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世界をつくった6つの革命の物語 の商品レビュー

4.4

41件のお客様レビュー

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2024/05/23

六つの革命とは、技術革新から文化に影響を与えたインパクトの大きな変化点のこと。音、光、清潔、時間、ガラス、冷たさ。どれも発見から採用、浸透、波及の連鎖がドラマチックで面白い。 例えばガラスについて。グーテンベルクの印刷技術は、本が比較的安くなり、識字能力を上げ、人口のかなりの割...

六つの革命とは、技術革新から文化に影響を与えたインパクトの大きな変化点のこと。音、光、清潔、時間、ガラス、冷たさ。どれも発見から採用、浸透、波及の連鎖がドラマチックで面白い。 例えばガラスについて。グーテンベルクの印刷技術は、本が比較的安くなり、識字能力を上げ、人口のかなりの割合に視力の弱点(遠視)があることを明らかにしたが、その事がメガネメーカーにとって新たな市場を開いた、という展開だ。メガネによってヨーロッパにレンズが溢れるとともに、ガラスを使って光を操る専門家も出てきた。そして、顕微鏡や望遠鏡が発明される。また、カメラのレンズになり、グラスファイバーの発明にも至った。それが光ファイバーへ。銅線で電気信号を送るより、光信号を光ファイバーケーブルで送る方が、長距離ではずっと効率的であり、ノイズや干渉にもはるかに強い。印刷技術がインターネットまで繋がるのだ。 他にも、氷を用いたビジネスの開始からエアコンの普及まで。ネアンデルタール人の絵が、洞窟の音響学的に利用されていたという事実から、蓄音技術まで。 イノベーションを起こす重要な考え方に、隣接可能性がある。一つの発見が連鎖して変化を起こしたり、新たな必要性を生じさせたり、今まで不可能だった技術的な空白を埋めたり。世の中の営為は絡み合って成立している事が良く分かる。学びも多い読書だった。

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2022/10/14

我々現代人が生活する中で当たり前に使用している事物についての「歴史」に焦点を当て、「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」の六項目について掘り下げている。 現代の世界を創り上げたそれぞれの科学技術は単独で発展したものはなく、世界の局面や社会的要請で相互作用を及ぼすことで...

我々現代人が生活する中で当たり前に使用している事物についての「歴史」に焦点を当て、「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」の六項目について掘り下げている。 現代の世界を創り上げたそれぞれの科学技術は単独で発展したものはなく、世界の局面や社会的要請で相互作用を及ぼすことで、ここ数百年に爆発的な発展を遂げた。また、それらの科学技術は無縁と思われるような社会的な変革も引き起こしてきた。 最も注目すべきなのは、それらの発展や変革は「偶然の産物」である事が多いことだ。どこぞの国では、"応用展開が見込めない科学研究にはお金を出しません"などと公言しているが、それはイノベーションの連鎖を断ち切る愚行である。何が世界を変革するか、将来を読むことができないからこそ、意味のあるか分からない科学研究に対しても、温かい目で見守るべきなのではないだろうか?

Posted byブクログ

2021/10/17

大変面白かった。 身近なものがいかにして生み出され、我々の生活を変えたか、という基本路線はもちろんのこと、それぞれの発明品が思わぬところで新たな発明を生むさまは圧巻であった、世の中うまくできているなという気持ちである。(例えばガラスによって小さきものを拡大することが可能になった結...

大変面白かった。 身近なものがいかにして生み出され、我々の生活を変えたか、という基本路線はもちろんのこと、それぞれの発明品が思わぬところで新たな発明を生むさまは圧巻であった、世の中うまくできているなという気持ちである。(例えばガラスによって小さきものを拡大することが可能になった結果、疫病の原因が明らかになり公衆医学が発展するなど、ハチドリ効果というらしい。) また上記から考えさせられたのは、ある程度原理が把握できる人工的な空間ではなく、自然科学的な事象に触れることでのアハ体験がどんなに重要かということ。コロナでより閉鎖的な自己に親しみのある空間に留まること中で、思考や発想の幅が狭まっているなという焦りはぼんやりと抱いていたが、改めて、未知で予測不能な現象を体験しなくてはという危機感を新たにしました。ありがとうございました。

Posted byブクログ

2021/05/16

水道、電球、クーラーなど、現代の人々が日常生活で何気なく利用している製品や技術の発明の歴史を辿り、それらのイノベーションの背景にある複雑な連鎖の物語を解き明かした一冊。 著者は、我々の生活においては「あたりまえ過ぎて」その背景に想いを馳せることがない領域(ガラス、冷たさ、音、清...

