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殺人者の記憶法 新しい韓国の文学17
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | クオン |
| 発売年月日 | 2017/10/25 |
| JAN | 9784904855645 |

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殺人者の記憶法
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商品レビュー
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70歳のキム・ビョンスは認知症に罹っている。死ぬのは怖くないし、自殺用の毒も準備している。しかしどうしてもやらなければいけないことができた。そこで自分の行動日記を付けている。 キム・ビョンスは25年前まで連続殺人犯だった。死体はみな竹藪に埋めてある。一人娘のウニは、最後の被害者が...
70歳のキム・ビョンスは認知症に罹っている。死ぬのは怖くないし、自殺用の毒も準備している。しかしどうしてもやらなければいけないことができた。そこで自分の行動日記を付けている。 キム・ビョンスは25年前まで連続殺人犯だった。死体はみな竹藪に埋めてある。一人娘のウニは、最後の被害者が遺した赤ちゃんを養女にしたのだ。 キム・ビョンスが認知症診断が出ると同時期に、近隣地域で連続殺人が起きるようになった。もう三人殺されている。「ひょっとして、俺か?」 ある日パク・ジュテという男と知り合う。目を見てお互いにはっきりと同類だと分かった。あいつも人殺し。 そして認知症が進み、記憶障害や徘徊を繰り返すキム・ビョンスの面倒を見るウニが結婚したいという男を連れてきた。 それがキム・ビョンスが連続殺人犯だと目星をつけたパク・ジュテだった。 ヤツは娘を殺す気か。その前に俺がヤツを殺さなければ。 前半は、連続殺人とか認知症とか深刻な割には気が抜けたようなユーモラスさもあり、今まで読んだことのないタイプの小説だ!と楽しくなりました。「ひょっとして俺が殺したか?」ってなんなのよ・笑 さらに殺人者で詩人の手記なので言葉がリズミカルで文章に乗りやすい。 キム・ビョンスが連続殺人していた頃は、北朝鮮からのスパイの出入りもあり、田舎で人が行方不明になっても「スパイに殺られたか、拉致されたか」で大した事件にならなかったという。韓国の拉致問題って今では国家として解決に向けているのかな? 小説は認知症のキム・ビョンスの一人称(日記)のため、記憶は混乱するし何が起きたかわからないし。「服が汚れているがまったく覚えていない、日記にも書いていない。誰かを殺したのだろうか?」って感じ。小説だったら、現役殺人者と認知症の殺人者の対決って面白そうですからね。 しかしキム・ビョンスの語りは根本から崩れてゆく。事実を記憶できない彼は娘のウニの「お父さん、昨日話したでしょ」と言われたらそれが事実と認識する。正気の根源がウニ。しかしそんな大切な一人娘ウニのことを傷つけた?ようなことをしたり、ウニの言葉に矛盾が出てきて、読者もなにが真実で、何が認知症の混濁なのかがわからなくなっていく。 そして終盤は…うーん、なんか知ってる感じの読み心地になったと言うか、まとまっちゃったというか、小説としてそう逃げたかって感じだなあ。 キム・ビョンスはモンテーニュやニーチェを読み、心を落ち着けるために般若心経を唱える。詩作もしていた。なお、P24で「アルゼンチンかスペインの作家で、老作家が川辺で若い自分と出会う」はボルヘスの『他者』です。そして記憶が失われていく殺人者はボルヘスの『記憶の人フネス』と対峙する感じでもあります。「他の本を読んで出会ったボルヘスコレクション」が増えました(^。^)
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2025年の最後に読んだ本。 本の厚さの割に文字量が少なくすぐに読み終えた。 どんな結末を迎えるのかハラハラしながら読み進めたら想定外の終わり方にびっくりしてしまった。 主人公は本当は身内を慈しんだり、自分に執着する他者を欲していたのかしら。 だんだん真っ白になっていくのが物悲しい。
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以前、映画を観たときも感じたが、なんとも摩訶不思議な読み心地。 認知症の元殺人鬼の語りで物語は進んでいく。これがなかなかにブラックユーモアがきいていていい。 例えばこんな感じ。 「俺の住んでいる群とその近隣の群で、三人の女性が立て続けに殺されたという(中略)アルツハイマーだと診断された直後に三人目の犠牲者が出たから、俺としてはこう自問するのも当然だった。 ひょっとして、俺か?」p16〜17 「ひょっとして、俺か?」じゃないよあんた!とは思うがまぁ、当然殺人鬼だって歳はとるし認知症にもかかる訳で、そしたらやはり、「俺か?」という疑念が生じるのも然るべしなのかもしれませんね。 途中、般若心経がちょこちょこはさまれるが、記憶があやふやで「私」が崩壊していくという主題はまさしく仏教の基礎「空、無常、無我」に相当するもので、個人的にこの辺りの仏教用語に興味津々な私にとって、こうしたモチーフは垂涎もの。「お、きたきたっ!」と心が踊りました。 他にもニーチェやら詩やらいろいろ引用されるので、そっちが好きな人はまたそっちでニタニタ楽しんでるんやろうなぁという気がする。 作者のサービス精神に感謝。 さて、ここで忘れてはならないのが、この小説が「韓国文学」であるという点だろう。しかも、ところどころに朝鮮戦争だとか四月革命だとか、時代をにおわせる記述がはさまれる。となると、この話を読むにあたっては当然、韓国近現代史を念頭に置いておかねばならず、そしてこれに照らし合わせて読み進めると、主人公が殺人を犯していた時期はちょうど朝鮮戦争直後から民主化までの独裁軍事政権時代に相当することが見えてくる。 民主化以降、直接的な暴力はなかなか目につかなくなった現代においても、そうと気付かぬうちに人々はその生を脅かされ、追い詰められている。(それをチョン・イヒョンは『優しい暴力の時代』と形容した) この小説は、そうした現代社会への風刺であると私は読んだ。 風刺どまりでその先が見えなかったため⭐︎4つに。でも、すごい小説でした。
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