カインは言わなかった

芦沢央(著者)

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋
• 発売年月日: 2019/08/28
• JAN: 9784163910697

商品レビュー

2024/06/04

芸術と言うのは美しい半面、恐ろしくもある。
バレエと言う自らの肉体を使って表現するものなら尚更
ストイックにその世界へと入っていってしまうんだろうな。

弟のダメ男っぷりが中々好みだった。

2024/05/31

芸術ってなんだろう。
きっと感覚でありセンスであり空想であり
ひたむきさであるのではないか。

誉田はちょっと怖い（いや、かなり怖い）が誠も怖い。
尾上はよく頑張った。

2024/04/12

カインとアベルをモチーフとした舞台の公演直前に、主役のダンサーが消息不明となった。彼が残したメッセージの意味は何なのか、そして彼に何が起こったのか。その点ではミステリのような物語の流れがあり、一方では舞台の芸術監督に対して恨みを持つ人たちや、奔放な画家に振り回される女性など、それぞれの思いが絡みあう物語です。
選ばれた才能を持つ人たちの物語、と見えますが。才能を伸ばすことは苦悩と表裏一体なのですね。過酷で悲痛ですらあるほどにひたすら打ち込み上達しようとする彼らの姿が、美しくもおぞましくも思えました。その意味では一番おぞましいのは誉田なのかもしれない……彼が目指す姿は何なのか。とことんストイックで清々しくもあるのですが、しかし実際に身を削る者からすると、このやり方はかなり非道です。彼の指導によって伸びるにしろ、これを正しいと言ってしまっていいのかなあ。