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日本原爆開発秘録 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2015/04/01 |
JAN | 9784101333731 |
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日本原爆開発秘録
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商品レビュー
3.8
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2015年(底本2012年)刊。 戦中での、日本の原爆開発に関する陸海軍の動きと、これに即した各研究者の足跡を叙述したのが本書である。 正直、日本の原爆開発に関しては、TVドキュメンタリーや他の書籍もあって、陸海の非協同性や東西の研究者の対抗意識、実際、原爆製造など実現不可能だった実情など、内容はさほど新奇ではない。 依拠するものが関係者のインタビューと私家版書籍の引用の多である点が、多少目に付くくらいである。 その上でいつも思うのが、科学者・研究者の救い難き業と、日本軍の科学技術に対する無理解である。 前者に関しては、研究が生み出す問題に、虚心坦懐に向き合う研究者が多くなく、製造が非現実的であったとはいえ、新兵器を後先考えずに矢鱈目鱈使いそうな日本軍に協力することの是非に悩んだ形跡が余り見受けられない。そればかりか、かえって、当時としては予算・資材の潤沢な供給が成されていた原爆研究を喜々として行っていた姿すら想起できそうな状況(勿論、これは米国人研究者にも妥当)。 後者は言わずもがなだが、研究者の総数の日米差だけを見ても容易に想起できそう。 そもそも日本は、その国力に比して長く戦い過ぎた。人的能力の開発も、科学技術・研究の進歩も、長期的視野に立って検討・実施すべきもので、短兵急に成果を挙げられない。 人的・技術的開発が国内で満遍なく進展し、また国民全体を底上げする事態を大いに阻害する要素が、戦さ馬鹿だけを生むしかない長期間あるいは大量動員の戦争なのだろう。 このことを先の「昭和の陸軍人事」と本書は教えてくれる。 なお本書のラスト。九州大学大学院の吉岡斉教授は、昨今の放射線研究につき、放射線医学の専攻者による、国際標準の知見乏しきままのずれた発言を「酷い」と非難する点に注意(名指しせず)。
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唯一の被爆国日本も行っていた原爆開発。理論、技術、資源、国力全ての点に於いてアメリカに及ばなかったため、ついに作ることは出来なかったが、それは加害者にならなかっただけであり、その可能性はあったということである。 筆者は原爆開発に携わった科学者たちに対して、そもそも原爆は作れないと...
唯一の被爆国日本も行っていた原爆開発。理論、技術、資源、国力全ての点に於いてアメリカに及ばなかったため、ついに作ることは出来なかったが、それは加害者にならなかっただけであり、その可能性はあったということである。 筆者は原爆開発に携わった科学者たちに対して、そもそも原爆は作れないとわかっていて研究していたと多少好意的に書いてはいるが、陸軍、海軍の要請で開発の研究をしていたことに変わりはなく道義的責任は免れないと思う。 被爆国日本で原爆開発があったことをどれだけの人が知っているだろうか。原爆の悲劇を伝えることと同じように、この事実も合わせて考えるようにしなければ、真の原水爆廃絶は実現しないだろう。
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