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扉のかたちをした闇
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2016/12/01 |
JAN | 9784093885249 |
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商品レビュー
3.9
18件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
“9年後に還暦を迎えるあなたへ” 耳は遠くなりましたが あなたの想いはあの日より聴こえます 目はよく霞みますが まだあなたの涙は拭いてあげられます 声は枯れていますが 心とよく似た言葉をやっと見つけました 歌わせてください もう一度 果てない夢の途中で “忘れ上手” 例えば幸福 それがどんなに素敵なものなのか 失くしてからでないと思い出せない 好きな詩をピックアップしたら、両方森雪之丞さんでした。 そして、最後のお二人の往復書簡で、 日本版キンキーブーツについての会話があり、 この頃の春馬くんの努力に思いを馳せました。
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絵國香織さんと森雪之丞さんのセッション詩集ですね。 2016年発行です。 『2011年に朗読ライブから始まった江國さんとのセッションは、2013年の八月から小学舘「本の窓」の誌面に舞台を移し、約三年、連載を続けました。』とあとがきに森雪之丞(1954年東京生まれ。詩人、作詞家、戯...
絵國香織さんと森雪之丞さんのセッション詩集ですね。 2016年発行です。 『2011年に朗読ライブから始まった江國さんとのセッションは、2013年の八月から小学舘「本の窓」の誌面に舞台を移し、約三年、連載を続けました。』とあとがきに森雪之丞(1954年東京生まれ。詩人、作詞家、戯曲家、作曲家)さんが述べられています。 詩と謂うものが、自身の琴線の調べを吟じるものだと、私は常々思いましたが、セッションで詩を吟じることが出来るのは、並々ならぬ才能だと感銘しました。俳句や短歌、川柳等では返歌のかたち、或いは連歌集のかたちでみかけますね。それとても、やはり才能だと思います。それだけに、このセッションは、興味深く味わいました。 一つだけ 誰かが縛った雪柳 (江國香織)四月 誰かが雪柳の枝を縛ったのよ 私たちの雪柳 あなたはまるで生卵みたい 完璧にまるいかたちで 一部の隙もなく閉じていて さわるとざらざらしている 私はいつか あなたを砕々にしそうでこわい 生卵には耳がない 私の言葉はあなたには届かない 私は雪柳をほどいてやった 昼下がり 誰かが縛った雪柳 四月は桜吹雪の中で (森雪之丞)四月 スニーカーで蹴りあげた身体を サドルがしっかり受け止めた 一周一・七五キロのアップダウン 硯公園のサイクリング・ロードは今や 散った桜が景色に流れ浮かぶ 魔法の国に変貌している ぐうっとペダルを踏み込む そこにいたことが空気が不意に 風だったと正体を明かす 一つ目のカーヴへ ためらわず預ける体重 待ちかねたように上がる速度 前方には積もった花びらが 漂泊の雲を真似て立ち込めている 迷わず突入 心が躍る 桃色が舞う 生きていることを歓迎されて 命が声をあげ喜んでいるみたいだ 四月は桜吹雪の中で 僕は勇気を取り戻す こんな夢みたいな出来事が この世界ではまだ起きるんだと うなずきながらペダルを漕いで 僕は勇気を取り戻す セッションの楽しさは、呼応する感性の共鳴にあるのかなと思います。お二人の心の響きあいを享受されている様子を、密かに感じさせて貰いました。
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詩はいい。近頃仕事とか生活に本気になりつつあったからなる必要がないことを思い出せてよかった。生活の色はなければないほどいい。いつまでも地に足をつけることを厭う。努力をすると他人に努力を強いる羽目になるから努力したくない。我慢も苦労もごめんだ。なんのためになにをやっているのかわからなくなってくるから嫌だ。ゆでたたこをまるごと食べたいと思う人生がいい。それを口にできるほうがいいし、やれるほうがいい。自分のやりたいことしかやってはならない。(そうしないと本当の意味で下卑る。誰かに評価されるために生きるのはいやしい。)詩は自分自身を思い出さされる。あー危ない危ない私はこうしたかったんだって顔を上げて、電車の中でなんにもしないで梅田駅まで窓の外を見てた。屈したくねえなあと思う。私にとっての実用は詩にある。形のないものが私の形になる。
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