水道、電球、クーラーなど、現代の人々が日常生活で何気なく利用している製品や技術の発明の歴史を辿り、それらのイノベーションの背景にある複雑な連鎖の物語を解き明かした一冊。 著者は、我々の生活においては「あたりまえ過ぎて」その背景に想いを馳せることがない領域(ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光)に焦点を当て、「ロングズーム」と名付けたアプローチで分析することにより、それらのイノベーションは、歴史上著名な発明家だけでなく、多種多様な人物同士の関わりから生み出されていることや、例えばガラス加工技術が鏡の普及を通じてルネサンスにつながるなど、アイディアやイノベーションは時に独り歩きして、創り出した本人も予期せぬ社会の変化を起こす場合があることを明らかにしている。 ほとんどのイノベーションは、複数分野を跨る「隣接可能領域の境界」で起こっており、著者は時に「個人や集団がまるでタイムトラベルのような飛躍をする」のは、彼らが天才だからというよりも、自分自身の専門領域とは異なる領域の交点において「異系交配」することに長けていたからだと主張する。数々のイノベーションの連鎖によって今日の社会が成り立っていることが理解できると同時に、誰もがイノベーションを起こす可能性を秘めた存在であるという希望をもたらす良書。

Posted byブクログ

2021/03/28

・花と昆虫、花とハチドリといった全く別物の生物でありながら「共進化」により進化の中で花がハチドリの羽のデザインに影響を与えている、この序章からして知的好奇心を駆り立てる内容 ・本書では日常的なものとしてあたりまえである6つの事柄=ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光 によるイノベ...

・花と昆虫、花とハチドリといった全く別物の生物でありながら「共進化」により進化の中で花がハチドリの羽のデザインに影響を与えている、この序章からして知的好奇心を駆り立てる内容 ・本書では日常的なものとしてあたりまえである6つの事柄=ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光 によるイノベーションを取り上げている ・グーテンベルの活字印刷によって人間は遠視であることに気付き、眼鏡の需要が増加した ・ガラスは眼鏡だけでなく顕微鏡、望遠鏡、鏡、光ファイバー、スマホの画面へとイノベーションが続く ・顕微鏡により細胞をみつけてウィルスの発見につながり、望遠鏡によって宇宙についての知識を得て、鏡によって自己を認識し宗教などの概念にも繋がっていく。そして現代はガラスによるファイバーを活用した光ファイバーによるインターネット普及と、ガラスでできたスマホ画面によるカメラやSNS活用が行われている ・寒い国では無価値の氷を船で熱帯の国へ持ち込むビジネスを試みたが、氷の保存方法など課題があった ・やがて人口冷却の発明で食材を保存することへの発展や、空気を冷やすクーラーの発明により砂漠など熱い国に人を動かすことができるようになった ・また人口冷却のテクノロジーで精子と卵子の凍結保存により世界中に何百万人も人も増やしている ・氷は一見些細な進歩のようにみえて、贅沢品であり必需品ではないが、この2世紀あまりをロングズームでみると新たな命とライフスタイルが生まれ、砂漠に都市が栄えるようになった ・音は古代ネアンデルタール人が洞窟で壁画を見ながら歌や声を反響させて聴いていた ・その音が拡声器やアンプ、音を電気に変えて電話や通信へと発展していく一方、超音波により妊婦の胎児の性別を事前に区別できてしまうことから、男子を強く要望する中国では多くの女子の胎児が中絶させられるなど影を落としている ・私達は普段意識することはないが、清潔さが保たれている都市地下には汚染の川が流れ、デジタル革命に必要なマイクロチップはクリーンルームという綺麗すぎて飲めない水を使用する場所で作られている ・19世紀は時計は一般化したが標準化されておらず、地域毎に時間のずれが著しかった ・マッコウ鯨の脳油を使ったロウソクが富裕層の間で家庭の灯りに使われていた

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2021/01/08

人類史に影響を与えた6つのカテゴリーについて、モノの発明と文化、文明の関係を考察した本。6つのカテゴリーとは、ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光。ひとつのモノの発明が、思わぬところに波及して人類史を変えていく。 世の中知らないことだらけ。この先、現在のテクノロジーが社会をどのよう...

