではないか。 未遂をする彼女を最後まで友人や家族が励まし見守っていたようだ。しかしその隙を盗んで彼女は命を絶った。周りが説得できるタイプの話ではないのだ。ある意味、三島由紀夫的な完結型のように思えた。その点に絞っていえば25歳は既に彼女にとって手遅れだったのかもしれない。
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愛読家であり、芸術にも造詣が深く、服飾の才もあり、美麗でもある女性、二階堂奥歯さん。彼女の過ごした人生の一端とその終末を記した日記はからは果てしない知性と教養の含蓄の深さを感じました。(私の知的レベルが足りず、途中置いていかれたりもしましたが……) また、作中他書籍からの文章...
愛読家であり、芸術にも造詣が深く、服飾の才もあり、美麗でもある女性、二階堂奥歯さん。彼女の過ごした人生の一端とその終末を記した日記はからは果てしない知性と教養の含蓄の深さを感じました。(私の知的レベルが足りず、途中置いていかれたりもしましたが……) また、作中他書籍からの文章引用が多大な量あり、その上買い物記録のような形で様々な書籍(或いは化粧品、グッズ)が紹介されているので、本好きにとっては最高の一冊では無いでしょうか。凄腕の編集者が引用するほどの書物を知れること間違いなしです。 本が好き、小説が好き。そんな方には是非読んでほしい一冊です。明るい作品では無いので、その点に耐性のある方限定にはなってしまいますが……。
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きっと彼女は一生分の思考を使い切ってしまったのだ、と思った。 彼女の考えに共感するところは少なかったけれど、思考の渦のなかでもがき苦しんでいる姿は自分に近いものを感じた。根源的な恐怖だって、考えて理解できればなんとかできる、と思ったのかな。私は中途半端な人間だからすぐ諦めてしまう...
きっと彼女は一生分の思考を使い切ってしまったのだ、と思った。 彼女の考えに共感するところは少なかったけれど、思考の渦のなかでもがき苦しんでいる姿は自分に近いものを感じた。根源的な恐怖だって、考えて理解できればなんとかできる、と思ったのかな。私は中途半端な人間だからすぐ諦めてしまうけど、彼女は完璧主義な上に能力もあるから、やり切ろうとしてしまったんだろうな。 空の上で何も考えずに、美しいものを愛でていてくれたらいいのに、と思う。おつかれさまでした。
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