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戦下の淡き光
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 作品社 |
発売年月日 | 2019/09/13 |
JAN | 9784861827709 |
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戦下の淡き光
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商品レビュー
4.2
15件のお客様レビュー
代表作「イギリス人の患者」と近しく、第二次大戦直後のイギリスが舞台。 突如消えてしまった両親に取り残されたレイチェルとナサニエルの姉弟。 弟であるナサニエルが、両親の消失と突如親代わりとしてあてがわれた男達との日々、困惑から彼らへのほのかな愛情を持つに至り、青年に至るまでの彼らと...
代表作「イギリス人の患者」と近しく、第二次大戦直後のイギリスが舞台。 突如消えてしまった両親に取り残されたレイチェルとナサニエルの姉弟。 弟であるナサニエルが、両親の消失と突如親代わりとしてあてがわれた男達との日々、困惑から彼らへのほのかな愛情を持つに至り、青年に至るまでの彼らとの(やや破天荒な)生活を語る第一部。 そして両親の、とりわけ母の失踪の原因が明らかになり、その母の半生が語られる第二部という構成。 本作品では様々な愛が語られる。 親代わりの男達に対する愛情、ナサニエルのガールフレンドに対する愛情、失踪した母への複雑な愛情、そして母自身の恋の物語。 戦後の、とりわけ複雑な環境に身を置く人々の、尋常ならざるストーリーが展開される中で、これらの愛が訥々と語られる。 「イギリス人の患者」でも感じたことだが、オンダーチェが語る愛は、とても静かで、美しい。 静かなシチュエーションではないのだけれども、なぜかそこで語られる愛には、静けさが伴っている。 詩人だからなのか、あるいは「彼は詩人だからな」という先入観を私が持っているからなのかはわからない。 一人称で語るという設定にそういう効果があることももちろんあるとは思う。 ただ、それが何に起因するのかを深く考えるより、この美しさをかみしめたい。 よい文章だった。堪能した。
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戦下の淡き光WARLIGHT~戦時中の灯火管制の際、緊急車両が安全に走行できるように灯された薄明り、とあり、この物語全体もまた、そうしたほのかな明かりに照らされるかのように、真実がおぼろにかすみ、なかなか姿を現さない、と訳者あとがき。まさにおぼろに霞んだほの明かり、というのがこの...
戦下の淡き光WARLIGHT~戦時中の灯火管制の際、緊急車両が安全に走行できるように灯された薄明り、とあり、この物語全体もまた、そうしたほのかな明かりに照らされるかのように、真実がおぼろにかすみ、なかなか姿を現さない、と訳者あとがき。まさにおぼろに霞んだほの明かり、というのがこの物語の読み心地だった。それは「僕」によって語られる、14才からの今にわたるマイ・ストーリー。 1945年、うちの両親は、犯罪者かもしれない男ふたりの手に僕らをゆだねて姿を消した、と始まる。場所はロンドン、戦争は終わっているようだ。僕は14才、姉のレイチェルはもうじき16才。ある朝、両親に1年間の間、子供ふたりを置いてシンガポールに行くと告げられる。子供を託したのは最近階上に間借りし始めた「蛾」と僕らが呼ぶ男。父母のいなくなった家はやがて「蛾」の知り合いが入れ替わりやってくるようになり、ある日父のイスに「ダーター」と言われる男が座っていた。 そしてある日姉が地下室でみつけた母のもの・・・ ここからミステリーの色合いを帯びてくる。きわめて影の薄い父。僕は父の職場、ユニリーバに連れて行ってもらったことがあるにもかかわらず、母の中に父はいないかのよう。 それに対し留守を託された「蛾」と知り合いの「ダーター」、ダーターのころころ変わる恋人たち。僕のアルバイト先の少女アグネス。ダーターはドッグレースの犬を夜のテムズ川を使い違法に配布していて、僕はそれを手伝う。ここらへんの疑似孤児の僕の生活描写がなんともいい。実際はとんでもない状況ともいえるが。 そして大人になった僕。母の死後10年たって外務省に志願するよう通知を受け取る。戦後しばらくの間、戦争の残り禍がまだある、というのだ。そこで明らかになる母の過去。題名のごとく、戦下の淡き光に導かれた母、そしてその落とし子の僕と姉。読み終わってみると、けっこうはちゃめちゃなストーリーなのだが、なんともゆったりした読み心地だった。 2018発表 2019.9.30初版第1刷 図書館
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
単純なノスタルジーだけでは語れない、不条理さや生命力をも感じさせる自分だけの特別な「子ども時代」と、それを答え合わせするかのような主人公の成人後の物語。人生の取り換えのきかなさ・一回性を考えると、何が大事で何がそうでもないのかよくわからなくなってくる。
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