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ノヴァーリスの引用/滝
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ノヴァーリスの引用/滝
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商品レビュー
5
5件のお客様レビュー
この著者の小説は初めて読んだ。2篇の中編を収める本書はいずれも閉鎖的な集団の中での心理や記憶の細かな襞を巧みに扱っており、面白く読めた。
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滝を始めて読んだのはもう二十数年前。純文学なのにすごいBL(当時はまだやおいと称されていましたが)だとドキドキして読み終えましたが、今読むと、BL話というより、勲からあそこまで人間性を奪った集団の恐ろしさが気になってしまいました。 女のみの集団はトップを作らりたがらず、男のみの集...
滝を始めて読んだのはもう二十数年前。純文学なのにすごいBL(当時はまだやおいと称されていましたが)だとドキドキして読み終えましたが、今読むと、BL話というより、勲からあそこまで人間性を奪った集団の恐ろしさが気になってしまいました。 女のみの集団はトップを作らりたがらず、男のみの集団はリーダーを作って戦いたがる、と何かの本で読んだ気がしますが、カリスマとか作り上げて自分たちの気持ちをあげていかなくてはともに生きていけないのが男性性なのかな、と思いつつ。
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『滝』、完璧な純粋を極めて上り詰めた先には転落か死しかない。 三島文学『奔馬』をなぞった作品であるのは間違いないが、最後の顔を破壊する理由は?それも三島の大の苦手である蟹に食いちぎらせるとは。 これは三島文学へのオマージュなんていう生易しいものではなく三島への挑戦状なのかもしれな...
『滝』、完璧な純粋を極めて上り詰めた先には転落か死しかない。 三島文学『奔馬』をなぞった作品であるのは間違いないが、最後の顔を破壊する理由は?それも三島の大の苦手である蟹に食いちぎらせるとは。 これは三島文学へのオマージュなんていう生易しいものではなく三島への挑戦状なのかもしれない。 ストーリーそのものは三島の短編『剣』を換骨奪胎といったところで『蘭陵王』にも雰囲気に共通するところがあると感じたがそれはむしろ《顔》へのこだわり? 『剣』では葉隠にある顔の皮の剥がし方について話す件があった。それに応えてなのか。 神風連をイメージさせる宗教組織。 山岳清浄行での内部崩壊、狂気に取り憑かれていく様は、 1971〜1972の連合赤軍の山岳ベースリンチ事件を想起する。 《正義》に向けて純粋を極めた情熱は死に向うしかない。それは三島が描く輝かしい死ではなく「肉食の虫に狙われた傷ついた獣」内部から腐敗していく醜い死。三島が懸念していたこと、もしくは期待していたことはその死からわずか2年足らずで終焉を迎えることになる。1970年という三島自決の年についてあらためて考えさせられた。 ⚪︎蟹顏の達彦は飯沼茂之のよう。 勲のアルカイクスマイル。 『剣』の次郎のアルカイクスマイル 勲と陰陽の対になる松尾貴彰、『奔馬』勲の前世、松枝清顕と名前が似ている? 何度も繰り返される蛇殺しのモチーフ。自身のデビュー作『蛇を殺す夜』からか。
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