八本脚の蝶 の商品レビュー
死にたくなくて、生きることにしがみつく人と、生きていたくなくて、常に死に向かう人と、 そのどちらでもなく、自然に生きていられる人と、その間には、どんな違いがあるんだろう? その三者は、本当のところは、全くお互いのことを理解できないのではないだろうか。 根本から違うのだから、それは...
死にたくなくて、生きることにしがみつく人と、生きていたくなくて、常に死に向かう人と、 そのどちらでもなく、自然に生きていられる人と、その間には、どんな違いがあるんだろう? その三者は、本当のところは、全くお互いのことを理解できないのではないだろうか。 根本から違うのだから、それはもう世の中は行きづらい。 多様性という耳障りの良い言葉がはびこるようになったが、各々の生きることに対する姿勢には、この国は特に、全くと言ってほど多様性の容認がないように思う。 生きたい人の命を奪ったり(戦争や殺人も)、死にたい人を何が何でも生かせようとしたりする(安楽死に反対したり…)のはやめてほしい。 個人的に、彼女の好きな世界観や書物、物欲などに全く興味が重なるところがなく、かなり読み飛ばしてしまった。そのせいもあるのかも知れないが、結局彼女がどうして死にたかったのか、実際に何にそんなに苦しんでいたのか、わからなかった。人の心なんてわかるはずもないのだけれど、彼女の心を垣間見れるかもしれない、日記という形に惹かれて読んだ。 『ここは、多分ある意味ある角度から見れば、既に楽園なのだ』という奥歯さんの言葉が気にかかった。 雪雪さんの言葉 正面から雄雄しく戦ってはならない。負けろ。 あなたはどうしてそんなに、嘘をつくのが下手なんだろう。じぶんのの魂に誠実であってはならない。魂を売り渡して生きろ。醜くだ。逃げ道はある。
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読み終わるのが怖くて、苦しい本は初めてだった。 どんどん自分の言葉でなく、引用の言葉が並んでいくのは、息が詰まる思いだった。 人間は、信じられない体験をした時に、本当に起こったことなのかと、繰り返し同じ体験をしようとする、と聞いた事がある。 二階堂奥歯という人が死んでしまった事が...
読み終わるのが怖くて、苦しい本は初めてだった。 どんどん自分の言葉でなく、引用の言葉が並んでいくのは、息が詰まる思いだった。 人間は、信じられない体験をした時に、本当に起こったことなのかと、繰り返し同じ体験をしようとする、と聞いた事がある。 二階堂奥歯という人が死んでしまった事が信じられなかったのか、もしくは、あまりにも没入してしまって、自ら命を断つ恐怖を払拭したくてなのか、最後の数日をなん度も読み返していた。
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まずは……なぜ、この本を読もうと思ったか。 人様のブログに影響されたのです。 この本の感想が書いてあって、『この人の前に、「死なないでほしい」と差し出せるものがない』みたいな事が書いてあった。(色々湾曲してますが、まぁ。こんな感じ) で、それを読んだ私は田植えのイメージが沸き上...
