商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 弦書房 |
発売年月日 | 2019/10/25 |
JAN | 9784863291959 |
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海と空のあいだに
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海と空のあいだに
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商品レビュー
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先日読んだ渡辺京二さんの「もうひとつのこの世」を読んで、石牟礼道子さんの歌集を読みたくなった。 歌心の全くない自分でも、かなり心の奥底から紡がれている歌のように感じた。 うつむけば涙たちまちあふれきぬ夜中の橋の潮満つる音 楽しいと今言つたことの味気なく矢車草にむきて息つく ...
先日読んだ渡辺京二さんの「もうひとつのこの世」を読んで、石牟礼道子さんの歌集を読みたくなった。 歌心の全くない自分でも、かなり心の奥底から紡がれている歌のように感じた。 うつむけば涙たちまちあふれきぬ夜中の橋の潮満つる音 楽しいと今言つたことの味気なく矢車草にむきて息つく 吐息する毎にいのちが抜けてゆくうつろさを支へゐる暗い板の間に 寝返れば探れるごとき吾子の腕その掌をそつと抱いてねむる ひらりひらりとうすつぺらに泳いでゆくわたしの言葉も目のない魚の類 雪の中に灯を潤ませて来る電車記憶の中よりわれは近づく 体温にふれくるものは哀しきに裾にまつはる夜の野の雪 反らしたるてのひら仏像に似つ前の世より来しわがふかき飢餓 足跡をもてばのがるるすべなくて背をむけゆきしものらを恋へり
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読んですごく良かったです。本当に、生きる感覚を変える。 特に、初期の自殺未遂にまつわる歌、その彼女の「両極」(生と死)の性を制御するまでの力を持った愛が本当に素朴に溢れ出している、息子さんを詠った歌(思わずなんとも言えない可愛らしい気分になり、読んでいてこちらまで笑顔になってしまった)、現在わかっている範囲での最晩年の二首の、奇跡のような、本当の世界はそうであるような、石牟礼さんらしいとしか言えないなんとも言えない境地など。 大変大きな問題に対して闘われていた時期の活動や思想の激しさ、超越的な共感性のイメージが強かったのですが、人間の生きる膨らみや空気が、読まれることを待って閉じ込められている本です。 真木悠介の『時間の比較社会学』をずっと読んでいたのだが、作家の『天の魚』の冒頭の詩が、非常に印象的に引用されており、短歌集も読んでみました。 日本文学の始まりである短歌への敬意、そのロマンチシズムに対する己の気持ちを"初恋"と言いながら、「短歌とは詠嘆で始まり詠嘆に終わるもの(に過ぎない)のではないのだろうか...」 「近代ナルシシズムではなく、民族の誇りをも詠うものではなかったのだろうか... 」と迷うのは、短歌が詩の中でも最もすごいものだといまだに思う自分でも感じる歯痒さでもあり、 5.7.5.7.7.の韻文に収まりきらない作家としての宿命に出会ってからは、短歌作品を制作しながらも、発表することはしなくなっていった...という変遷も、とても興味深く、正直だと思えた。
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600首を超える短歌が収められている。わかりやすい歌が多いが、中には解説にあるようにエネルギーに満ち溢れ、イメージが豊かすぎて、わかりづらいものもある。 私は他の石牟礼作品に通じるそのシュールというか、”祝祭的” なところがとても好きです。特に若いころ、私が生まれた昭和28年前後...
600首を超える短歌が収められている。わかりやすい歌が多いが、中には解説にあるようにエネルギーに満ち溢れ、イメージが豊かすぎて、わかりづらいものもある。 私は他の石牟礼作品に通じるそのシュールというか、”祝祭的” なところがとても好きです。特に若いころ、私が生まれた昭和28年前後の歌が気に入っていりました。
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