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情動はこうしてつくられる 脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 紀伊國屋書店 |
発売年月日 | 2019/11/01 |
JAN | 9784314011693 |
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情動はこうしてつくられる
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商品レビュー
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12件のお客様レビュー
「The Mild is Flat(心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学)」と同系統の議論で、今の時流はこの方向性なのだろう。情動はその場限りで脳が構築する生成物であり、そのベースとなるのが概念(コンセプト)である。これを筆者は構成主義的情動理論と呼ぶ。怒り、悲しみ、嫌悪...
「The Mild is Flat(心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学)」と同系統の議論で、今の時流はこの方向性なのだろう。情動はその場限りで脳が構築する生成物であり、そのベースとなるのが概念(コンセプト)である。これを筆者は構成主義的情動理論と呼ぶ。怒り、悲しみ、嫌悪などのあらゆる情動は、無限のバリエーションを以て生成されるため、共通する指標がない。生成するための起源である概念は、特定の社会的文脈のもとで育つことで組み込まれていくという。「The Mild is Flat」ではこの概念にあたるものが書かれていなかったので、その点は興味深い。 とはいえ概念がマジックワードのように用いられているのでは、という思いは拭えなかった。あまりにも便利に用いられているので、要するにそれが何かがわからない。作中で、従来の情動理論をエーテルを信じ続けた科学者になぞらえて皮肉っているが、よほど概念という用語のほうがエーテルのように何を指しているのかがわからなかった。 この概念がどこに存在するのか、という問いそのものが筆者が繰り返し批判する「本質主義」なのかもしれないが、どうやってその概念を測定し検証していくのかが見えてこない。 たしかに筆者の言う通り、情動だけに特化した特定の脳領域はありえないし、すべてが先天的にプログラミングされたものでもない。文化によって大きく影響されるし、社会的現実と不可分に結びついているだろう。それには同意するが、アメリカの化学系ノンフィクションにありがちなのだが、とにかくやたらに「古典的情動理論」を藁人形のように批判し、自分の理論がいかに画期的で素晴らしいかを自画自賛するレトリックには少々ついていけないところがある。
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養老孟司氏が面白いと言っていた本。 嫌なことがあると、自分の意思とは無関係に何度も何度も頭に浮かび、読書をしても頭に入らない事がある。こうした想起をコントロールできれば、随分楽になるのに。想起が止まらず、その想起によって情動が繰り返される。自分の身体なのに、完全には自分で管理でき...
養老孟司氏が面白いと言っていた本。 嫌なことがあると、自分の意思とは無関係に何度も何度も頭に浮かび、読書をしても頭に入らない事がある。こうした想起をコントロールできれば、随分楽になるのに。想起が止まらず、その想起によって情動が繰り返される。自分の身体なのに、完全には自分で管理できない。欲望も、ストレスも、嫉妬も、悲しみも、後悔の念も。一体人間とはどこまで自分の意思で構成されているのか。答えの一部は、この本にある。 「経験盲が示す、過去の経験が感覚情報に意味を付与するという現象」 ここが、先ず面白い。文章だけ読むとわかり難いが、ロールシャッハテストのような黒い影で意味不明な絵柄が示される。じっくり見るが、わからない。しかし、この絵柄の答えが示される。すると、次から、その答えにしか見えなくなる。これが経験盲だが、脳は、経験により感覚情報(知覚の答え)を増やしていく。現象に、予測づくり(意味づけ)をしていく。パッと目に入ったものが危険か否か。危険な場合は瞬時に回避態勢が取れるように心拍を上げる。この予測こそ人間の脳の極めて基本的な活動である。 脳は外からやってくる刺激に反応するだけの単純な機械なのではなく、内因性脳活動を生成する無数の予測ループとして構造化されている。ゆえに、おむつに茶色いご飯をつけたものを見た被験者は、実際の感覚入力よりも、予測を優先し、汚いものだと認識した。私たちは絶え間ない予測を通じて、感覚世界によるチェックを受けつつ構築した独自の世界を経験しているのだ。予測が十分に正しければ、知覚や行動を生むだけでなく、感覚刺激の意味を説明する。これが基本的な脳の働きである。脳は驚くべきことに、未来を予測するだけでなく、未来を思い浮かべることができる。情動は、世界に対する反応ではなく、自分たちが気づいた世界に関する構築物である。 脳は過去の体験をインスタンスとして構築し、概念システムが状況に応じてそのインスタンスを抽出する。例えば海で水着がずれた時、とっさに、過去の恥ずかしかった体験をインスタンスとして促す。脳の仕事は予測とエラーの訂正である。 先立つ経験によりその瞬間に受け取った感覚刺激から意味が形作られるのである。情動はそれと同じ手法によって作り出される。 つまり情動は意味であり、行動の処方箋である。 AIが自己保存のための回避態勢を取ろうと一気に心拍を上げるとき、もしかするとそこには感情が発生していると言えるのかもしれない。行動における態勢変化のために、情動がある。人間は、脳が現象を訂正しきれないとき、止めどなく感情があふれ出してしまう。自分を律しきれない事こそが人間なのかもしれない。
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私はこれまで心理学関連の一般書を読んできたが、大体の書籍では本書における古典的情動理論に則った教えを教授されてきた。 これらの教えをベースに読み始めた本書にはかなりの衝撃を覚えた事は言うまでもない。 衝撃というよりも混乱が正しかったかもしれないが、本書の主張である構成主義的情動理論の神経学、生理学的な考えを含んだ考え方を徐々に納得させられていった。 反応により情動を感じるのではなく、脳機能として情動を生成する考え方は、読み終わったいまでは正当性があるように感じる。 日本では民間カウンセラー資格などは古典的情動理論をベースとした学びが多いことからも、心理を扱う仕事に携わる方はこの考え方の知識を学んでおかないと現代科学をベースとした知見の広がりを妨げかねないだけでなく、当人も後悔するだろうと感じた。 故に、ページの多さに臆せず読んでほしいおすすめの一冊だ。 私自信はまだ理解が足りないので、別の書籍などを読むだけでなく、再度本書を読み直すなどして知識の定着及び理解の深度を上げていきたいと思う。
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