望郷 の商品レビュー
閉鎖的な島
一つの島で生きる、生きていた人達の物語。 閉鎖的な環境、狭い世界での価値観、他人との距離感、逃げ場のない気持ちをどうするか考えた時に島を出る…という結論に至るのもうなずける。 逆に出たい気持ちはあれど、出ることが出来ない気持ちもうなずける。 読んでいてどんどん沈んだ気持ち...
一つの島で生きる、生きていた人達の物語。 閉鎖的な環境、狭い世界での価値観、他人との距離感、逃げ場のない気持ちをどうするか考えた時に島を出る…という結論に至るのもうなずける。 逆に出たい気持ちはあれど、出ることが出来ない気持ちもうなずける。 読んでいてどんどん沈んだ気持ちになりました。
鹿内美保
湊かなえさんの短編集。一つの島を舞台に六つの話が展開される。どのお話もそれぞれの重さや辛さ、厳しさなどが描写されている。歌手のお話や教師のお話などは読んでいて辛さが込み上げてくるものがあった。湊かなえさんらしい人間の醜さや本心、集団心理、閉塞環境の恐ろしさなどが見られる。
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湊かなえ氏の2013年の作品。 とある島での出来事を綴る短篇集。ちなみに湊氏は広島県の因島の出身で淡路島で教員をつとめたこともあるそう。 島に縁がある方の、島への愛憎を投影した作品、といってよいかもしれません。 ・・・ 一言でいうと、色々と面白かった! 島という一種の閉鎖空間の息苦しさ、そこから逃れるべく島を出る人、島でのよからぬ思い出がフラッシュバック…そういうイヤ~な雰囲気の描写は、彼女にとってはお手のものでしょう。 他方、湊氏らしからぬ?読後が良い短編もあり、バラエティに富んだストーリー展開であったと思います。 その中で唯一共通しているのが、全ての短篇で「白綱島」が舞台、そしてそこの出身者であるということです。 ・・・ 短篇は全部で6つ。 『みかんの花』、『海の星』、『夢の国』、『雲の糸』、『石の十字架』『光の航路』、から成ります。 ・・・ 一番気に入ったのが『みかんの花』でしょうか。 端的に言うと姉妹の話です。駆け落ちして島を出て行って音信不通のまま、突然売れっ子作家となって里帰りした姉。島に残されて、結婚し母親の面倒を見る妹。心理的葛藤が特に妹側にあるのです。その描写のドロドロ感・ヌメヌメ感は職人技ですね。 面倒なものを全部背負わされていたと思っていた妹が、最後に知る姉の真実。ツイストハマりました! ・・・ 『雲の糸』も良かった。イヤミス系。 幼少期から島でいじめられ、必死の思いで島を出た主人公黒崎。後に幸運をつかんで歌手になるも、母親の勤めるいじめっ子(二代目)が経営する会社の周年行事に無理やり参加することに。 島に帰ると、家族が勝手にサイン会をアレンジしていたり、かつてのいじめっ子との関係が元通りになり、やりたくないこと・できないことを押し付けられる。 因習の軛から逃れ慣れない絶望感がすごい作品。 ・・・ 『海の星』もステキ。 こちらは珍しくハッピーなほんわかな終わり方。 島外で家庭を築き、子どもが取ってきた魚を食べる幸せな日常、そんな生活を送る浜崎。その折、妻に手渡された同級生真野美咲から届いていたという手紙。過去に真野の父「おっちゃん」との嫌な思い出もあり、渋々ながら会った先で美咲が語った「おっちゃん」の真相。 こちらのツイストも想像しない展開でした。ショートドラマになりそうな動的展開も印象的でした。 上記がトップ3ですが、これ以外も良かったです。 ・・・ ということで、湊作品でありました。 短篇ですが、短か過ぎず、長すぎず、適切な長さ。加えてツイストがあるもの、ねっとりとしたイヤミスもの等、バラエティにも富んでおり、楽しめました。 出張など、ちょっとした外出などで読まれると良い気分転換になるかもしれません。 話の舞台は因島をモデルにしていると言われるようですが、そうした瀬戸内海の島にお出かけになることが有れば、お供に読まれるとすれば乙なものではないでしょうか。
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「白綱島」という島が舞台となっている6つの短編からなる作品。島での話になるためある程度は田舎であることが分かります。どの話も子供の時に起こった出来事を回想する形で進められています。大人になり島に戻ったり島のことや自分の両親を思い出したときに自分の子供の頃を思い出します。幼いころ...
