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武士の日本史 岩波新書1718
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2018/05/23 |
JAN | 9784004317180 |
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武士の日本史
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商品レビュー
3.9
11件のお客様レビュー
漢字の読み方が難しくて、なかなか入ってこない。フリガナを初出に限らず、あまり有名ではないもの、特に人名など特殊なものに関しては、何度でも振ってほしい。新書なので、もう少しどうにかならないのか。内容的には、当初持っていたイメージとはかなり違っていて、勉強になった。本書の締め方が出版...
漢字の読み方が難しくて、なかなか入ってこない。フリガナを初出に限らず、あまり有名ではないもの、特に人名など特殊なものに関しては、何度でも振ってほしい。新書なので、もう少しどうにかならないのか。内容的には、当初持っていたイメージとはかなり違っていて、勉強になった。本書の締め方が出版社のカラーを示している。
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序 時代劇の主役たち 第1章 武士とはなんだろうか―発生史的に 第2章 中世の武士と近世の武士 第3章 武器と戦闘 第4章 「武士道」をめぐって―武士の精神史 第5章 近代日本に生まれた「武士」―増殖する虚像 終章 日本は「武国」か 著者:高橋昌明(1945-、高知市、日本史)
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●:引用 ●正確で具体性のある戦闘関係の史料が得られなかったため、『日本戦史』が、江戸時代の娯楽本位に書かれた軍記物・軍談などに頼りながら、強引に架空戦史を書いた点は、国民の歴史意識をゆがめる結果になっており、おおいに問題である。第三章で述べたように、長篠の合戦で織田軍が大量の...
●:引用 ●正確で具体性のある戦闘関係の史料が得られなかったため、『日本戦史』が、江戸時代の娯楽本位に書かれた軍記物・軍談などに頼りながら、強引に架空戦史を書いた点は、国民の歴史意識をゆがめる結果になっており、おおいに問題である。第三章で述べたように、長篠の合戦で織田軍が大量の鉄砲を動員し、三段撃ちによって武田の騎馬隊を粉砕したという、歴史教科書にも載っていた「新戦術」、歴史の誤った常識を作ったのは、明治36年(1903)刊の『日本戦史 長篠役』であった。→「戦国の陣形」参照。 ●新渡戸の主張する武士道は、片々たる史実や習慣、倫理・道徳の断片をかき集め、脳裏にある「武士」像をふくらませて紡ぎだした一種の創作である。(略)彼はそれが西洋の騎士道に酷似しているとするが、彼の武士道が騎士道からの類推でできたものだから当然であろう。(略)騎士道やキリスト教と重ねて説明するやり方は、内外に日本人が西洋人に匹敵する優秀な文明的民族であると思わせる効果がある。そこには欧米に追いつき追い越すのを目標とした、近代的日本知識人のメンタリティーと秘められたコンプレックスを読み取ることも可能であろう。 ●近世の武士道は、武士社会内の、しかも一部でのみ通用する、普遍性を持たない思想であり、近代の武士道はエリック・ホブスボームらがいう「創られた伝統」だったからである。またそれは大日本帝国の時代にあってさえも、すべての時期、また一様に全日本人を拘束するようなものだった、とは考えられない。 ●そもそも人口が多く、階級・階層による利害対立が露になった高度に発達した社会にあっては、特定の階層・集団・世代や、ある限られた時期にだけ通用するような価値観しか存在しえない。全時代を通し、全社会で共有される価値観が存在するというのは、国民国家が創り出した幻想であり、国家支配層やそれに追随するイデオロギー集団がそうあって欲しい、と考える願望以上のものではない。結局近世武士道も近代武士道もそのような一つに過ぎないのである。 ●本書で明らかにしたように、日本の前近代の歴史は武士の降伏を決して否定していない。勇者もそうでない者もいて、はじめて人間の社会である。実質でみた時「武国」であった期間は短く、平安時代も江戸時代も長い平和な時代だった。我々は日本が武の国とか日本人は勇敢な民族だとかいう確かめようのないプロパカンダに乗ぜられるのではなく、むしろ「軍事面での勇敢さ」を不要とする、平和と安全保障の国際関係、国際環境を構築する方向で、それこそ勇敢に、粘り強く努力すべきである。いわずもがなのことだろうが、日本の武士の歴史を学ぶのには、そういう今日的な意味もある。人文科学は約に立たないという昨今の風圧もあるので、あえてそう言い切っておく。
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