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信長の原理
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
| 発売年月日 | 2018/08/31 |
| JAN | 9784041028384 |
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信長の原理
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商品レビュー
4.2
108件のお客様レビュー
装丁でジャケ買い
装丁デザイン、内容、書籍の厚み、手触り…全てにおいて満点の作品だった。働きアリの話はあくまで物語におけるマクガフィン的なアレでしかないものの、登場人物たちの魅力を大いに引き立たせている。後半以降の怒涛の群像劇は結果を知っていてもハラハラさせられるし、最終盤なんてもはや光秀が主人公...
装丁デザイン、内容、書籍の厚み、手触り…全てにおいて満点の作品だった。働きアリの話はあくまで物語におけるマクガフィン的なアレでしかないものの、登場人物たちの魅力を大いに引き立たせている。後半以降の怒涛の群像劇は結果を知っていてもハラハラさせられるし、最終盤なんてもはや光秀が主人公になってたりはするが、そこも含めて楽しませてもらった。読んでて物理的に重たかったが、ぜひとも単行本で読んで欲しい。
6lackbirdz
「信長の原理」とは、信長の世界観のことだという。本書は、その世界観がいかなるものであったのかを、彼の生涯をたどりながら解き明かしていく。 信長の世界観と聞いて、まず思い浮かぶのは、彼が好んだとされる謡曲「敦盛」である。 人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。 一度...
「信長の原理」とは、信長の世界観のことだという。本書は、その世界観がいかなるものであったのかを、彼の生涯をたどりながら解き明かしていく。 信長の世界観と聞いて、まず思い浮かぶのは、彼が好んだとされる謡曲「敦盛」である。 人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか。 人の一生など、しょせんは夢や幻のようなものだ――そんな無常観がそこにはある。けれどもそれは、ただ儚いというだけではない。どこか突き放したような、乾いた生死観でもある。生に執着しすぎることもなく、かといって死をことさらに恐れるでもない。そんな距離の取り方だ。 思えば信長の行動には、この感覚がよく表れている。 たとえば戦である。戦争は、ほかに手がなくなったときに選ばれる最後の手段だ。である以上、負けるわけにはいかない。信長は、その前提を徹底して受け入れていたのだろう。「勝てる戦しかしない」という姿勢は、そのまま彼の合理性を物語っている。 鉄砲をいち早く取り入れたことも、戦闘の専門集団を組織したことも、あるいは従来の慣習にとらわれなかったことも、すべては勝つためである。そこには、きれいごとを削ぎ落とした割り切りがある。 こうした信長像はこれまでも繰り返し描かれてきたが、本書が興味深いのは、さらに一歩踏み込んで「組織」という視点から彼を捉えている点にある。 どんな集団にも、よく働く者と、平均的な者と、そうでない者がいる――いわゆるパレートの法則である。信長もまた、その現実を見ていた。 だが彼は、それを当然のものとして受け入れなかった。むしろ、すべての者が力を発揮する組織をつくろうとしたのである。理想と言えば理想だが、同時にそれは、人間のばらつきを許さない厳しさでもあった。 そして結局、その試みは完全な形では実現しなかった。 物語の終盤、本能寺の変に至る展開を読むとき、それは単なる裏切りというよりも、むしろ組織に内在する歪みが表面化した瞬間のようにも思えてくる。どれほど統制を強めても、人の集まりである以上、すべてを均質に保つことはできない。その限界が、あの一夜に凝縮されているように感じられるのだ。 信長は、合理性によって世界を切り開こうとした。だが同時に、人間という存在の不均質さから逃れることはできなかった。 そのこと自体が、「信長の原理」なのかもしれない。
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- ネタバレ
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信長は子供の頃から蟻の行動を観察していて、気付いたことがあった。蟻を見ていると、懸命に働くアリと、時々さぼったりなんとなく働くアリ、全く働かないアリの3種類が居て、その比率は2:6:2であると。その蟻の比率は人間でも同じで、どんなに鍛えた馬廻衆でも、戦に出れば最初から良い働きを見せるのはわずか2割。あとはそれに引きずられる6割と、最初から戦う気のない2割になってしまう。ある時信長は部下たちを集めて、蟻を集めて徹底的に数を数えさせた。結果は2・6・2。働きもののアリだけを餌に落として行動別に仕分けてみると、それもまた2・6・2=1・3・1になる。全く働かなかったアリだけをエサに落として仕分けてみても同じだった。 この普遍的な法則に、信長は懊悩する。これではどれだけ兵を鍛えても使える者は常に全体の2割ということになってしまう。儂の努力など意味がないと嘲笑われているかのようだ。 信長は正室・帰蝶(斎藤道三の娘・濃姫)にそのことを相談してみた。それに対し帰蝶は答える。その普遍的な法則は、あるいは後の世から見たら「世界の理」として皆に知られるようなものかも知れませぬ。時が経てばそれを「世を支配する理」として定める者もおりましょう。ただ今の段階では、その比率が「なぜ」常にそうなるのかという問に、答えられる者はおりますまい、と。 信長が気付いた1・3・1の法則は、現代の私たちから見れば「万有引力の法則」であったり、「黄金比率」と同じように、世界に純然と存在する理と言えるのかもしれない。それが「なぜ」そうなるのかという問に対しては、信長の時代はもとより、現代においても解き明かせる人はいないだろう。それは「万有引力の法則」と同じ、この世を動かしているルールの一つと言えるかもしれない。 この比率に気付いて思い悩む信長も、時代を見通したような高い視点で答える帰蝶も素晴らしい。この比率に関しては私も聞いたことがあった。会社でも同じことが起きると。一生懸命働くのが2割。なんとなく日和見で働くのが6割。全く働かないのが2割。果たして史実としても信長はその理に気付いていたのか、あるいは作者がその「ルールありき」でこうした信長像を作り上げたのかは分からないが、そうやって信長という人物を読み解けば、母親と弟に長く裏切られ続けた信長の苦悩がより伝わって来る。なぜか必ずそうなってしまう数の理に生涯信長は抗い続け、その理に抜け道はないか、ほころびはないかと探していたとすれば、信長の視点が当時の誰よりも高く、神のそれに近かったことが伺えてくる。そしてそれに決して劣らぬ帰蝶の聡明さ。グレートなカップルだ。
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