商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 作品社 |
発売年月日 | 2019/09/13 |
JAN | 9784861827709 |
- 書籍
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戦下の淡き光
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戦下の淡き光
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商品レビュー
4.3
17件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
名前は充分に知っていたが、読んだことがなかったマイケル・オンダーチェ作品、初読。 両親が仕事でシンガポールに行く際、犯罪者かもしれない人に姉とともに預けられた主人公ナサニエル。両親はそのまま帰ってくるわけでもなく失踪。はじめは警戒していた二人も次第に犯罪者(蛾と呼ばれる)やその仲間との生活に馴染んでいくが、ある日突然ナサニエルは暴漢に襲われる。 母の仕事と過去を追いかける、成人後のナサニエルは、次第に子供時代の不思議な体験の意味を悟っていく。 文章が美しく、現実離れしたファンタジー的描写もあるのに、描かれるのは戦争という辛い現実とその中での愛。哀しいことを美しい表現で語るというのは、常套手段なのだが、それでもやっぱり心に沁みる。 戦争はどこまでも追いかけてくる。時間も場所も世代も超越して。だからこそ戦争など絶対にしてはいけないのだ。
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第2次大戦直後のロンドン、父の転勤により14才のナサニエル(Nathaniel)と姉のレイチェル(Rachel)は母ローズの友人であり彼等が蛾(moth)と呼ぶウォルター、元ボクサーでグレイハウンドの密輸業者のダーター(Darter)、民族学者のオリーブなどの怪しげな人物たちと過...
第2次大戦直後のロンドン、父の転勤により14才のナサニエル(Nathaniel)と姉のレイチェル(Rachel)は母ローズの友人であり彼等が蛾(moth)と呼ぶウォルター、元ボクサーでグレイハウンドの密輸業者のダーター(Darter)、民族学者のオリーブなどの怪しげな人物たちと過ごすことになる。物語の前半は姉弟を守る人物たちの正体は明かされないまま、両親に置き去りにされた内向的なナサニエルの感傷的な日々が綴られる。前半の最後に姉弟が何者かに襲われた事件をきっかけに母親が姿を現す。 後半では28才になったナサニエルが亡き母の過去を探る日々が語られ、母に関する空白がジグソーのように埋められていくが、失われた一部のピースは見つからないまま物語は終わる。 僕たちはぼんやりとしかわからない物語で人生を整理する。紛らわしい風景のなかで迷子になったかのように、目に見えないもの、語られないものを集めて、 We order our lives with barely held stories. As if we have been lost in a confusing landscape, gathering what was invisible and unspoken…
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代表作「イギリス人の患者」と近しく、第二次大戦直後のイギリスが舞台。 突如消えてしまった両親に取り残されたレイチェルとナサニエルの姉弟。 弟であるナサニエルが、両親の消失と突如親代わりとしてあてがわれた男達との日々、困惑から彼らへのほのかな愛情を持つに至り、青年に至るまでの彼らと...
代表作「イギリス人の患者」と近しく、第二次大戦直後のイギリスが舞台。 突如消えてしまった両親に取り残されたレイチェルとナサニエルの姉弟。 弟であるナサニエルが、両親の消失と突如親代わりとしてあてがわれた男達との日々、困惑から彼らへのほのかな愛情を持つに至り、青年に至るまでの彼らとの(やや破天荒な)生活を語る第一部。 そして両親の、とりわけ母の失踪の原因が明らかになり、その母の半生が語られる第二部という構成。 本作品では様々な愛が語られる。 親代わりの男達に対する愛情、ナサニエルのガールフレンドに対する愛情、失踪した母への複雑な愛情、そして母自身の恋の物語。 戦後の、とりわけ複雑な環境に身を置く人々の、尋常ならざるストーリーが展開される中で、これらの愛が訥々と語られる。 「イギリス人の患者」でも感じたことだが、オンダーチェが語る愛は、とても静かで、美しい。 静かなシチュエーションではないのだけれども、なぜかそこで語られる愛には、静けさが伴っている。 詩人だからなのか、あるいは「彼は詩人だからな」という先入観を私が持っているからなのかはわからない。 一人称で語るという設定にそういう効果があることももちろんあるとは思う。 ただ、それが何に起因するのかを深く考えるより、この美しさをかみしめたい。 よい文章だった。堪能した。
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