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マインド・クァンチャ The Mind Quencher 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2017/03/22 |
JAN | 9784122063761 |
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マインド・クァンチャ
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商品レビュー
3.9
28件のお客様レビュー
ヴォイド・シェイパシリーズ第五弾にして完結編。ゼンの長い旅はここでようやく終わった。全て読んで感じた事と言えば作者の別作品である「喜嶋先生の静かな世界」に雰囲気が似ていたような気がするということだ。それはどちらも何かを極めようとした人の存在感というか軌跡のようなものだと思える。
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これで完結なのか。素晴らしく澄んだ小説だった。ゼンさんの今後、気になる、、、、気になりすぎる。 エピローグ後、どのように展開するのか2つの道がある。私は置かれた場所へ戻ったんじゃないかと思う。ゼンさんの全く新しいストーリーがそこから始まると信じて…
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'あの赤い面の刀筋の美しさといったらない。あんな剣が自分も欲しい。 紙一重は、超えられない隔たりなのか。 待て……。 しかし、今ここで見た幻覚でも、自分は斬られたではないか。 夢でも斬られ、幻にも斬られた。 待て、それは違う。 斬られてはいない。自分は生きているではない...
'あの赤い面の刀筋の美しさといったらない。あんな剣が自分も欲しい。 紙一重は、超えられない隔たりなのか。 待て……。 しかし、今ここで見た幻覚でも、自分は斬られたではないか。 夢でも斬られ、幻にも斬られた。 待て、それは違う。 斬られてはいない。自分は生きているではないか。 当たり前なので、また笑ってしまった。今度は本当に声を上げた。 相手は幻なのだから、斬られないのは当たり前。当たり前だが、しかし、斬られていない、という確信が何故かあった。それどころか、自分の刀は、敵の躰に達していたのではないか。手応えもないのに、そう思えるのだ。 そして、そう思った一瞬、躰が震え、笑いも止まり、目を見開いていた。 … まちがいない。 あの剣に勝てる。 理由はわからないが、勝てると思った。 あの美しい剣に。 どうしたのだろう? 何の違いがあった? いや、それも違う。 それこそ、大間違いだ。 そうか……・ 理由など、もしかしていらないものか? これも、身震いを伴う思いつきだった。 ただ、ただ、そんな気がしたのだ。 もう、その答えしか残っていない。 そうとしか考えられない。 … 気が狂ったのではないか、と思い、また笑いたくなった。 山の中、崖の上で、ただ一人。 一心不乱に刀を振り回して踊っていたのだ。 躰は熱く、汗が流れていた。 息は早く、そして白い。 振り返ると、東の空が明らんでいる。 大事なことに気づいた一夜だったな、と思った。 大事なこと? それは何だ? それは……、 大事なことなどない、ということだ。 これが大事と決めることが、すなわち理由というものであって、その理由に縋っていたのが、斬られた自分だったのだ。 それが、間違いだったのだが、否、それが間違いだと決めることもまた、理由にほかならない。 … 自分の刀は、なにも考えずに、襲いかかるものへ向かう。 それを信じることが、剣の道だ。 あの老人は、刀は人を斬る、人を殺すものだと言った。自分もそれを否定することはできない。 しかし、この刀が抜かれ、振られるときには、良いも悪いもない。 生も死もない。 理由などなかったのだ。 あるのは、筋、つまり道のみ。 ただ、己の道があるだけだ'
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