ハケンアニメ！ マガジンハウス文庫

辻村深月(著者)

• 販売会社／発売会社: マガジンハウス
• 発売年月日: 2017/09/06
• JAN: 9784838771004

商品レビュー

2025/11/03

頑張りたいときに読む作品。

仕事をしていると、眠れなくて、息苦しく、涙もでないくらいに、ドロドロの時がある。
それでも手放せないのは、この作品の彼らと同じで、愛があるからだと思う。

本作品は、アニメの制作現場をテーマにした連作小説だ。章ごとに、主人公がかわり、立場がかわり、目線がかわる。ほかの章では「伝説の進行」「話題の新人監督」「神絵師」と呼ばれる彼女たちにもそれぞれにコンプレックスがあり、仕事やプライベートで行き詰まり、傍目に見るほどにはキラキラしていない。
彼女たち、だけではない。天才監督の王子、敏腕プロデューサーの行城、人気者の市役所職員・宗森など、彼女たちを取り巻く人々も、人知れずあがいている。
苦しくて苦しくて、それでも手放せないのは、アニメへの愛と敬意があるからだ。会社を守るために奮戦する、というのとは違って、自分の作品・アニメへの愛ゆえに、あきらめられないのだ。

私自身はアニメファンではないけど、なにもアニメでなくていい。どうしても手放せない仕事（もちろん趣味でも！）があれば、きっと共感すると思う。どの章も読みごたえがあり、胸が熱くなる。なかでも、3章目は辻村深月さんらしさが全面に表れていると思う。
愛のあふれる、気持ちの良いお仕事小説には、気持ちの良いラストがぴったりだ。

2025/10/22

この作者の作品を順番に読んできて、今ここ。
以前ハードカバーで読んだ。

仕事に希望を持てるような小説。
本当はどろどろ辛いことは多いと思うけど、いいところを発信することは大事だと思う。
みんながそこに気づき、共通認識を持つことができるから。

2025/10/01

2025/10/01
p.532
　葵の舟謡が、静かに、川の水音の流れに沿って、響き渡る。

　この日々を後悔しない
　諦めない
　挫けない
　これは、ぼくの選んだことだから
　ぼくたちの選んだ、大事な明日のことだから