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首折り男のための協奏曲 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2016/11/29 |
JAN | 9784101250311 |
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首折り男のための協奏曲
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首折り男のための協奏曲
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商品レビュー
3.3
294件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
伊坂氏による2014年の発表作品。 殺人者首折り男のストーリが一つの流れ。もう一つが泥棒(探偵)黒澤の流れ。この二つの通底音が絡み合い、協和音を奏でます。 ・・・ 協奏曲ってなんなの?と、ふと思いました。 Wikipediaの解説を読んでもいまいちの納得感。誤解を恐れずに言えば「独奏楽器と管弦楽によって演奏される楽曲」ということのようです。独奏楽器というのはピアノとかバイオリンのことが多いようです。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2 その意味では、「首折り男」と「黒澤」が独奏楽器ですね。そして彼らの周囲を彩る個性豊かなキャラたちが管弦楽という事になりましょう。 ・・・ なお本作は、「首折り男の周辺」「濡れ衣の話」「僕の舟」「人間らしく」「月曜日から逃げろ」「相談役の話」「合コンの話」の7話の独立した短篇の連作のなっています。 もし分けるのならば、「首折り男の周辺」「濡れ衣の話」は、どちらかというと首折り男が独奏をとる協奏曲。 そして「僕の舟」「人間らしく」「月曜日から逃げろ」「相談役の話」は黒澤が独奏をとる協奏曲、でしょうか。 また「合コンの話」はしいて言えば首折り男の話ですが、他のどれよりも独立した話だと思います。 ・・・ 今更ですが、伊坂作品、私は大好きです。 何度となく繰り返し述べていますが、洒脱な会話、個性的なキャラ、予想だにしない展開、時間・章などを跨いだ関連、こうしたところに面白みがあると考えます。 すべて短篇ですが、私は三つ、「首折り男の周辺」「僕の舟」「合コンの話」が面白かったと思います(以下ネタバレ)。 ・・・ 「首折り男の周辺」は、殺し屋大藪と元いじめられっ子小笠原がまさかのドッペルゲンガー的クリソツだったという展開。殺し屋大藪は、人殺しのくせに時々善意を振りまくという謎の性癖。殺し屋そっくりないじめられっ子小笠原が、眼前で自分(にそっくりな殺し屋)が息絶えているのをみて、じゃあ入れ替わってみるか、とふと思う(ふつう思わないよ!)シュールさ。 伊坂ワールドが凝縮した短篇だと思います。 ・・・ 「僕の舟」、これも驚いた。 そもそもこのタイトル、元素記号を覚えるときのアレですよ。水兵(水平?)リーベってやつ。そして、此処での主人公は、上記の「首折り男の周辺」で元いじめられっ子小笠原の隣に居を構えていた老夫婦若林純一・絵美夫妻の、絵美。 若かりし頃、絵美が四日間だけ落ちた淡い恋、その想いの君を探してもらうべく黒澤にお願いするという筋立て。これまたとんだ結論になります。 ・・・ 「合コンの話」は、もう文字通りの舞台。 3対3の合コンの話ですが、これもまた最後の落着がナイス。 ・・・ もう一つ、「人間らしく」で考えたこと。 本篇では黒澤の友人、作家の窪田ががクワガタを飼っているというくだりがあります。 「たとえば、ニジイロクワガタにぐいぐい苛められる別のクワガタは、こう思うはずです。『神様助けてください! どうして救ってくれないんですか』と。ひっくり返っているクワガタにしても、そうですよ。『どうして私がこのような目に遭うんですか。悪いことなどしていないのに。このまま動けず、死ぬなんて。何がいけなかったんですか』と」 「神も仏もいやしない、と嘆く」 「その通りです。でも、神様はいるんですよ。隣の部屋で仕事をしているだけです。気が向けば、ケースを覗いて、そこで気づけば、助けてくれますし」 (P.240-241) いやあ、これを読んで神の偏在みたいなことを考えたのです。 丁度、旧約聖書でヨブ記を読んでいて、ヨブが神様にイジられんばかりだった場景に愕然としたということもあります。 神はいるのかいないのか。いるとしても、実は自堕落で民思いでもなんでもなかったという可能性・・・。 ついでに言えば、今ちょうどニーチェの解説書を読んでいるのですが、ニーチェの「神は死んだ」というのはそもそも神様というのはユダヤ・キリストが作った弱者のための虚構だ、とい主張をしていました。つまり、そもそも神・絶対的存在などないのだ、と。まだ気づかないのか、と。 はてさて、実際にはどうなんでしょうねえ。 ・・・ ということで伊坂作品でした。 デビュー当初の奇想天外なエンタメ路線から、時が下るにつれて、ダークな風合い(ディストピア)・やや実験的な趣向が見られる気がします。それはそれで私は結構好きだったりしますが。
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”僕の舟“好き。 黒澤も好き。 勝手に最後に怒涛の伏線回収があるかと期待してしまった分ちょっと物足りない終わり方だったけど、ひとつひとつは面白かった。
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すべて完全に繋がっているのかと思いきや、そうではなかったり。 要所要所に登場する人物同士は糸のように絡み合い、どこかで繋がっている。 時空の歪み、自分によく似た人間…わからないままのこともある。
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