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海と空のあいだに 石牟礼道子全歌集
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 弦書房 |
| 発売年月日 | 2019/10/25 |
| JAN | 9784863291959 |
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海と空のあいだに
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商品レビュー
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4件のお客様レビュー
石牟礼道子さんの歌集ですね。 先に詩集を読みましたが、本来の作家と環境運動家(主に水俣病)の仕事の合間に詠まれました。 そのために詩集も歌集も一冊に纏められています。 亡くなられたのが、2018年二月十日です。 2019年発行になります。 短歌とエッセイで構成されてい...
石牟礼道子さんの歌集ですね。 先に詩集を読みましたが、本来の作家と環境運動家(主に水俣病)の仕事の合間に詠まれました。 そのために詩集も歌集も一冊に纏められています。 亡くなられたのが、2018年二月十日です。 2019年発行になります。 短歌とエッセイで構成されています。 ひとりごと数なき紙にいひあまり またとじるらむ白き手帖を ひとしきりはしやぎて君は帰りゆく 野菊の花の夕映えのいろ ポコポコと高原の空音(ね)たてよ 一本きりのあかい童木(わらべぎ) 流星をうつしてくづれる波があり はばかりながら息を吐きたり 近よればそろりと手にて土をかき 仕末し去りぬ月夜の白猫 揃ひ生ふる葱に月夜は透りつつ 白猫かがみ来て音もなく去る われと同じ日に生れゐてさびしまむ 雪国の月の輪熊を愛す 春の雪いちづにふりて遠のける 夜明けきれぎれの睡りをせしょ せききっておとせるごとき吹雪くる 無音にひらきゆく冬の窓 雪のまのはげしき空によびかはす くろぐろと山の岩たちの声 醜草(しょうぐさ)は幾度雪に消えゆくも やがて野に満つ春の光は 暗がりになき寄りて来る仔猫二匹 さびしがりている吾はかがめり 川面にかがよい渡る霧の中 やさしくなりてせきれいが飛ぶ 祈りさえ失いている胸により 吾子がささやく星座のロマンを 鼻の先冷えておりたる我ならむ ねむたき猫の仔がより来て触るる 緋むらさきのあわいの空ゆ爪出して 夕べの虹をわたりたるかな 『本書は、歌集「海と空のあいだに」に収録されている短歌三三二首と、同書に収録されていない短歌三百四十首(未発表のものも含む)で構成されている。』と、紹介されています。 十代の頃から亡くなるまでの、石牟礼道子さんの短歌の軌跡が窺えます。詳しい解説が付いていますから、石牟礼道子に寄り添って観賞できます。 ロマンにあふれた詩情豊かな、親しみやすい短歌は読んでいて楽しいですね♪
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先日読んだ渡辺京二さんの「もうひとつのこの世」を読んで、石牟礼道子さんの歌集を読みたくなった。 歌心の全くない自分でも、かなり心の奥底から紡がれている歌のように感じた。 うつむけば涙たちまちあふれきぬ夜中の橋の潮満つる音 楽しいと今言つたことの味気なく矢車草にむきて息つく ...
先日読んだ渡辺京二さんの「もうひとつのこの世」を読んで、石牟礼道子さんの歌集を読みたくなった。 歌心の全くない自分でも、かなり心の奥底から紡がれている歌のように感じた。 うつむけば涙たちまちあふれきぬ夜中の橋の潮満つる音 楽しいと今言つたことの味気なく矢車草にむきて息つく 吐息する毎にいのちが抜けてゆくうつろさを支へゐる暗い板の間に 寝返れば探れるごとき吾子の腕その掌をそつと抱いてねむる ひらりひらりとうすつぺらに泳いでゆくわたしの言葉も目のない魚の類 雪の中に灯を潤ませて来る電車記憶の中よりわれは近づく 体温にふれくるものは哀しきに裾にまつはる夜の野の雪 反らしたるてのひら仏像に似つ前の世より来しわがふかき飢餓 足跡をもてばのがるるすべなくて背をむけゆきしものらを恋へり
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読んですごく良かったです。本当に、生きる感覚を変える。 特に、初期の自殺未遂にまつわる歌、その彼女の「両極」(生と死)の性を制御するまでの力を持った愛が本当に素朴に溢れ出している、息子さんを詠った歌(思わずなんとも言えない可愛らしい気分になり、読んでいてこちらまで笑顔になってしまった)、現在わかっている範囲での最晩年の二首の、奇跡のような、本当の世界はそうであるような、石牟礼さんらしいとしか言えないなんとも言えない境地など。 大変大きな問題に対して闘われていた時期の活動や思想の激しさ、超越的な共感性のイメージが強かったのですが、人間の生きる膨らみや空気が、読まれることを待って閉じ込められている本です。 真木悠介の『時間の比較社会学』をずっと読んでいたのだが、作家の『天の魚』の冒頭の詩が、非常に印象的に引用されており、短歌集も読んでみました。 日本文学の始まりである短歌への敬意、そのロマンチシズムに対する己の気持ちを"初恋"と言いながら、「短歌とは詠嘆で始まり詠嘆に終わるもの(に過ぎない)のではないのだろうか...」 「近代ナルシシズムではなく、民族の誇りをも詠うものではなかったのだろうか... 」と迷うのは、短歌が詩の中でも最もすごいものだといまだに思う自分でも感じる歯痒さでもあり、 5.7.5.7.7.の韻文に収まりきらない作家としての宿命に出会ってからは、短歌作品を制作しながらも、発表することはしなくなっていった...という変遷も、とても興味深く、正直だと思えた。
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