扉のかたちをした闇 の商品レビュー
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“9年後に還暦を迎えるあなたへ” 耳は遠くなりましたが あなたの想いはあの日より聴こえます 目はよく霞みますが まだあなたの涙は拭いてあげられます 声は枯れていますが 心とよく似た言葉をやっと見つけました 歌わせてください もう一度 果てない夢の途中で “忘れ上手” 例えば幸福 それがどんなに素敵なものなのか 失くしてからでないと思い出せない 好きな詩をピックアップしたら、両方森雪之丞さんでした。 そして、最後のお二人の往復書簡で、 日本版キンキーブーツについての会話があり、 この頃の春馬くんの努力に思いを馳せました。
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絵國香織さんと森雪之丞さんのセッション詩集ですね。 2016年発行です。 『2011年に朗読ライブから始まった江國さんとのセッションは、2013年の八月から小学舘「本の窓」の誌面に舞台を移し、約三年、連載を続けました。』とあとがきに森雪之丞(1954年東京生まれ。詩人、作詞家、戯...
絵國香織さんと森雪之丞さんのセッション詩集ですね。 2016年発行です。 『2011年に朗読ライブから始まった江國さんとのセッションは、2013年の八月から小学舘「本の窓」の誌面に舞台を移し、約三年、連載を続けました。』とあとがきに森雪之丞(1954年東京生まれ。詩人、作詞家、戯曲家、作曲家)さんが述べられています。 詩と謂うものが、自身の琴線の調べを吟じるものだと、私は常々思いましたが、セッションで詩を吟じることが出来るのは、並々ならぬ才能だと感銘しました。俳句や短歌、川柳等では返歌のかたち、或いは連歌集のかたちでみかけますね。それとても、やはり才能だと思います。それだけに、このセッションは、興味深く味わいました。 一つだけ 誰かが縛った雪柳 (江國香織)四月 誰かが雪柳の枝を縛ったのよ 私たちの雪柳 あなたはまるで生卵みたい 完璧にまるいかたちで 一部の隙もなく閉じていて さわるとざらざらしている 私はいつか あなたを砕々にしそうでこわい 生卵には耳がない 私の言葉はあなたには届かない 私は雪柳をほどいてやった 昼下がり 誰かが縛った雪柳 四月は桜吹雪の中で (森雪之丞)四月 スニーカーで蹴りあげた身体を サドルがしっかり受け止めた 一周一・七五キロのアップダウン 硯公園のサイクリング・ロードは今や 散った桜が景色に流れ浮かぶ 魔法の国に変貌している ぐうっとペダルを踏み込む そこにいたことが空気が不意に 風だったと正体を明かす 一つ目のカーヴへ ためらわず預ける体重 待ちかねたように上がる速度 前方には積もった花びらが 漂泊の雲を真似て立ち込めている 迷わず突入 心が躍る 桃色が舞う 生きていることを歓迎されて 命が声をあげ喜んでいるみたいだ 四月は桜吹雪の中で 僕は勇気を取り戻す こんな夢みたいな出来事が この世界ではまだ起きるんだと うなずきながらペダルを漕いで 僕は勇気を取り戻す セッションの楽しさは、呼応する感性の共鳴にあるのかなと思います。お二人の心の響きあいを享受されている様子を、密かに感じさせて貰いました。
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詩はいい。近頃仕事とか生活に本気になりつつあったからなる必要がないことを思い出せてよかった。生活の色はなければないほどいい。いつまでも地に足をつけることを厭う。努力をすると他人に努力を強いる羽目になるから努力したくない。我慢も苦労もごめんだ。なんのためになにをやっているのかわからなくなってくるから嫌だ。ゆでたたこをまるごと食べたいと思う人生がいい。それを口にできるほうがいいし、やれるほうがいい。自分のやりたいことしかやってはならない。(そうしないと本当の意味で下卑る。誰かに評価されるために生きるのはいやしい。)詩は自分自身を思い出さされる。あー危ない危ない私はこうしたかったんだって顔を上げて、電車の中でなんにもしないで梅田駅まで窓の外を見てた。屈したくねえなあと思う。私にとっての実用は詩にある。形のないものが私の形になる。
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暗闇の中扉を開けると広がる世界、溢れる言葉。二人の感性が響き合い、一つの言葉が次の世界への鍵となり思わぬ方向へと翔び立っていく。素晴らしい空間と時間の体験でした。
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まず、タイトルにやられる。 -扉のかたちをした闇- 久しぶりに出逢えたリフレインワード。 江國香織さんが、本のはじめに こんなことを綴っていました。 詩は暗闇に生息するのだと思う、 とあるとき私が言うと、 森雪之丞さんは、 でも、もしその暗闇が扉のかたちなら、 あけるこ...
