カーテンコール！

加納朋子(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2017/12/22
• JAN: 9784103513919

商品レビュー

2025/11/25

閉校が決まった大学を卒業出来なかった女子生徒約10人が大学の理事長の温情で半年間で全員の卒業を目指す。
二人一部屋の寮生活、外出、ネット、面会禁止の軟禁生活が始まる。
卒業出来なかった彼らにもさまざまな事情があり、理事長やその家族、友人らが彼らを支え自己嫌悪の塊だった彼らに自信を持たせる。全員卒業で心温まる話。

2025/10/25

こちらも一万円選書のいわたさんが紹介されていた本。
閉校が決まった女子大で単位不足により卒業できなかった学生達が、卒業を目指し半年間の寮生活を送ることになる。
卒業できなかった彼ら一人ひとり、問題や事情を抱えている。
睡眠障害、拒食症、その他諸々…。
読んでいて一番感じたのは、やはり集団生活を送ればある一定の落ちこぼれ(あえてそう表現させてもらうが)が出てしまうのは仕方ないことなんだ、ということ。
そして、彼らを救うには個別対応しか残されていないということ。
ただ、どうしようもないような人でも、諦めずに手をかければ改善の余地はあるということ。
集団を相手にしている一人として、肝に銘じたいと思った。

理事長の姿勢は、決して彼らを甘やかすのではなく、あくまで一人ひとりにとって必要なことを見極め、手助けしていくというもの。
ものすごく労力のいることだと思うが、それをにこにことやり遂げてしまう人間力の素晴らしさよ…！
起立性調節障害の学生に対し、「診断がつくことは遅刻のお墨付きをらもらったわけではない。人間の身体は、自分である程度コントロールできる。動きの悪くなった機械もネジを締め直したり埃やゴミを取り除けばまた動きだしたりするのに、最低限のメンテナンスもせずに匙を投げるのは怠慢だ」と突きつけるセリフには、すごくスッキリ！
できないと諦めるのではなく、どうすればできるのかを考える姿勢にすごく共感できた。

最終章では彼自身の暗い過去も明かされるが、でもそんな辛い過去を乗り越えたからこその今なんだと希望を感じられる終わり方ではある。
個々の学生は覇気がなくどよーんとした暗い雰囲気が漂ってはいるが、彼らが少しずつ前を向いて進んでいくストーリーで、前向きに受け止められる内容だった。

2025/10/07

優しさに溢れた良い１冊だった。が、しかし
その優しさが染み込んでくるという事は、同じだけ社会や人間に傷ついている人達が描かれているからだと思うと切なさもある。でもそこに気づけたのだから常に心の中にこの本を置いておこうと決めました。