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少年の日の思い出 ヘッセ青春小説集 草思社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 草思社 |
発売年月日 | 2016/01/01 |
JAN | 9784794221834 |
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少年の日の思い出 ヘッセ青春小説集
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商品レビュー
3.8
10件のお客様レビュー
「少年の日の思い出」の授業をするのに、何か参考になればと思って買った文庫版。表題作「少年の日の思い出」と「あとがき」しか読んでいないが、十分読んでよかった。 そもそも、「少年の日の思い出」は、今の教科書に掲載されている高橋健二さんによる翻訳しか読んだことがなかったので、翻訳によ...
「少年の日の思い出」の授業をするのに、何か参考になればと思って買った文庫版。表題作「少年の日の思い出」と「あとがき」しか読んでいないが、十分読んでよかった。 そもそも、「少年の日の思い出」は、今の教科書に掲載されている高橋健二さんによる翻訳しか読んだことがなかったので、翻訳によって、ここまで印象が違うのかということだけ驚きだった。細かい表現や文の切り方が違っていて、ところによっては、文意も変わってくるのではないかと思われるところもある。なにより、あのエーミールの名言「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな。」も、「そう、そう、きみって、そういう人なの?」と訳されると、まったく印象が変わって、かなり衝撃的であった。 この岡田朝雄さんの訳の方が、日本語の使い方が今風で、子どもたちにも読みやすいのではないかと思う。「あとがき」では、有名な高橋健二さんの訳よりも、より原文に近いニュアンスになるように色々と細かい配慮をしたエピソードも書かれていて、それ自体面白かった。 当然、元はドイツ語であることは知っていたし、きっと翻訳によるイメージ差もあるのだろうとは思っていたけれど、初めて違う訳者による同じ作品を読み比べて、ここまで違うのかというのを実感できたのがよかった。好き嫌いでいえば、慣れ親しんでいることもあるけれど、高橋さんの訳の方が好みではある。 ただ、翻訳による違いから、ドイツ語と日本語の違いについても、色々な気づきが得られそうな予感がある。もう少し読み込んでみたいと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
エーミールは壊された宝物の前に無力だった。親に報告し警察に高価な蛾を壊した窃盗犯だと主人公を突き出すこともできたのに、憎しみより喪失感が上回った。盗みをされたほうは、盗んだ人を許すことはできない。盗んだ人と友達だったとしたら、もう友達ではいられない。それほど盗みは罪深い。自身にとって大事なものを壊す能性がある人間を側に置くことはできない。盗んだ側は笑い話にできるが、盗まれた側からしたらいつまでも辛く重い過去になる。蛾を手に入れた思い出も綺麗に並べた記憶も思い出したくもない悲惨な過去になってしまった。もうエーミールは二度と人を信用して宝物を自慢できないだろう。大人になった主人公は己の狭い世界で恥知らずのまま生きていく。ヘッセは他者への想像力に欠けた人間の描写が極めてうまい。娘の人柄は少女時代から変わらず、少年は少年の面影がなくなって大人になるようだ。
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「そうか、そうか、つまり君はそんなやつだったんだな」 蝶を大切にする心を持たない、体裁を気にする俗物だったんだな、ということか……。 よく覚えてないが、エーミールに非はなく、専ら主人公に非があるように思った記憶は残っている。
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