商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 集英社 |
| 発売年月日 | 2019/11/20 |
| JAN | 9784087440430 |
- 書籍
- 文庫
書楼弔堂 炎昼 文庫版
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書楼弔堂 炎昼 文庫版
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商品レビュー
4.2
36件のお客様レビュー
登山旅行の荷物の余裕が文庫本サイズしかなかったので。現状を嘆きながらも何もしない、という点では同じはずなのに、文句ばかりでいけすかない前作の主人公と比べて、今作の彼女は思慮深いように思えて好感が持てた。哀しいかな、史実に記されなかったばかりに、男性ばかりの登場となった前作と比べる...
登山旅行の荷物の余裕が文庫本サイズしかなかったので。現状を嘆きながらも何もしない、という点では同じはずなのに、文句ばかりでいけすかない前作の主人公と比べて、今作の彼女は思慮深いように思えて好感が持てた。哀しいかな、史実に記されなかったばかりに、男性ばかりの登場となった前作と比べると、僅かだけでも女性にスポットライトが当たっているのも良かった。人の意見は変遷して当たり前、弔いも供養も生者のためにするもの。相変わらず説教臭いが、納得感がある。主人公の対談相手が誰か、散りばめられたヒントから類推する謎解き要素も楽しかった。
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泣くような話ではないのに最後のふたつのお話では、塔子ちゃんの想いだったり主人の言葉になぜかグッときてしまって泣きそうになってしまった… 人は生きてこそ、死んだら終わりというのが当たり前だけど改めてわかったような気がします。亡くなった人を忘れる必要はない、むしろ覚えているべきというのと幽霊の話が最後の松岡さんの話につながってすごくよかった…!!この人は誰なんだろうと思っていたからまさかの人で嬉しかった! 忘れないために記録がある、書物があるという考えもすごくすごく良かった。読書って何になるの?と聞かれたことが昔あるけど、ご飯とか飲み物とか睡眠のようになくても生きてはいけるけどあると生活が豊かになるなあなどと思ったりしました。
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目次 ・事件(田山花袋) ・普遍(添田啞蝉坊) ・隠秘(福來友吉) ・変節(平塚らいてう) ・無常(乃木希典) ・常世(柳田國男) 目次の後の括弧書きは、弔堂が本を売った相手。 ただし、柳田國男は全ての作品で本を購入しているが、彼のための一冊とは自分自身で後に著す物のことだろうとの店主の言葉。 この本の語り手である天馬塔子も何冊か本を買っているが、彼女はフィクションの人物と思われる。 後々の自分のために記しておく。 多分作者が描きたかったのは、柳田國男が民俗学の入り口に立つまでの、煩悶する姿だったのではないかと思う。 一冊を通して、抒情派詩人として人気を博しておきながら詩と決別し、中央官吏を目指しながら、共通語では語ることのできぬ地方の人々の暮らしと文化に思いをはせる生真面目な学生としての柳田國男の姿が語られる。 が、白眉は乃木希典を描いた『無常』だろう。 ここでは、客である乃木希典は多くを語らず、店主の方が強く厳しく客を諫める。 戦争は国益のためにするもので、徳のない蛮行、そこに義などないと断ずる。 侵略であれ国防であれ、殺し合うなら同じこと。 陛下のために死ね、義を通すために死ねと謂われて、兵隊が皆死んでしまったとして、それで敵国が降伏したとしても、それは勝ちなのですかと畳みかける。 何よりも賢く勝とうとするならば、戦をしないことですよ。戦わずして勝たぬ限り、真の勝ちはない。 これほど強く、店主が客にものを言ったことがあっただろうか。 旧知の仲とはいえ、あまりにも厳しい物言いに、読んでいるこちらの方が怯みそうになるが、この店主の言に対して乃木希典が行ったことは歴史の知る通り。 女学生の平塚らいてうが出てくる『変節』もまた、面白かった。 男尊女卑、家長制度は、日本古来の伝統であり文化であるというのは間違いで、これは単なる武家の伝統である、と。 「女は家を守らなければならない」のは、男は外で戦う(死ぬかもしれない)から。 そして同じ頃、商家には商家の、農村には農村の伝統があり文化があった。 特に農家では女性は重要な働き手なので、年配の女性を刀自(戸主の意)と呼んで敬っていたところもある。 家長を拡大していくと、国にとっての家長である天皇崇拝に繋がり、天皇家のもとをただすと天照大神(太陽の女神)に繋がっていく。 よく考えると明治維新というのは武士だけが起こしたクーデターなんだよね。 だからいろんなことがひっくり返ったのに、武家の伝統だけが残された。 武士が起こしたクーデターということは軍事クーデターであり、だから明治政府は素早く陸海軍と警察を薩長で固めたんだな、とか、いろいろ思うところあり。 いつもより体温高めの京極夏彦でした。
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