虫のすみか 生きざまは巣にあらわれる

小松貴(著者)

• 販売会社／発売会社: ベレ出版
• 発売年月日: 2016/06/01
• JAN: 9784860644772

商品レビュー

2016/11/17

生きざまは巣に現れる、というサブタイトル。いいね。

しかも、虫である。

虫のすみか別に、「大地にすむ」「植物にすむ」「珍奇な環境にすむ」それと「昆虫じゃない虫たち」

珍奇、ときた。

地下性のゴミムシは、体がくびれている。湿度が高い地下では、上翅と腹部の間に水滴が溜まって気門を塞いで窒息の恐れがあるためだ。ゴミムシは日本国内だけで400種ほどが、さまざまなところで種分化していて、まるでダーウィンの研究したガラパゴスのようだそうだ。地下、おもしろし。

海にすむ昆虫。これは塩との戦いだ。排泄物にすむ。これもすごいが、動物の体内にすむやつらもなかなかだ。

本書はこんなふうに、さまざまな場所にすむ虫の生態を取り上げ、すみかの写真を掲載している。すごく楽しい。惜しむらくは、その突き抜けた行為に対する、著者自身の主張が極めて少ないことだ。虫のすみか、が主役であるから著者は目立つべきでないかもしれないが、しかし珍奇な環境(に限らないが)の虫のすみかを見つけて写真を撮って、などをする間に面白いことがいくらでも起こるはずだ。そっちのほうにも関心が強くてさ…。