まずは……なぜ、この本を読もうと思ったか。 人様のブログに影響されたのです。 この本の感想が書いてあって、『この人の前に、「死なないでほしい」と差し出せるものがない』みたいな事が書いてあった。(色々湾曲してますが、まぁ。こんな感じ) で、それを読んだ私は田植えのイメージが沸き上がったのです。 若くして死んでしまった奥歯さんは『田植えをした事があるのだろうか?』と、それが知りたいがために読んでみたくなりました。 ネット上にブログがあると知ったので、それを検索した。 最初の方だけを読んで世界が違いすぎて断念しそうになった。 けれど、図書館で探したら『本』があったので、本を読みました。 (私が読んだのは『本』なので、編集されてる個所もあると思う) で、読んで奥歯さんが田植えをしたという表記は見当たらなかった。 けれど、かなりのお金持ちらしい。お庭があって、池があり、石畳があって、裏庭があって、薔薇が植えてあって……ごめんなさい。想像力の限界。 彼女自身は『読んだ本の殆どを持っていない。借りたものがほとんど』みたいな事を書いていたけれど… 読んでる量が半端ないので、借りたものがほとんどだとして、持ってる数もかなりあるハズ……と思った。 これを、異世界だと思わずに読むのは無理です。 私は普通に田舎の一軒家の子供なのです。田植えや稲刈りを手伝い、花を愛でると言えば、コスモスやタンポポと言った野草です。 おそらく彼女に田植えの経験はなかったんじゃないかな……と思いました。書いてないので、判らないけれど。 そして、妄想する。『田植えなんて泥だらけの事、乙女がやるものじゃないわ!』と言われそうだ……と。 彼女の美学からは反していそうだな。いや。わからないけど、文章も中身もそんなお嬢様な感じなのだ。 最初の疑問は一応、解決した。(分からないという答え) で、次に沸き起こるのは 『彼女はなぜ死を選んだのか?』 25歳。 知識に教養、容姿もあって、愛する恋人や家族友人もいる。 仕事も順風満帆。(のような事が書かれている。事実かどうかは別にして) 彼女が死ぬ理由はどこにもない。 やりたいことも書き連ねてある。 唯一、ギリギリの『生(存在)』の言葉が時々、にじんでいる時はある。 彼女の知人は彼女を『図書館』に例えていた。 膨大な量の本を読んだ彼女はまさしく『図書館』なのかもしれない。 けれど、私は『禁書』のような気がした。 立ち入り禁止の禁書の棚で、他の禁書達を読み、選ばれた知を求める人達とだけ語り合う。 一般の人達が触れることも見ることもない『禁書』 そこでなら、彼女はのびのびとどこまでも遠くまで行けたのではないだろうか。 そんな事を思った。 と、長々と書いちゃった。 ああー。ダメだ。頭、沸騰した。難しい話、きらーーい。
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惹き込まれてしまう、死への希望、生への絶望、その全てがこの人の日記から溢れ出ていて、 生きている意味、そのものが分からなくなった。 わからない、みんながなんで生きることを選んでいるのか、本当にわからない、そしてわたしも。 生きることを選んでいる、というよりか、 生きることを忘...
惹き込まれてしまう、死への希望、生への絶望、その全てがこの人の日記から溢れ出ていて、 生きている意味、そのものが分からなくなった。 わからない、みんながなんで生きることを選んでいるのか、本当にわからない、そしてわたしも。 生きることを選んでいる、というよりか、 生きることを忘れている、が正しいのかな。 この人は、忘れることができなかったんだろう。 死を選ぶことと、生きることを忘れること。 そこにどんな差異があるのだろうか、 実存的なのは前者なのではないか。 でも、どうしても、 生きることを忘れてしまっています、二階堂さん。 そっちの世界はたのしいですか、
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この作者は別に本が好きなわけではなくて『美人で読書家(しかもマニアック)で特別な人間である私。』が好きだったんじゃないかなぁ。
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本当に惜しい人を失ったな、と思う。 とてもいまどきの若い女性らしさと、たしかな書評家としての顔と、ありとあらゆる多趣味を兼ね備えた教養深い知識…。 今もまだご存命だとしたら、一体どんな美しいもの、素敵なものに夢中になって、それを発信してくれていただろうか…と思うと、今もなお彼女の...
本当に惜しい人を失ったな、と思う。 とてもいまどきの若い女性らしさと、たしかな書評家としての顔と、ありとあらゆる多趣味を兼ね備えた教養深い知識…。 今もまだご存命だとしたら、一体どんな美しいもの、素敵なものに夢中になって、それを発信してくれていただろうか…と思うと、今もなお彼女の見た世界に焦がれる数多くのファン達の気持ちが分かる。
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宮澤賢治さん祭り開催中の私ですが、その感想の中で毎回出てくる教授が何故かこれもお勧めして下さったので、与えられる物は何でも美味しく頂いてしまう私は二つ返事で拝読。 結果、睡眠改善中だと言うのにまた夜中まで読んでしまいました。この責任は教授にとって貰おうと思います。 それ程に文章...
