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深淵の沈黙
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京外国語大学出版会 |
発売年月日 | 2018/02/01 |
JAN | 9784904575666 |
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深淵の沈黙
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商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ベトナム南部に生まれた天才的詩人であるファム・コン・ティエン(1941-2011)は、「主体」/「客体」(あるいは「見る者」/「見られる物」という二項対立的世界観)といった「言葉」そのものが「思考」──つまり、ある事物に対して、それを一つの「存在」と見做すことで生じる、一種の無意識的前提──を束縛していることを問題と捉え、今我々が見ているような世界の言語的分節・概念を全て破壊し尽くし、真に全ての言葉・思考・概念が破壊された後に来るであろう(「主体」「客体」という概念ですら事物を表し得ない)「ただ〈在る〉だけの状態」(「深淵の沈黙」)に至り、さらにそこから「叫ぶ」ことによって新たな言語的分節=新たな思考を創造するプロセスを説く。それは如何にして為し得るのか──というのが本書のおおまかな概要だといえるだろう。 しかし、明らかに前提とされる知識が多いうえ、しかも、その文体も哲学書というよりは詩(文藝)に近く、ニーチェやハイデッガー、さらにはランボーやヘンリー・ミラーの引用を多用しつつ晦渋かつ熱量豊かに語るため、非常に難解なテクストだと言えるだろう(少なくとも私は「この本を完全に読めた」とは口が裂けても言えない)。ただ、それでも何故か「読ませてくる」魅力(魅惑?)があり、テクスト一つ一つに込められた血か汗か涙か魂か別のものかの熱さが多分に込められているせいか、不思議と惹きつけられてしまう。その内容を語る言葉、それ自体の魅力があるのだ。たまにはこういう「やばい」テクストを読めて良かったな、というのが率直な感想である。また、日本ではほぼ無名とも言えるティエンだが、本書を翻訳された野平宗弘氏ならびに東京外国語大学出版会には敬意を表さざるを得ない。ちょうど良さそうな書籍が出版されれば、また購入したい所存である。
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