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冬の夜ひとりの旅人が の商品レビュー

3.9

11件のお客様レビュー

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2024/05/08

カルヴィーノがなにを考えて『冬の夜〜』を書いたのかとかは読者としては正直どうでもいいと思っている。小説だけじゃなくて映画とかでもそうなんだけど、おれは作り手の意図を深く理解して考察するべきとか全然思わなくて、そういうのと全然関係ないところで観客が感動しても全然いいと思っている。な...

カルヴィーノがなにを考えて『冬の夜〜』を書いたのかとかは読者としては正直どうでもいいと思っている。小説だけじゃなくて映画とかでもそうなんだけど、おれは作り手の意図を深く理解して考察するべきとか全然思わなくて、そういうのと全然関係ないところで観客が感動しても全然いいと思っている。なんだこりゃ?と思いながら、自由に読むし、感想も自由に書く。とにかくこんなに自由な小説を読めてよかったと思う。

Posted byブクログ

2023/06/11

 久しぶりのイタロ・カルヴィーノ。といっても、私は「不在の騎士」「まっぷたつの子爵」「木のぼり男爵」くらいしかちゃんと読んだことがなく(「レ・コスミコミケ」と「柔らかい月」は持ってるけど途中で投げ出す)、たまたまSNSで知った本書に興味を持って購入した次第。  どんな内容か、とい...

 久しぶりのイタロ・カルヴィーノ。といっても、私は「不在の騎士」「まっぷたつの子爵」「木のぼり男爵」くらいしかちゃんと読んだことがなく(「レ・コスミコミケ」と「柔らかい月」は持ってるけど途中で投げ出す)、たまたまSNSで知った本書に興味を持って購入した次第。  どんな内容か、というのは帯やカバーの後ろに書いてあるまんまなので省きますが、私が読み始めて感じた最初の印象は「夢みたいだ」です。夢というのは、眠っているときに見るあの夢です。途中で分断され、整合性が全くない。私にはコントロールできない世界。そんな物語が10章にわたって描かれるわけですが、それぞれてんでばらばら。そして、「あなた」つまり読者(男性読者、と規定されている)は、その物語の続きを求めて彷徨うわけです。そこに「あなた」と対極にある「女性読者」が登場し、「あなた」の心はかき乱される。分断された小説の章と、「あなた」が小説(の書かれた本、あるいは原稿)を求めて右往左往する章が交互に描かれるのですが、やがてそのどちらもが結び合わされる結末に向かうのか向かわないのか・・・。  私が思うに、この本は「普通の小説では飽き足らなくなった読書中毒の人」こそが喜びそうな本、ということです。「文学の魔術師」カルヴィーノの魔法に身を委ね、読書という麻薬に酔い痴れるのです。  これを機会に、本書より以前に書かれた「見えない都市」「宿命の交わる城」も読まなければ、と思いました。

Posted byブクログ

2023/05/02

読書という体験そのものをより豊かに読ませてくれる不思議な小説。とにかく没入感が段違いで、読んでる最中の感覚はもう魔術としか言いようがない。 書店で本を買う所からしてバーチャルリアルかつ異様な豊穣さで、言葉の上で本が分子に崩壊する所ですら自分で体験しているような気がした。リフレイ...

読書という体験そのものをより豊かに読ませてくれる不思議な小説。とにかく没入感が段違いで、読んでる最中の感覚はもう魔術としか言いようがない。 書店で本を買う所からしてバーチャルリアルかつ異様な豊穣さで、言葉の上で本が分子に崩壊する所ですら自分で体験しているような気がした。リフレインしながらとんでもない規模に発展してゆく楽しい眩暈。そして、死んだ言語で書かれた散文の、あの途中までしかない不確かな感じ、断崖から遠くの彼方を望むような感じ。女性を追う男性というイメージと読書との重なり。 意識したことはなかったが、本を読むとはそうした体験だったかもしれない。常にそこにあったはずなのに、言葉にしてもらう事ではじめてたどり着ける場所にたくさん連れて行ってもらった。おかげで不思議にほっとした。 こんな時代だからこそ、詩人、作家、芸術家はいてくれなくちゃ困る。デイヴィッド・シェンク『ハイテク過食症-インターネットエイジの奇妙な生態-』で引用されていて本書を知ったのだが、まさに猛烈な技術革新によって日々加速させられ、錯乱と焦燥でとっ散らかり気味な現代人の精神を落ち着かせてくれるのは、断崖から彼方を望むアーティストたちの言葉であり、視点であり、作品なのではないか。 実際、読んだ後に自律神経のバランスを測ったら、副交感神経がかなり優位になっていた。読んだだけで、リラックスするということだ。 あの世にいるイタロ・カルヴィーノ先生だけでなく、翻訳者、編集者、出版社、デザイナー、割付職人、印刷会社、流通会社、書店、図書館の方々にまで感謝の気持ちがわいてくる読書体験だった。

Posted byブクログ

2021/12/31

文学ラジオ空飛び猫たち第30回紹介本。 〈あなたはイタロ・カルヴィーノの新しい小説『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている〉という書き出しから始まる型破りな小説。作中には10本の小説内小説が挿入され、主人公の男性読書とともに読者(ややこしい)も物語に翻弄されますが、それが...