宮澤賢治さん祭り開催中の私ですが、その感想の中で毎回出てくる教授が何故かこれもお勧めして下さったので、与えられる物は何でも美味しく頂いてしまう私は二つ返事で拝読。 結果、睡眠改善中だと言うのにまた夜中まで読んでしまいました。この責任は教授にとって貰おうと思います。 それ程に文章能力に長けている奥歯さんの赤裸々な日記。 始めの方は好きなコスメやファッション、幻想小説や哲学の話等、好きな物に対する情熱を知的な文章にウィット感を添えて書き綴ってらっしゃったのですが。 後半、それらはなりを潜めてしまい、見ているこちらが苦しくなってしまう程の、魂の救済を求める文章へ…。 日記と言うよりは詩集と言っても過言では無い完成度の高さ故に、彼女の苦しみがなだれ込んで来ます。 精神的に疲れていらっしゃる方はかなりやられてしまうかも知れません。(実際にそういう警告はされました) 頭が良すぎる方や哲学を極めようとする方は、常人の何倍も物事を深く考えてしまい、疲れて限界を迎えてしまうのかも知れません。 第三者から見た奥歯さんはどちらかと言えば普段は縦ノリのきゃぴきゃぴした女の子に見えていたそうで、それを思うと一見悩みの無さそうな人も本当は凄く耐え忍んでいるのかもと考えてしまいそうです。 実際に前にバイト先でお世話になった方の姪っ子さんが21才で突然自死を選んでしまった事があり、とてもそんな事を考えていたようには見えない明るい方だったようです。 教授はこの日記を耽美と表現されていて、何故?と不思議だったのですが、読んでみるとなるほど、奥歯さんの嗜好と考え方、文体など総合して非常に耽美な読み物でした。 また死生観について向き合う事になりそうです。 奥歯さんのご冥福をお祈りいたします。
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評判を聞いていて、読みたかったのが文庫になっていたのを今更知って読了。綺麗な人が綺麗な文章を書き、綺麗なまま亡くなった。同じ年としては、恵まれてるな、だからだろうなと思ってしまった時点でこの本は向いてないと思った。
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・25歳という若さで命を絶った女性編集者の日記 ・自分と同じ年齢で命を絶つという選択をした女性が、どのように世界を見ていたのかを知りたくて読み始める、少なからず自分の中にある生きづらさへの答えがあるのでは?と思い ・私の頭には理解が難しかった…、8割方何を言っているか分からず、...
・25歳という若さで命を絶った女性編集者の日記 ・自分と同じ年齢で命を絶つという選択をした女性が、どのように世界を見ていたのかを知りたくて読み始める、少なからず自分の中にある生きづらさへの答えがあるのでは?と思い ・私の頭には理解が難しかった…、8割方何を言っているか分からず、途中で挫折 ・奥歯さんは感性が独特な方だったんだなぁという感想 ・彼女が仕事終わりに美術展に足を運んだり高級ブランドショップで爆買いしたりして、その時の自分の想いを語る部分は面白かった ・香水が好きなようで、コムデギャルソンの香水について語る部分が面白く、自分の香水の趣向と合っていて彼女が買ったという香りが欲しくなった
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希代の生粋のビブリオフィリアで、お洒落が大好きな美しい女性で、夭折した若き編集者。 の日記であり遺書でありという文章の累積であるけど、個人的にこれは極めて優れたブックリストだと思う。幻想文学、SF、ファンタジー、哲学書に関しての膨大で豊かな引用の数々はそのまま手引書となる。
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