解説者の流儀

戸田和幸(著者)

• 販売会社／発売会社: 洋泉社
• 発売年月日: 2018/05/31
• JAN: 9784800314819

商品レビュー

2024/02/23

戸田和幸さんの解説を初めて聞いた時に、今までと違う。この解説者誰だろうとスマホで調べたくらい魅力的であったことを覚えている。単純に視聴者として知りたいことを過不足なく話してくれてるからかもしれない。
この本を読んで、その理由がわかったかも知れない。１試合にかける準備時間からも、サッカーそのもの、選手、審判やもちろん視聴者までをリスペクトとしているのが分かるし、言葉に責任感があるし、何より真摯である。

私もこれから言葉を生業にしていきたいと考えていてこの本には、見習うべき事が凝縮されていた。解説の中に明らかに技術が存在している。過不足がない解説はそれはスペシャルな技術だ。
その技術は、先天的なものではなく、自信の強みの上に磨き上げたのだ。その努力が垣間見れるから尊敬の念が堪えない。

感想を書きながらも、
そうだ、私の発する言葉には責任感なかったんだ。気づきまで与えてくれる。
そんな素晴らしい本でした。

2021/08/03

元サッカー選手で現在はサッカー解説をしている戸田和幸の本。解説の裏話だけではなく、サッカーを俯瞰的に解いて説く良書。本書の中で何度となくサッカーの言語化が必要と説いているが、その通りだと思う。サッカー中継を見ている時に必要なのは、元サッカー選手の感想などではない。今、このピッチで何が起こっているかだ。目の前のサッカーを解いて説く解説者がまだまだ少ない。戸田は数少ない解いて説く解説者だと思う。

2021/05/04

　初めて戸田和幸の解説を聞いたとき衝撃だった。2002年のW杯で赤モヒカンにしてた印象が強かったので、こんなわかりやすく戦術を噛み砕いて説明してくれるタイプとは思わなかったからだ。
　今では好きな解説者の一人である著者が何を意識して解説してるのかを知ることで、自分の生活の中での解説力とサッカー観戦力が上がるんじゃないかと思い購入。

　視聴者にサッカーを理解して楽しんでもらうため、どういう準備をしているか、何に気をつけているかなどが書かれた１章と２章が特に面白かった。チームの持つコンセプトを理解して、それを達成するためになぜそのシステムと選手を選んだのかをより意識してサッカーをみようと思った。

　この本で一番良かったところは、試合分析ノートの内容を見せてくれているページだ。画像はちっちゃいので何が書かれてるのか見え辛いが、箇条書きではなく、そのまま台本にできるような文章で書いてあるノートを見て、著者の言語化に対する想いを感じた。

　この本に期待してたことが、戸田和幸が何を意識して解説してるかだったので、監督、選手、審判や自分の経歴などを語っている章については流し読みしたが、日本のサッカー観を変えてやろうという熱い気持ちが本越しにに伝わってくる本だった。いい本。