人類史に影響を与えた6つのカテゴリーについて、モノの発明と文化、文明の関係を考察した本。6つのカテゴリーとは、ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光。ひとつのモノの発明が、思わぬところに波及して人類史を変えていく。 世の中知らないことだらけ。この先、現在のテクノロジーが社会をどのように変えていくのだろうか。

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2020/08/31

現代の生活を形造るテクノロジーの発展史。個々の物の発明では無く、音や、光のように、ジャンルを章ごとに6つ取り上げる。 現代生活は、様々なテクノロジーの上に成り立っているが、それらは非常に当たり前のこととして受け取られているが、それらが無かったことを考えると、単にある事ができない以...

現代の生活を形造るテクノロジーの発展史。個々の物の発明では無く、音や、光のように、ジャンルを章ごとに6つ取り上げる。 現代生活は、様々なテクノロジーの上に成り立っているが、それらは非常に当たり前のこととして受け取られているが、それらが無かったことを考えると、単にある事ができない以上に、暮らし方が全く変わっていただろうということがわかる。 例えば時間。何時という話が正確にできなければ、何時間働くという考え方も時給も無い。分のレベルの正確さが測れる装置が無ければ、そもそも分を気にすることはできないし、電車が遅れたか判断することもできない。クロックがなければ、コンピュータ内の同期が取れない。 これらはテクノロジーがあるから出てきたのか、要求があるからテクノロジーが誕生するのか、どちらとも言えないが、お互いを支え合って進み、世界を変える。 特に面白いと思ったのは、冷たさや清潔さといった章で、クーラーが発明されていなければ、人口分布は変わっていた(南部諸州は暑すぎる)というのは、成る程と思った。 基本的に、欧米のことしか考えられていないので、清潔さや明かりでは、中国や日本では随分事情が違うと思った。ルイ13世は7歳まで風呂に入ったことが無かったそうだが、秀吉は有馬温泉が大好きだったんだよね。

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2020/08/23

表の革命に隠れた裏の革命の話。ガラス・冷たさ・音・清潔・時間・光といった、人類を大きく前に進めたが、あまりフィーチャーされていなかった裏の革命をフィーチャーしている。 詳細は下記。 https://note.com/t06901ky/n/n4250ec81d19f

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2020/07/03

本書で扱う6つの革命は「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」とユニークなテーマだ。そしてひとりによる大発明ではなく、著者が「ロングズーム」と称する人類史で脈々と流転してきた革命に焦点をあてる。グーテンベルクの印刷技術が眼鏡市場を拡大させ、通信/鉄道の普及が正確な時計を求...

本書で扱う6つの革命は「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」とユニークなテーマだ。そしてひとりによる大発明ではなく、著者が「ロングズーム」と称する人類史で脈々と流転してきた革命に焦点をあてる。グーテンベルクの印刷技術が眼鏡市場を拡大させ、通信/鉄道の普及が正確な時計を求めたように、ある特定の分野の発明が別の分野の発明を促す「風が吹けば桶屋が儲かる」的な物語が面白い。微積分のニュートンとライプニッツのように、人類は接点のない人物が異なるロケーションで同時多発的に同じ発明をすることがあるが、本書の「隣接可能領域」という説明が非常にしっくりくる。 人類はこれからも様々な革命や進化を遂げていくだろうとワクワクさせてくれる一冊であった。

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2020/01/31

科学とテクノロジーに対する理解の蓄えが豊富になればなるほど、その蓄えが見えなくなっていくっていう話。 第一章のガラスと第五章の時間が特に面白かった。 ロング・ナウ協会の役員ケヴィン・ケリー 一万年ものあいだ時を刻む時計があったら、どんな世代単位の問題や計画を提起するだろう?...

科学とテクノロジーに対する理解の蓄えが豊富になればなるほど、その蓄えが見えなくなっていくっていう話。 第一章のガラスと第五章の時間が特に面白かった。 ロング・ナウ協会の役員ケヴィン・ケリー 一万年ものあいだ時を刻む時計があったら、どんな世代単位の問題や計画を提起するだろう? もし時計が一万年動きつづけるのなら、私たちの文明もそうなるようにするべきではないのか? 私たち個人が死んだあともずっと時計が動きつづけるなら、将来世代がやりとげることになるプロジェクトを試みてもいいのでは? さらに大きな疑問は、ウイルス学者のジョナス・ソークがかつてといかけたとおりだ。「われわれはよい祖先になっているのか?」

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