世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史

スティーブン・ジョンソン(著者), 大田直子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 朝日新聞出版
• 発売年月日: 2016/08/01
• JAN: 9784023315303

商品レビュー

2025/09/28

いろいろな発明は、先人の巨人の肩の上で成り立っている。エジソンの電球の発明も、彼一人で達成されたのではなく、かなりいろいろな人が、真空の中のフィラメントをいろいろと試していた。エジソンが他の人と違ったのは、マスコミ対策。ほぼ何もできていない状況で、マスコミにアピール。

2025/09/11

グーテンベルクの印刷機が顕微鏡や望遠鏡の発明に繋がったといったイノベーションとその影響について、ガラス・冷たさ・音・清潔・時間・光の6つのテーマで語った一冊。イノベーションの連鎖が非常に興味深かった。

・ヨハネス・グーテンベルクの印刷機は、眼鏡需要の急増を引き起こした。読書という新しい習慣のせいで、大陸中のヨーロッパ人が突然、自分は遠視だったと気づいたからである。眼鏡の市場需要に刺激されて、レンズを生産したり、レンズを使って実験したりする人の数が増え、それが顕微鏡の発明につながり、それからまもなく私たちは、自分の体がごく小さな細胞でできていることを知ることができた。
・エアコンの普及によりアメリカ南部のサンベルト地域への移住の増加により、民主党の地盤だった南部に保守的な退職者が流入し、アメリカの政治地図を塗り替えた。
・エジソンは蓄音機を音声郵便の手段、ベルは電話を生音楽を共有する手段と全くアベコベの事を考えていたのは面白い。
・アメリカ政府はAT&Tに対し、独占を認めた代わりにベル研究所から生み出されたアイデアは、無償で提供させるルールを適用した。アメリカ人はAT&Tに電話サービス料金を払わなければならないが、AT&Tが生み出す新たなイノベーションはみんなのものだったのである。
・19世紀下水の埋設配管設備を整備するため、既存のビルを含めた建物、時には街区1ブロックの半分をネジジャッキで持ち上げて、配管・埋め戻しをし、街全体が3メートル近く嵩上げされた。
・電信と鉄道のおかげで、それまで知られていなかった標準化されていない時刻の曖昧さが露呈し、標準時の制定されていった。

2025/08/17

良書。今では当たり前に使われている技術、概念、モノ（「ガラス」、「冷たさ」、「音」、「清潔」、「時間」、「光」）がどの様な変遷を経て、発明、活用、進化されてきたのか。

考えてみれば「ガラス」って今はもの凄くどこにでも使われていて汎用品だが、ネット通信は欠かせない光ファイバーの原料だし、「冷たさ」だって、この地球温暖化が加速しているデタラメな暑さになりつつある日本でもなんとか生きていけるための大事な要素だし、「時間」だって昔は正確な刻を知る必要なんてなかったが工業化と共に管理しなければいけない物になったし、等々

タイトル通り、人類の進化を上記要素を元に知る事が出来る。根本的になぜ現代社会がなりたっているのか？がよく分かる。

一番面白かったのが終章「タイムトラベラー」でコンピュータープログラムの概念の元になった人類初のプログラマーとも呼ばれるエイダと計算機の父、チャールズ・バベッジの物語。今からおよそ200年も前コンピューターの影の形もない世界でどうしてプログラムを思いつき、その将来性も感じ取る事が出来るのか？いつの時代も人類には天才といえる分類の個体がおり、人類全体の進化に多大な影響を及ぼすんだなと。

そして現生人類は過去の天才達の革命的な考えの恩恵の上に生きている。