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「存在の問い」の行方 『存在と時間』は、なぜ挫折せざるをえなかったのか
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 北樹出版 |
| 発売年月日 | 2015/03/01 |
| JAN | 9784779304446 |
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「存在の問い」の行方
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ハイデガーの『存在と時間』が挫折せざるをえなかった理由を解明し、さらにその検討を通じて獲得された視点から、『哲学への寄与』の時期におけるハイデガーの存在をめぐる思索がどのような問題に直面しているのかということを論じた本です。 著者は、『現象学の根本問題』における投企には、三つの...
ハイデガーの『存在と時間』が挫折せざるをえなかった理由を解明し、さらにその検討を通じて獲得された視点から、『哲学への寄与』の時期におけるハイデガーの存在をめぐる思索がどのような問題に直面しているのかということを論じた本です。 著者は、『現象学の根本問題』における投企には、三つの意味が区別できることを指摘しています。すなわち、現存在の固有の可能性へ向けておこなわれる実存的な投企と、このような投企を可能にする世界了解としての投企、そしてさらにそれを可能にするテンポラリテートへ向けての根源的な投企です。こうした三つの投企をめぐって展開されるハイデガーの思想は、現存在の個別的・具体的な実存への関心から、それ以前の被個別的な「存在」への関心への深化として理解することが可能です。 ところが『存在と時間』では、現存在の非本来性から本来性へ向かうというしかたで、彼の議論は展開されています。すなわち、「根本気分」としての不安において「ひと」としての自己のありかたが問いなおされ、「死への先駆」というかたちで自己の固有の可能性へとまなざしが向け変えられています。こうした枠組みのもとで展開される『存在と時間』の議論は、個別的・具体的な実存から非個別的な存在へと向かう彼の思索と矛盾するのではないかという問題を、著者は提出しています。 この問題に対して著者は、ハイデガーの矛盾を認めつつも、本来性から非本来性へと向かうことで、存在忘却というわれわれの陥っている存在史上の状況をあらためて問いなおすことが可能になったのではないかと論じています。さらに『存在と時間』から『哲学への寄与』へと向かっていく後期の思想においても、みずからを覆蔵する真理を問うという、いわば原理的に不可能な問いかけが、「存在論的差異」についての思索を通じて、逆説的にそのすがたを現わすことになったのではないかと論じられています。
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