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隠喩としての病い
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | みすず書房 |
| 発売年月日 | 1982/04/10 |
| JAN | 9784622010821 |
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隠喩としての病い
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商品レビュー
3.8
5件のお客様レビュー
著者は小説から映画、写真まで多岐にわたり活躍した文学者だ(2004年没)。晩年乳ガンと子宮ガンに悩まされたが、本書は自身のガン体験をもとに書かれた評論。「ガン」と言う言葉が、特殊な広がりをもつ隠喩として自立し人間の思考と行動を左右してしまう現象に注目した。この中でガンの隠喩として...
著者は小説から映画、写真まで多岐にわたり活躍した文学者だ(2004年没)。晩年乳ガンと子宮ガンに悩まされたが、本書は自身のガン体験をもとに書かれた評論。「ガン」と言う言葉が、特殊な広がりをもつ隠喩として自立し人間の思考と行動を左右してしまう現象に注目した。この中でガンの隠喩としての働きが、19世紀において結核という病にかかった人々に与えられた周囲の目線と患者の心の葛藤、さらに、ギリシャ時代以来さまざまな病が担わされた思想史的意味について考え始める。結核、梅毒、ガン、狂気といった病気が医学思想、道徳論、ロマン主義から現代のSFにいたる文学作品、ホッブスからナチズムにいたる政治思想との関連において解読されてゆく。「病いの記号論」と言う現代社会の医療問題にも通じる作品だ。続編『エイズとその隠喩』は、私にとって忘れられない作品だ、大学卒業時の就職活動で8月末新聞で見た新潮社の新卒欠員募集で書評を提出して最終面接に臨んだ。結果は?『エイズとその隠喩』の書評を待て!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
病気は私たちの身体に起きる生物学的な現象であると同時に、その時代や社会が投影する意味や解釈に深く影響される。この本は、病気が帯びる「文化的な意味」を解きほぐしていく試みだ。 19世紀、結核は特別な意味を付与されていた。 詩人キーツ、小説家ブロンテ姉妹、ショパンといった芸術家たちの死因として知られる結核は、「芸術家らしい病」としてロマンチシズムの文脈で語られた。 青白い肌、痩せこけた体、頬の紅潮、そして高熱に浮かされた幻想的な精神状態。これらの症状は、俗世から切り離された崇高な精神性の表れとして美化された。情熱的すぎる魂が肉体を焼き尽くすという解釈さえ存在した。 しかし20世紀に入り、結核が公衆衛生の改善と抗生物質の開発によって「征服可能な病」となると、新たな「畏怖すべき病」としてがんが前景化する。 がんは「内なる敵」として語られ始める。抑圧された感情、解放されない欲望、満たされない野心が、自分の細胞を狂暴に増殖させるという解釈だ。 患者は「がんになりやすい性格」の持ち主として、自身の病の責任を問われることさえある。 この病気への意味づけは、驚くほど私たちの認識に染み付いている。「がんのような社会問題」「テロリズムは現代社会のがんだ」といった表現を、私たちは無自覚に使う。 しかし、このような比喩は実際の患者に二重の苦しみを与える。ソンタグは指摘する。病気と闘うだけでなく、その病気に付与された不名誉や暗いイメージとも闘わなければならない。 末期がんの患者が「負けてしまった」と語るとき、そこには単なる医学的事実以上の、社会が押しつけた意味が重くのしかかっている。 著者自身、30代で乳がんを患い、その後も二度のがん闘病を経験している。その経験は本書の考察に独特の重みを与えている。 病気を過度に意味づけることは、かえって病気の実相を見えにくくする。 結核を「ロマンティックな病」と美化することは、患者の実際の苦痛を覆い隠す。がんを「性格の病」とすることは、科学的な理解と適切な治療の妨げとなる。 本書は最終的に、病気を文化的意味から解放し、あるがままの医学的現実として直視することを提案する。 しかしこれは、病人への共感を放棄することではない。むしろ、余計な意味づけを取り払うことで、より正確に病気と向き合い、より深く患者の苦痛に寄り添うことが可能になると説く。 現代では当たり前となった「がん告知」の是非が激しく議論されていた1970年代に書かれた本書は、病気と患者の尊厳について、今なお重要な示唆を与え続けている。
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図書館には、隠喩としての病しかのってない本しかなかったから。 エイズの方のエッセイも読みたいと思った。
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