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冬の夜ひとりの旅人が 白水Uブックス海外小説 永遠の本棚
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 2016/10/06 |
JAN | 9784560072073 |
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冬の夜ひとりの旅人が
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商品レビュー
3.9
11件のお客様レビュー
カルヴィーノがなにを考えて『冬の夜〜』を書いたのかとかは読者としては正直どうでもいいと思っている。小説だけじゃなくて映画とかでもそうなんだけど、おれは作り手の意図を深く理解して考察するべきとか全然思わなくて、そういうのと全然関係ないところで観客が感動しても全然いいと思っている。な...
カルヴィーノがなにを考えて『冬の夜〜』を書いたのかとかは読者としては正直どうでもいいと思っている。小説だけじゃなくて映画とかでもそうなんだけど、おれは作り手の意図を深く理解して考察するべきとか全然思わなくて、そういうのと全然関係ないところで観客が感動しても全然いいと思っている。なんだこりゃ?と思いながら、自由に読むし、感想も自由に書く。とにかくこんなに自由な小説を読めてよかったと思う。
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久しぶりのイタロ・カルヴィーノ。といっても、私は「不在の騎士」「まっぷたつの子爵」「木のぼり男爵」くらいしかちゃんと読んだことがなく(「レ・コスミコミケ」と「柔らかい月」は持ってるけど途中で投げ出す)、たまたまSNSで知った本書に興味を持って購入した次第。 どんな内容か、とい...
久しぶりのイタロ・カルヴィーノ。といっても、私は「不在の騎士」「まっぷたつの子爵」「木のぼり男爵」くらいしかちゃんと読んだことがなく(「レ・コスミコミケ」と「柔らかい月」は持ってるけど途中で投げ出す)、たまたまSNSで知った本書に興味を持って購入した次第。 どんな内容か、というのは帯やカバーの後ろに書いてあるまんまなので省きますが、私が読み始めて感じた最初の印象は「夢みたいだ」です。夢というのは、眠っているときに見るあの夢です。途中で分断され、整合性が全くない。私にはコントロールできない世界。そんな物語が10章にわたって描かれるわけですが、それぞれてんでばらばら。そして、「あなた」つまり読者(男性読者、と規定されている)は、その物語の続きを求めて彷徨うわけです。そこに「あなた」と対極にある「女性読者」が登場し、「あなた」の心はかき乱される。分断された小説の章と、「あなた」が小説(の書かれた本、あるいは原稿)を求めて右往左往する章が交互に描かれるのですが、やがてそのどちらもが結び合わされる結末に向かうのか向かわないのか・・・。 私が思うに、この本は「普通の小説では飽き足らなくなった読書中毒の人」こそが喜びそうな本、ということです。「文学の魔術師」カルヴィーノの魔法に身を委ね、読書という麻薬に酔い痴れるのです。 これを機会に、本書より以前に書かれた「見えない都市」「宿命の交わる城」も読まなければ、と思いました。
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読書という体験そのものをより豊かに読ませてくれる不思議な小説。とにかく没入感が段違いで、読んでる最中の感覚はもう魔術としか言いようがない。 書店で本を買う所からしてバーチャルリアルかつ異様な豊穣さで、言葉の上で本が分子に崩壊する所ですら自分で体験しているような気がした。リフレイ...
読書という体験そのものをより豊かに読ませてくれる不思議な小説。とにかく没入感が段違いで、読んでる最中の感覚はもう魔術としか言いようがない。 書店で本を買う所からしてバーチャルリアルかつ異様な豊穣さで、言葉の上で本が分子に崩壊する所ですら自分で体験しているような気がした。リフレインしながらとんでもない規模に発展してゆく楽しい眩暈。そして、死んだ言語で書かれた散文の、あの途中までしかない不確かな感じ、断崖から遠くの彼方を望むような感じ。女性を追う男性というイメージと読書との重なり。 意識したことはなかったが、本を読むとはそうした体験だったかもしれない。常にそこにあったはずなのに、言葉にしてもらう事ではじめてたどり着ける場所にたくさん連れて行ってもらった。おかげで不思議にほっとした。 こんな時代だからこそ、詩人、作家、芸術家はいてくれなくちゃ困る。デイヴィッド・シェンク『ハイテク過食症-インターネットエイジの奇妙な生態-』で引用されていて本書を知ったのだが、まさに猛烈な技術革新によって日々加速させられ、錯乱と焦燥でとっ散らかり気味な現代人の精神を落ち着かせてくれるのは、断崖から彼方を望むアーティストたちの言葉であり、視点であり、作品なのではないか。 実際、読んだ後に自律神経のバランスを測ったら、副交感神経がかなり優位になっていた。読んだだけで、リラックスするということだ。 あの世にいるイタロ・カルヴィーノ先生だけでなく、翻訳者、編集者、出版社、デザイナー、割付職人、印刷会社、流通会社、書店、図書館の方々にまで感謝の気持ちがわいてくる読書体験だった。
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