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書楼弔堂 炎昼 文庫版 集英社文庫
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書楼弔堂 炎昼 文庫版 集英社文庫

京極夏彦(著者)

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書楼弔堂 炎昼 文庫版 集英社文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社
発売年月日 2019/11/20
JAN 9784087440430

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書楼弔堂 炎昼 文庫版

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商品レビュー

4.3

34件のお客様レビュー

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2025/07/08
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※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・事件(田山花袋) ・普遍(添田啞蝉坊) ・隠秘(福來友吉) ・変節(平塚らいてう) ・無常(乃木希典) ・常世(柳田國男) 目次の後の括弧書きは、弔堂が本を売った相手。 ただし、柳田國男は全ての作品で本を購入しているが、彼のための一冊とは自分自身で後に著す物のことだろうとの店主の言葉。 この本の語り手である天馬塔子も何冊か本を買っているが、彼女はフィクションの人物と思われる。 後々の自分のために記しておく。 多分作者が描きたかったのは、柳田國男が民俗学の入り口に立つまでの、煩悶する姿だったのではないかと思う。 一冊を通して、抒情派詩人として人気を博しておきながら詩と決別し、中央官吏を目指しながら、共通語では語ることのできぬ地方の人々の暮らしと文化に思いをはせる生真面目な学生としての柳田國男の姿が語られる。 が、白眉は乃木希典を描いた『無常』だろう。 ここでは、客である乃木希典は多くを語らず、店主の方が強く厳しく客を諫める。 戦争は国益のためにするもので、徳のない蛮行、そこに義などないと断ずる。 侵略であれ国防であれ、殺し合うなら同じこと。 陛下のために死ね、義を通すために死ねと謂われて、兵隊が皆死んでしまったとして、それで敵国が降伏したとしても、それは勝ちなのですかと畳みかける。 何よりも賢く勝とうとするならば、戦をしないことですよ。戦わずして勝たぬ限り、真の勝ちはない。 これほど強く、店主が客にものを言ったことがあっただろうか。 旧知の仲とはいえ、あまりにも厳しい物言いに、読んでいるこちらの方が怯みそうになるが、この店主の言に対して乃木希典が行ったことは歴史の知る通り。 女学生の平塚らいてうが出てくる『変節』もまた、面白かった。 男尊女卑、家長制度は、日本古来の伝統であり文化であるというのは間違いで、これは単なる武家の伝統である、と。 「女は家を守らなければならない」のは、男は外で戦う(死ぬかもしれない)から。 そして同じ頃、商家には商家の、農村には農村の伝統があり文化があった。 特に農家では女性は重要な働き手なので、年配の女性を刀自(戸主の意)と呼んで敬っていたところもある。 家長を拡大していくと、国にとっての家長である天皇崇拝に繋がり、天皇家のもとをただすと天照大神(太陽の女神)に繋がっていく。 よく考えると明治維新というのは武士だけが起こしたクーデターなんだよね。 だからいろんなことがひっくり返ったのに、武家の伝統だけが残された。 武士が起こしたクーデターということは軍事クーデターであり、だから明治政府は素早く陸海軍と警察を薩長で固めたんだな、とか、いろいろ思うところあり。 いつもより体温高めの京極夏彦でした。

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2025/06/30

P44  貴君の視点で見た事実は貴君にとっての事実でしかなく、普遍の事実ではないということです。ならそれは幻想と同義ではないのか。個人にとっての事実というのは世間にとっては幻と同じなんですよ。 前作に引き続き、実在の人物が弔堂を訪れ、一冊の本と巡り会う話。 本当に弔堂というも...

P44  貴君の視点で見た事実は貴君にとっての事実でしかなく、普遍の事実ではないということです。ならそれは幻想と同義ではないのか。個人にとっての事実というのは世間にとっては幻と同じなんですよ。 前作に引き続き、実在の人物が弔堂を訪れ、一冊の本と巡り会う話。 本当に弔堂というものはあったのではないかと思わされる描写。登場人物をもっと知っていたらもっと違う楽しみ方が出来るのではないかなと。

Posted by ブクログ

2025/05/17

「本日はどのようなご本をご所望でしょうか」 そのように尋ねられたら なんと答えて良いのか‥ 「言葉は呪。文章は呪文。凡ゆる書物は呪符でございます。書物は読むだけで、人の心の奥に届きましょう」 たったひとつだけ自分のための本とは どんな本だろうか? まだまだ探している途中なのでし...

「本日はどのようなご本をご所望でしょうか」 そのように尋ねられたら なんと答えて良いのか‥ 「言葉は呪。文章は呪文。凡ゆる書物は呪符でございます。書物は読むだけで、人の心の奥に届きましょう」 たったひとつだけ自分のための本とは どんな本だろうか? まだまだ探している途中なのでしょうか? さまざまな偉人達が、 弔堂の主人と語り合い、 迷いを解いていく ご主人 あなたは 本当に 生きていますか? 生身の人間ですか?

Posted by ブクログ