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人魚の石
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人魚の石

田辺青蛙(著者)

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人魚の石

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 徳間書店
発売年月日 2017/11/30
JAN 9784198645083

人魚の石

¥220

商品レビュー

3.1

12件のお客様レビュー

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2026/02/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

不思議に面白い青蛙さんの奇譚。ユキオが育った寺に帰ってみると子供の頃過ごした懐かしい所だったはずが。奇妙な石に閉じ込められた人外のものが現れ一緒に住むことになる。 住職だった祖父亡き後ひとりで寺を守っていた祖母が亡くなって、後を継いで守っていくのに帰ってきた。そのつもりだったので期待もしていた。懐かしい子供時代、祖父母は優しく山の風景は輝いていた。 独居老人とわずかな子供しかいなくなった過疎の村で、今は破れ寺の坊さんという体。 東京でミステリ書きになったという兄は帰る気配もないが、書店に兄の本が並んでいるのを見たこともない。 山道を登っていく雨後の霧の中から浮かんできた影、これほどおんぼろで荒れた寺だっただろうか。 気を取り直して掃除を始めた。昔から仕えている徳じいが寺を守ってくれていた。おいしい弁当に涙がほろっとこぼれた。 まわりから奇石が見つかるという。中に潜むのは人か妖か。徳じいはここに来ると必ず祖母の気配がするという。 奇石とは言っても珍しい水晶のような輝石に近いもので、それは結構な収入になる。石堀人たちが山で掘り出していたこともあるという。 外で子供の声がした、出てみると誰もいなくて視線の先に濁った池が見えた。気になるのでポンプで水を抜いてみると底から真っ白い男が出てきた。人魚だという。 昔、祖父に埋められてから気持ちよく寝ていたのを起したと怒り気味。人魚だというがしっぽの代わりに足があった 信じられないが裸の男は現実で、服も着ないで寺で暮らし始めた。名前をうお太郎にした。 ここから、自分でも自分が信じられなくなるほどの怪異が起き始める。しかしそれも現実で馴れれば馴れるものだ。うお太郎は勝手な生き物だが可愛げもある。 猛烈な風雨のあと庫裏と本堂を残して屋根が落ちた。寺は住みにくくなった。 山に分け入ってみると記憶がある、蔦に埋もれた茶屋があった。寺はいつ全壊するかわからない、小屋を飲み込んだ葛越しに覗くと、うお太郎が寝ていた。 拾った石をうお太郎が踏むとぼんやり人影が見えた。一言「つらい」といって消えたが「幽霊石」だそうだ。「ちゃんと中に入っていただろう」なぜか怖くもなかったが、こちらもどこかおかしくなってしまったのか。 風呂場でうお太郎が拾ったのは「記憶の石」だった。気味の悪い記憶が閉じ込められているようだった。 「殺人事件」うお太郎がにおわす。「あんたの兄さんのデビュー作」と意味深なことも言ったが。 山にはまだまだ不思議な石が埋まっているらしい。 小屋を巻いた葛は厄介でへとへとになり苦戦していたところに、天狗が出た。背中に黒い翼がある。 「天使ですか?」 「おぬしは馬鹿かワシは天狗だ、天狗」 案外親切で飢えて死にそうなところに握り飯をくれたり、 「おぬしはこの先にある寺の血筋の者だろう。代々石を探して石を売って生業にしていた一族ではないか」云々。 天狗から物をもらうと必ずお返しがいるらしい。頼まれた石を探すことになった。 朝見ると葛がすっかりなくなっていた。 うお太郎を図書館に連れて行くと手放しで喜んだ。様子がおかしいので聞いてみると宇治の寺に人魚の木乃伊が展示されているという。写真を見てうお太郎が「姉さん」といって泣いていた。 そこで盗み出す手伝いをした。宇治川を泳いで寺に入り無事手に入れた。うお太郎と別れてよろよろと帰ってきたが、うお太郎は帰ってこないで木乃伊と共に消えた。 滋賀の海にいるという。居たものが居なくなって寂しい。訪ねていくと琵琶湖の底にいた。 「記憶石」をくれた。血の匂いと殺人の記憶が蘇った。額に当てておぞましい幻を見た。 人の世と幻の境に落ち込んだとき天狗が来て「未来の石」をくれた。いつか使おう。 琵琶湖の底にはまだ不思議が眠っていた。 青蛙さんの世界はさすがにどこか気味わるい、それが意外に普通に読める。 「記憶の石」「生魚の石」「天狗の石」「目玉の石」「祖母の石」「未来の石」「夢の終わり」「人魚の石」 それぞれがとんでもない話なのだが、どこか別世界から来たようで今につながっている、こんな物語が奇妙で面白い。 田辺青蛙夫妻も森見さんも居住圏が近いのか、物語の風景になじみがある。宇治から帰る道筋も天ヶ瀬ダムの見える風景はよく通るところで、目に浮かぶ。寺のある山とはあのあたりのことかなと、見当違いかもしれないが、馴染んだ風景が舞台だった。 続きは出ないのだろうか。いくらでも書けるような奇談作家の腕の良さに期待が膨らむ。

