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武士の日本史 の商品レビュー

3.9

11件のお客様レビュー

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2019/07/09

漢字の読み方が難しくて、なかなか入ってこない。フリガナを初出に限らず、あまり有名ではないもの、特に人名など特殊なものに関しては、何度でも振ってほしい。新書なので、もう少しどうにかならないのか。内容的には、当初持っていたイメージとはかなり違っていて、勉強になった。本書の締め方が出版...

漢字の読み方が難しくて、なかなか入ってこない。フリガナを初出に限らず、あまり有名ではないもの、特に人名など特殊なものに関しては、何度でも振ってほしい。新書なので、もう少しどうにかならないのか。内容的には、当初持っていたイメージとはかなり違っていて、勉強になった。本書の締め方が出版社のカラーを示している。

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2019/02/20

序 時代劇の主役たち 第1章 武士とはなんだろうか―発生史的に 第2章 中世の武士と近世の武士 第3章 武器と戦闘 第4章 「武士道」をめぐって―武士の精神史 第5章 近代日本に生まれた「武士」―増殖する虚像 終章 日本は「武国」か 著者:高橋昌明(1945-、高知市、日本史)

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2019/02/03

●:引用 ●正確で具体性のある戦闘関係の史料が得られなかったため、『日本戦史』が、江戸時代の娯楽本位に書かれた軍記物・軍談などに頼りながら、強引に架空戦史を書いた点は、国民の歴史意識をゆがめる結果になっており、おおいに問題である。第三章で述べたように、長篠の合戦で織田軍が大量の...

●:引用 ●正確で具体性のある戦闘関係の史料が得られなかったため、『日本戦史』が、江戸時代の娯楽本位に書かれた軍記物・軍談などに頼りながら、強引に架空戦史を書いた点は、国民の歴史意識をゆがめる結果になっており、おおいに問題である。第三章で述べたように、長篠の合戦で織田軍が大量の鉄砲を動員し、三段撃ちによって武田の騎馬隊を粉砕したという、歴史教科書にも載っていた「新戦術」、歴史の誤った常識を作ったのは、明治36年(1903)刊の『日本戦史 長篠役』であった。→「戦国の陣形」参照。 ●新渡戸の主張する武士道は、片々たる史実や習慣、倫理・道徳の断片をかき集め、脳裏にある「武士」像をふくらませて紡ぎだした一種の創作である。(略)彼はそれが西洋の騎士道に酷似しているとするが、彼の武士道が騎士道からの類推でできたものだから当然であろう。(略)騎士道やキリスト教と重ねて説明するやり方は、内外に日本人が西洋人に匹敵する優秀な文明的民族であると思わせる効果がある。そこには欧米に追いつき追い越すのを目標とした、近代的日本知識人のメンタリティーと秘められたコンプレックスを読み取ることも可能であろう。 ●近世の武士道は、武士社会内の、しかも一部でのみ通用する、普遍性を持たない思想であり、近代の武士道はエリック・ホブスボームらがいう「創られた伝統」だったからである。またそれは大日本帝国の時代にあってさえも、すべての時期、また一様に全日本人を拘束するようなものだった、とは考えられない。 ●そもそも人口が多く、階級・階層による利害対立が露になった高度に発達した社会にあっては、特定の階層・集団・世代や、ある限られた時期にだけ通用するような価値観しか存在しえない。全時代を通し、全社会で共有される価値観が存在するというのは、国民国家が創り出した幻想であり、国家支配層やそれに追随するイデオロギー集団がそうあって欲しい、と考える願望以上のものではない。結局近世武士道も近代武士道もそのような一つに過ぎないのである。 ●本書で明らかにしたように、日本の前近代の歴史は武士の降伏を決して否定していない。勇者もそうでない者もいて、はじめて人間の社会である。実質でみた時「武国」であった期間は短く、平安時代も江戸時代も長い平和な時代だった。我々は日本が武の国とか日本人は勇敢な民族だとかいう確かめようのないプロパカンダに乗ぜられるのではなく、むしろ「軍事面での勇敢さ」を不要とする、平和と安全保障の国際関係、国際環境を構築する方向で、それこそ勇敢に、粘り強く努力すべきである。いわずもがなのことだろうが、日本の武士の歴史を学ぶのには、そういう今日的な意味もある。人文科学は約に立たないという昨今の風圧もあるので、あえてそう言い切っておく。

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2019/01/06

武士と侍は違う。 成立の時期・背景が違う。 武士道と士道は異なる。 時代も背景も異なる。 儒教的な国家観や、支配層に対する理想像に強く引きずられている。中国や韓国どころではない。 新渡戸稲造の武士道さえも、近代の国際的・政治的な文脈のなかで書かれたものであり、結局は軍部にいいよ...