文学ラジオ空飛び猫たち第30回紹介本。 〈あなたはイタロ・カルヴィーノの新しい小説『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている〉という書き出しから始まる型破りな小説。作中には10本の小説内小説が挿入され、主人公の男性読書とともに読者(ややこしい)も物語に翻弄されますが、それがとにかく楽しいです。文学の魔術師、イタロ・カルヴィーノの代表作。究極の読書小説。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/30-eq2egv

Posted byブクログ

2020/09/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あなたはイタロ・カルヴィーノの『冬の夜ひとりの旅人が』を読み終わる。あなたはこの作品の感想を書こうと思うが、同時にそれも一つの作品のようにしてしまおうと思い至り、ブクログを立ち上げ、バーコードを読み取らせ、感想を書き始める。あなたはこの本を読むことで、いくつかの様々な物語を読むことになる。あなたが読んでいたのは、『冬の夜ひとりの旅人が』という本だったのか、それとも何か別の物語だったのか、あなたにはわからない。すべては読んだ人のみぞ知るところである。あなたはこれを傑作だと思う。そして著者略歴を見て、カルヴィーノがトリノ大学の農学部卒だということを知り、あなたの学歴と少し似ていることに喜びを感じる。あなたは次の小説のアイデアを、この本から頂戴してやろう、と思い立つ。あなたはもうじきブクログの感想を書き終えようとしている。

Posted byブクログ

2020/09/12

第三章まで粘ったけど眠くなりすぎて頓挫。これで3冊連続頓挫。次は川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」。なんとか読み切りたい。きっつー。

Posted byブクログ

2020/08/30

新聞の書評か何かで読んだ。これが紹介されたのは、日本人の架空の小説家と小説が紹介されていたからであろう。著者の経歴と少しは関連があるが、わかりづらい。

Posted byブクログ

2019/02/10

年末に途中まで読んだのだが、文字をただ目で追っかけてるだけのような気持ちに陥り、貸し出しを延長し田舎に持って帰り、改めて玉ねぎの皮をゆるゆると剥くように読みました。やはり読者は傲慢なままでいてはいけないな。作者が床に寝転んでいたら自分も一緒に寝転ばないと、作者の意図しようと示唆し...

年末に途中まで読んだのだが、文字をただ目で追っかけてるだけのような気持ちに陥り、貸し出しを延長し田舎に持って帰り、改めて玉ねぎの皮をゆるゆると剥くように読みました。やはり読者は傲慢なままでいてはいけないな。作者が床に寝転んでいたら自分も一緒に寝転ばないと、作者の意図しようと示唆しようとしてる物が見えてこない。それを「自分には合わなかった」「自分には響かなかった」とか言うのはやっぱ違うんだな。人様が時間をかけて作った物をただ一度だけ前から後ろへめくっただけで、自分の中で結論を出すというのも傲慢なんだなあ。

Posted byブクログ

2017/01/09

読書が生き甲斐の人間にとっては、非常に深い余韻の残る佳作ではないだろうか。 10の断章はそれぞれ独立した短編のようにも読め、且つほんの少しずつ繋がっている。コミュニケーションの物語でもあり、書かれていない人生を示唆する見本帳のようでもある。 各々の読者は好きな断章のなかで(章立て...

読書が生き甲斐の人間にとっては、非常に深い余韻の残る佳作ではないだろうか。 10の断章はそれぞれ独立した短編のようにも読め、且つほんの少しずつ繋がっている。コミュニケーションの物語でもあり、書かれていない人生を示唆する見本帳のようでもある。 各々の読者は好きな断章のなかで(章立てしてある本流も含め)各々の人生のヴァリアントを生きる。

Posted byブクログ

2016/11/24

ちくま文庫版を持っているが、Uブックス版で再読。文庫版は品切れなのかな? 『あなたはイタロ・カルヴィーノの新しい小説『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている』から始まる冒頭の一節は、何度読んでもユニークで面白い。カルヴィーノは元々、作風をかなり変える作家だが、本書ではその...

ちくま文庫版を持っているが、Uブックス版で再読。文庫版は品切れなのかな? 『あなたはイタロ・カルヴィーノの新しい小説『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている』から始まる冒頭の一節は、何度読んでもユニークで面白い。カルヴィーノは元々、作風をかなり変える作家だが、本書ではその変化するテクストが次々と現れ、まるで万華鏡のように感じる。 久しぶりに読んで堪能した。カルヴィーノ、また久しぶりに読み返そうかなぁ……(でも何処に仕舞ったのだろう)。

Posted byブクログ