Posted by ブクログ

2025/08/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初めて読む作家さんでした 説明もないまま物語は進んでいきますが、連作短編集風な作りで、登場する人魚や天狗たちもどこか人間味がある性格と口調ですいすい読みました。 ラストは後味悪いような背筋が寒くなるような気もしましたが、未来の石と夢の終わりの章をもう一度読んで、この未来はいつのことだ…?と思うと、主人公的にはハッピーエンド?と思うなどしました、独特な世界観が読後感もずっと残っているので、他の作品も読んでみます。

Posted by ブクログ

2019/12/20

青蛙というペンネームからはもう少し硬質の怪奇譚を勝手に期待していたが(あの円城塔のつれあいであれば尚更)、案外とナイーヴな話である。小泉八雲というよりはゲゲゲの鬼太郎(もっとも鬼太郎もオリジナルの墓場鬼太郎はおどろおどろしい)。やたらと妖(あやかし)の類が出てくるが、どれもこれも...

青蛙というペンネームからはもう少し硬質の怪奇譚を勝手に期待していたが(あの円城塔のつれあいであれば尚更)、案外とナイーヴな話である。小泉八雲というよりはゲゲゲの鬼太郎(もっとも鬼太郎もオリジナルの墓場鬼太郎はおどろおどろしい)。やたらと妖(あやかし)の類が出てくるが、どれもこれもではなく、つい誰も彼もと言ってしまいそうになる程に人間臭い。不思議な能力や主人公の知らないことを知っているという情報格差でたぶらかす様も人外のものとは思えない程に幼い子供の思い着くような悪戯だ。こういうエンターテイメント系の小説は最近読んでいなかったので文章に乗り遅れながら読み切る。 終末に向けて登場する物の怪は、推理小説の様式で言えば使ってはいけない奥の手であるが、そこだけは妙に怖い。その感情の根っこにあるのは、よく知らない人が親切にしてくれるのを手放しで受け入れられない居心地の悪さと同じ類のもの。エピローグは至極当選の帰結としてそうなるよね、と思った所に落ち着く。最初からここを狙って書いていたのなら相当にひねくれた作家と思うが、読後の感想としては連載していた連作短篇集をまとめたもののような印象。モチーフとしての「石」と「人魚」が各々の物語を縫い合わせてはいるものの個々の章は独立している。それ故に、エピローグの不気味さも少しばかり慌てて繕った印象が残る。 ふと、主人公の兄は今何処にいるのかが気になった。兄は本当に兄だったのか。物語は語らないことの方が本当は恐ろしいということをしみじみ思う。遠野物語の元になった昔話が本当にあったことを夢物語風にして人間の残忍さを中和したように、妖怪は誰かの過去のうつしみ。であれば登場する物の怪達が人間臭いのも当たり前のことなのかも知れない。

Posted by ブクログ

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