武士と侍は違う。 成立の時期・背景が違う。 武士道と士道は異なる。 時代も背景も異なる。 儒教的な国家観や、支配層に対する理想像に強く引きずられている。中国や韓国どころではない。 新渡戸稲造の武士道さえも、近代の国際的・政治的な文脈のなかで書かれたものであり、結局は軍部にいいように利用されてしまった。

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2018/12/24

力作。 侍と武士の違い。侍は身分。農民の上。 武士は元々弓が主力だった。馬は大して走れなかった。 武士道をいいように解釈して、国民を利用し、戦争にかりたてた当時の政府を批判し、二度とこのようなことが無いようにという、作者の願いを感じる。 日本人が特別勇ましわけでない。死ぬのは怖い...

力作。 侍と武士の違い。侍は身分。農民の上。 武士は元々弓が主力だった。馬は大して走れなかった。 武士道をいいように解釈して、国民を利用し、戦争にかりたてた当時の政府を批判し、二度とこのようなことが無いようにという、作者の願いを感じる。 日本人が特別勇ましわけでない。死ぬのは怖い。 やはり政府のいうことを鵜呑みにしてはいけない。

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2018/11/08

武士に関する様々な常識がそれほど確固たるものではないことを教えてくれる本。武士の発生過程や、長篠の戦いなど、著名な合戦の実像、そして、今日的な武士感や誤った戦史が定着した経緯など、勉強になりました。

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2018/10/16
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武士の発生から、大日本帝国、現在の風潮にまで、武士の視点から記している。 「幕府」や「武士道」といった、当り前に使用されている語や概念についても、その使用例や、思想史を辿ることで、近代の風が少なからず存在することがわかった。 私は史学に、我馴染みがあるように感じていた。しかし、学会では、素人の私の知っていた「常識」よりはるかに進んだ「通説」があることを思い知らされた。 当り前だと漠然と考えていたことを、例証によって覆していく悦びをこの本を読むことで感じた。

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2018/10/16

 古代から現代までの武士と武士像の変容を網羅的にまとめている。著者は日本中世史専攻で、これまでも武士の発生や武家政権の性格に関して独自の学説・視点を提起してきたが、本書では最近の学界の研究動向を吸収・整理しつつ、専門外の近世・近代にまで視野を広げ、武士に関する通俗的な巷説を解体し...

 古代から現代までの武士と武士像の変容を網羅的にまとめている。著者は日本中世史専攻で、これまでも武士の発生や武家政権の性格に関して独自の学説・視点を提起してきたが、本書では最近の学界の研究動向を吸収・整理しつつ、専門外の近世・近代にまで視野を広げ、武士に関する通俗的な巷説を解体している。武士は元来呪術を扱う「芸能人」であった、戦場では一貫して刀よりも弓矢が主力であった、前近代の武士においては降伏して捕虜となるのは不名誉ではなかった、近代以降の武士像・合戦像に強い影響を与えたは参謀本部『日本戦史』は架空戦史にすぎない等々、現代人の固定観念を揺さぶる歴史像をいくつも示す。実際の武士から乖離した虚構の「武士道」が現在も政治的ナショナリズムと連動して氾濫している状況に対する問題意識も明確で、極めてタイムリーな著作と言える。

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2018/09/05

武士のあり方、日本の政治史における武力の役割と思想史。 武士は、もともとは武芸を司る専門家として律令国家で育っていった。坂上田村麻呂のように専任の家があった。天皇の穢れを防ぐため、武力や弓を弾く音で居宅を守った。朝廷の権威を必要とする点は、その後も継続することになる。武家による幕...

武士のあり方、日本の政治史における武力の役割と思想史。 武士は、もともとは武芸を司る専門家として律令国家で育っていった。坂上田村麻呂のように専任の家があった。天皇の穢れを防ぐため、武力や弓を弾く音で居宅を守った。朝廷の権威を必要とする点は、その後も継続することになる。武家による幕府という体制も、江戸時代に頼朝に私淑した徳川家康以降が論拠を示すことになる征夷大将軍にこだわらなければ、兵士も豊臣も幕府と言えると著者は主張する。 また精神的には武士道は一貫して成立していたわけではなく、もともとは陽平的なところもあったし、あくまで領主との関係であったが、それが江戸の平和になった時代に過去を美化して死を精神的に昇華し、その後のナショナリズムに利用されたとしている。

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2018/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最新の日本史学を踏まえ、武士の成り立ちから近代における位置づけまで、さまざまな論考をまとめた良書。 文体が硬めなので最初はやや取っつきにくいけど、とにかく幅が広いので、知的興奮度は高目。平氏と豊臣秀吉の治世も、「幕府」と呼んで差し支えないのではないかという説は興味深かった。 「武士」という言葉の定義自体は、時代によって大きく変わるので、日本においては通史的な「武士の国」という考えは成り立たないとした上で、「武」のイメージのみが独り歩きする風潮に歴史学者として警鐘を鳴らしている。

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