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望郷 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2016/01/01 |
JAN | 9784167905231 |
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商品レビュー
3.5
296件のお客様レビュー
閉鎖的な島
一つの島で生きる、生きていた人達の物語。 閉鎖的な環境、狭い世界での価値観、他人との距離感、逃げ場のない気持ちをどうするか考えた時に島を出る…という結論に至るのもうなずける。 逆に出たい気持ちはあれど、出ることが出来ない気持ちもうなずける。 読んでいてどんどん沈んだ気持ち...
一つの島で生きる、生きていた人達の物語。 閉鎖的な環境、狭い世界での価値観、他人との距離感、逃げ場のない気持ちをどうするか考えた時に島を出る…という結論に至るのもうなずける。 逆に出たい気持ちはあれど、出ることが出来ない気持ちもうなずける。 読んでいてどんどん沈んだ気持ちになりました。
鹿内美保
湊かなえさんの短編集。一つの島を舞台に六つの話が展開される。どのお話もそれぞれの重さや辛さ、厳しさなどが描写されている。歌手のお話や教師のお話などは読んでいて辛さが込み上げてくるものがあった。湊かなえさんらしい人間の醜さや本心、集団心理、閉塞環境の恐ろしさなどが見られる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
湊かなえ氏の2013年の作品。 とある島での出来事を綴る短篇集。ちなみに湊氏は広島県の因島の出身で淡路島で教員をつとめたこともあるそう。 島に縁がある方の、島への愛憎を投影した作品、といってよいかもしれません。 ・・・ 一言でいうと、色々と面白かった! 島という一種の閉鎖空間の息苦しさ、そこから逃れるべく島を出る人、島でのよからぬ思い出がフラッシュバック…そういうイヤ~な雰囲気の描写は、彼女にとってはお手のものでしょう。 他方、湊氏らしからぬ?読後が良い短編もあり、バラエティに富んだストーリー展開であったと思います。 その中で唯一共通しているのが、全ての短篇で「白綱島」が舞台、そしてそこの出身者であるということです。 ・・・ 短篇は全部で6つ。 『みかんの花』、『海の星』、『夢の国』、『雲の糸』、『石の十字架』『光の航路』、から成ります。 ・・・ 一番気に入ったのが『みかんの花』でしょうか。 端的に言うと姉妹の話です。駆け落ちして島を出て行って音信不通のまま、突然売れっ子作家となって里帰りした姉。島に残されて、結婚し母親の面倒を見る妹。心理的葛藤が特に妹側にあるのです。その描写のドロドロ感・ヌメヌメ感は職人技ですね。 面倒なものを全部背負わされていたと思っていた妹が、最後に知る姉の真実。ツイストハマりました! ・・・ 『雲の糸』も良かった。イヤミス系。 幼少期から島でいじめられ、必死の思いで島を出た主人公黒崎。後に幸運をつかんで歌手になるも、母親の勤めるいじめっ子(二代目)が経営する会社の周年行事に無理やり参加することに。 島に帰ると、家族が勝手にサイン会をアレンジしていたり、かつてのいじめっ子との関係が元通りになり、やりたくないこと・できないことを押し付けられる。 因習の軛から逃れ慣れない絶望感がすごい作品。 ・・・ 『海の星』もステキ。 こちらは珍しくハッピーなほんわかな終わり方。 島外で家庭を築き、子どもが取ってきた魚を食べる幸せな日常、そんな生活を送る浜崎。その折、妻に手渡された同級生真野美咲から届いていたという手紙。過去に真野の父「おっちゃん」との嫌な思い出もあり、渋々ながら会った先で美咲が語った「おっちゃん」の真相。 こちらのツイストも想像しない展開でした。ショートドラマになりそうな動的展開も印象的でした。 上記がトップ3ですが、これ以外も良かったです。 ・・・ ということで、湊作品でありました。 短篇ですが、短か過ぎず、長すぎず、適切な長さ。加えてツイストがあるもの、ねっとりとしたイヤミスもの等、バラエティにも富んでおり、楽しめました。 出張など、ちょっとした外出などで読まれると良い気分転換になるかもしれません。 話の舞台は因島をモデルにしていると言われるようですが、そうした瀬戸内海の島にお出かけになることが有れば、お供に読まれるとすれば乙なものではないでしょうか。
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