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ウォークス 歩くことの精神史
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 左右社 |
発売年月日 | 2017/07/07 |
JAN | 9784865281385 |
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ウォークス
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歩くこと。歩きながら考えること。それが人類をいつも前に進ませてきた。人類の精神を形作ってきた歩行の歴史を、自身の経験も交えながら縦横無尽に語りつくすノンフィクション。 私は歩くのが好きなほうで、時間が許せば二駅分くらいの距離は歩いていく。交通費をケチってると思われたりもするが...
歩くこと。歩きながら考えること。それが人類をいつも前に進ませてきた。人類の精神を形作ってきた歩行の歴史を、自身の経験も交えながら縦横無尽に語りつくすノンフィクション。 私は歩くのが好きなほうで、時間が許せば二駅分くらいの距離は歩いていく。交通費をケチってると思われたりもするが、私は一人でものを考える時間が好きだから歩くのが好きなのだなと本書を読んで気づいた。歩くことについて考えたことがなかったから、そんな単純なこともわからないままにしていた。 本書でソルニットが俎上にあげたトピックは多岐に及ぶ。そもそもヒトを猿から隔てたのが二足歩行だから、人類史のほとんどが歩行と結びついてしまうのだ。ひとまずは「なぜ人類は二足歩行を始めたのか」を過去・現在の科学者が唱えるさまざまな仮説をならべて考えるところから始まる。結論はでないが、前時代の女性差別的な仮説をイジりにイジり倒すのが楽しい。 その後、歩行が文学のテーマになったのはソローから、ということで時代は一気に下って18世紀へ。ロマン派、ワーズワース、安全な庭からピクチャレスクな〈自然〉へ、というベタな流れを辿るのだが、歴史的な記述からシームレスに個人的なエピソードへ繋がっていく語りがとにかく気さくで読みやすい。最初は本書の厚みにビビった私も夢中で読み進めていた。 とはいえ、私は自然が好きな歩行者ではないので、都市の歩行者に視線を移した後半部のほうが興味深かった。ソルニットが実際に滞在したことのある世界の都市を比較しているところを読むと、同じように「東京や札幌や福岡を歩くこと」を語る本があってほしいと思う。 ソルニットの口調が特にアツくなるのは民衆が集会の自由を行使し、歩くことの力を発揮するパレードやデモについて語る場面だ。市民が道路を私的空間とみなして寛いでいる街と語られたパリが、それだからこそ革命が起き今もデモの盛んな都市なのだと言われると、ニュースで見る火炎瓶飛ぶパリの印象も違ってくる。 ソルニット自身もそうした行列・行進に参加してきた一方で、歴史的に女性の一人歩きは危険視されてきた。ただ一人で自由に歩きたいと思うだけで、男性の欲望や憎悪から身を守る術をつけろと強要される〈歩く女たちの歴史〉を記した「夜歩く」の章は、ソルニットの内面も吐露されフェミニズムのエッセイとして素晴らしい。夜間に歩いていただけで警察に拘束され、処女か非処女かの"検査"をされたというおぞましい話も、そう遠い昔ではないのである。 結末部は人間の身体性が疎外されている現代社会に対する批判になっていくが、なかでもルームランナーを使ったウォーキングについての「かつて使役動物の地位にあった身体は現在愛玩動物の地位におかれている。往時の馬のような実際的な輸送手段とはなっていない代わりに、犬の散歩のような運動を課されている。つまり、実用ではなく娯楽のための存在となった身体は、労働[ワーク]ではなく運動[ワークアウト]している」というくだりはキレ味がよすぎる。 本書を読んでいてストレスフリーだったのは、なんにつけても〈書く〉主体がほとんど男性だった時代を語るときに、では女性はどうだったのだろう、とサイドチェンジする視点が常にあることだ。歴史を書いたものには、男性が当然のように女性を排除して使う「私たち」に曖昧に乗っかって仲間に入れてもらったような気にならないと読めないものもある。本書は、「では女性は」「では同性愛者は」「では金を持たない庶民は」と、〈書く〉特権階級にあとから参入した属性のことを忘れることがない。それが読んでいて本当に安心できる。しいて言えば、義足や車椅子のユーザーのことはどう考えているのか知りたかった。 〈歩くこと〉から放射状に語りが拡散していくようにも、〈歩くこと〉という一つのテーマが多様な語りをギュッとまとめているようにも読める巧みな構成で、ここからまた思考を歩ませることができる開かれた本だと思う。松岡正剛の『ルナティックス』や『フラジャイル』のような遊学の精神とフェミニズムが結びついて、読む者の心を軽くする一冊になっているのがすごい。名著。
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多面的にあるくことを見つめていく哲学書。 サブタイトルの「歩くことの精神史」にじわじととくるものがある。「人」ではなく「こと」であることに。 6年と10日。2201日掛けてようやく。ここまで自分も歩いてきたのだなと感慨。
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第1部 思索の足取り The Pace of the Thoughts /第1章 岬をたどりながら /第2章 時速3マイルの精神 /第3章 楽園を歩き出て――二足歩行の論者たち /第4章 恩寵への上り坂――巡礼について /第5章 迷宮とキャデラック――象徴への旅 第2部 庭園か...
第1部 思索の足取り The Pace of the Thoughts /第1章 岬をたどりながら /第2章 時速3マイルの精神 /第3章 楽園を歩き出て――二足歩行の論者たち /第4章 恩寵への上り坂――巡礼について /第5章 迷宮とキャデラック――象徴への旅 第2部 庭園から原野へ From the Garden to the Wild /第6章 庭園を歩み出て /第7章 ウィリアム・ワーズワースの脚 /第8章 普段着の1000マイル――歩行の文学について /第9章 未踏の山とめぐりゆく峰 /第10章 ウォーキング・クラブと大地をめぐる闘争 第3部 街角の人生 Lives of the Streets /第11章 都市――孤独な散歩者たち /第12章 パリ――舗道の植物採集家たち /第13章 市民たちの街角――さわぎ、行進、革命 /第14章 夜歩く――女、性、公共空間
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