まず、タイトルにやられる。 -扉のかたちをした闇- 久しぶりに出逢えたリフレインワード。 江國香織さんが、本のはじめに こんなことを綴っていました。 詩は暗闇に生息するのだと思う、 とあるとき私が言うと、 森雪之丞さんは、 でも、もしその暗闇が扉のかたちなら、 あけることができる、と言いました。 びっくりした。だって、 扉のかたちをした闇――。 そんな大胆な発想のできるひとを、 私は他に知りません。 思わず首を横に静かに振りながら、ため息が出てしまいます。余りにも素敵過ぎて。 だってもうこれできっと、 闇に紛れても扉を探してしまう。 開けることができる闇を知っているということは 心にあかりがあるということ。 ほんのりとやわらかく灯りつづける あたたかな言葉を もう私は知っているんだという、安らぎ。 江國香織さんと森雪之丞さんのコラボ。 それぞれ2人が書いた詩で綴られた1年12ヶ月。 江國香織さんが書いた詩に、森雪之丞さんが書いた連詩。 絵画作品をモチーフにそれぞれ2人が書いた詩の3部構成。 その他ニューヨークと東京との往復書簡など。 小説家と作詞家が、闇のような静寂のなかで奏でる、 美しく響き渡る連弾詩集。 扉のかたちをした闇を開けると、そこにあるもの。 それは めくったページから、皆それぞれが紡ぎ出す そんな世界が広がっているんだと思います。
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恥も外聞もかなぐり捨てて いま私は向かい合う だってこんなものを見たら どうしたってどうしようもない 扉のかたちをした闇を 開けたつもりは私はなかった それは勝手に開いてしまい 気づいた時には内側へ 呆気に取られて立ち尽くす 溺れているのに苦しくはなかった 笑っているのに...
恥も外聞もかなぐり捨てて いま私は向かい合う だってこんなものを見たら どうしたってどうしようもない 扉のかたちをした闇を 開けたつもりは私はなかった それは勝手に開いてしまい 気づいた時には内側へ 呆気に取られて立ち尽くす 溺れているのに苦しくはなかった 笑っているのに楽しくはなかった あの場所
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江國香織さんと森雪之丞さんの詩の朗読会のまとめみたいなやつ。 作者名隠しながら読んでもやっぱりどちらの作品かはわかるものだなと思いました。 911.5
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表題と装丁に惹かれて図書館で借りた 結局とばし読み、気になったフレーズも何か所かあった いわゆる現代詩、最果タヒくらいしか読んだことない自分にとって、これはトリッキーだったのか?というかんじ あんま現代詩のことわかんないけど現代詩っぽくないのはわかる なんかキザな中年の感情の散...
表題と装丁に惹かれて図書館で借りた 結局とばし読み、気になったフレーズも何か所かあった いわゆる現代詩、最果タヒくらいしか読んだことない自分にとって、これはトリッキーだったのか?というかんじ あんま現代詩のことわかんないけど現代詩っぽくないのはわかる なんかキザな中年の感情の散らばりっぽいな〜おもた 男と女の詩が目立った気がする 私がよむには年齢をまだ重ねる必要がありそうな気がした
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この本は、対談集かな?と思い図書館に予約を入れて、届いてみたら詩集でした。 とても素敵な詩集でしたが、私はやっぱり色気より食い気で、4月のアイスクリームの詩が一番好きでした。 7月のガスパチョもおいしそうでしたが。 でも江國さんの詩はやっぱりどれも素敵で、連弾9、連弾14、連弾15もいいなあ、と思いました。
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作家で詩人の江國香織さんと作詞作曲家の森雪之丞さんの連弾詩集。詩というのは理解するものではなく感じるものなのだろう。私は詩を書く感性も無いし受け取る完成も不足しているのできちんと感じ取れるか心配でしたが心配ご無用で、圧倒されっぱなしでした。「詩は暗闇に生息するのだと思う」と言った...
作家で詩人の江國香織さんと作詞作曲家の森雪之丞さんの連弾詩集。詩というのは理解するものではなく感じるものなのだろう。私は詩を書く感性も無いし受け取る完成も不足しているのできちんと感じ取れるか心配でしたが心配ご無用で、圧倒されっぱなしでした。「詩は暗闇に生息するのだと思う」と言った江國さんに「でも、もしその暗闇が扉のかたちなら、あけることができる」と森さんは言って江國さんをびっくりさせ、そこからこの詩の連作が始まりましたが、終わりの言葉では「私はただ、ここにある世界を言葉にしているだけです」という江國さんの言葉に森さんがびっくりしています。この詩集を読んで私もびっくりの連続でした。凄いなぁ…
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