「白綱島」という島が舞台となっている6つの短編からなる作品。島での話になるためある程度は田舎であることが分かります。どの話も子供の時に起こった出来事を回想する形で進められています。大人になり島に戻ったり島のことや自分の両親を思い出したときに自分の子供の頃を思い出します。幼いころはわからなかったが大人になり事情が分かると自分の気持ちや周りに対する見方に少しずつ変化が生まれてきます。 どの話も最後は思い込みや食い違いが解消され、これから前に踏み出そうと感じられてよかったです。短編なので時間がない日でも1日1話ずつと少しづつ区切りよく読めます。
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映画で『告白』は見ていたけど小生初、湊かなえさん。一瞬にして話に引き込まれ、最後にドカーンと梯子を外される。しかも短編で6話も。これが、湊さんワールドの快感なのだと認識しました。
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閉鎖的なコミュニティで保守的な人、変わろうとしても変われない人、変わったとしても引き摺り戻される人、を描いたオムニバス。 弱い主人公が大嫌いだ。わたしみたいだから。 変えられない主人公が大嫌いだ。わたしみたいだから。 物語の世界ではなんでもどうにかなるところが良い。変えられない現実と向き合わないで良いところが好きだ。 この物語の主人公たちは島に囚われて自分を変えることが出来ない。例え地位や名誉を手に入れたとしても、大人になったとしても引き摺り戻される。 主人公の体の中にわたしの人格が引き摺り込まれて、こう行動したいのに嫌な方、嫌な方で引っ張られていくのは悪夢の行動しにくさに似たようなものがあると思った。 珍しく読後感をすっきりさせるのが湊かなえらしくなくてあまり心に残らなかった。 湊かなえ自身がすっきりしたいオナニー小説なのかしら、なんて思ってしまった。
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瀬戸内海の小さな島というのは作者の湊かなえさんの出身の島に準えているのかなと思う。島出身の様々な人に起きた事件や出来事が短編として描かれ、ミステリー作家ならではのお話もあれば、心にグッとくるようなお話もあり、島や狭い田舎の社会ならではの因習的な感じ、一つ一つ楽しんで読みました ...
瀬戸内海の小さな島というのは作者の湊かなえさんの出身の島に準えているのかなと思う。島出身の様々な人に起きた事件や出来事が短編として描かれ、ミステリー作家ならではのお話もあれば、心にグッとくるようなお話もあり、島や狭い田舎の社会ならではの因習的な感じ、一つ一つ楽しんで読みました 海の星は私も見てみたい そして、またどこかで読み直す気がしている作品です
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白綱島を舞台にした短編6話。 湊かなえ作品には珍しい 心のすっとするお話も、 これぞ湊かなえという イヤミスなお話もあり、 色んな方向に心を動かされた。 田舎の 表面的な良し悪しも 内面的な良し悪しも わかっている人の書き方だった。 直接的な感想とは少しずれてしまうが、 田...
白綱島を舞台にした短編6話。 湊かなえ作品には珍しい 心のすっとするお話も、 これぞ湊かなえという イヤミスなお話もあり、 色んな方向に心を動かされた。 田舎の 表面的な良し悪しも 内面的な良し悪しも わかっている人の書き方だった。 直接的な感想とは少しずれてしまうが、 田舎から都会に出た事で 生きやすくなった私にとって、 湊かなえが"わかっている人"側の人間で あったことが何より嬉しく感じた。
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同じ島に関連する6つの物語。島という閉ざされた環境を緻密に描かれています。でもだからこそ気付く家族の愛情。 また違った湊かなえさんの作品にら出会えました!!
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幸せな事に本当の絶望を知らないが、ほんの僅かの希望さえあればそれを大切に丁寧に膨らませ幸せを作れることはわかっている。そんな私に励ましをくれる本でした。
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