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永遠の夏 戦争小説集 実業之日本社文庫
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永遠の夏 戦争小説集 実業之日本社文庫

アンソロジー(著者), 五木寛之(著者), 城山三郎(著者), 坂口安吾(著者), 大岡昇平(著者), 島尾敏雄(著者), 山田風太郎(著者), 田村泰次郎(著者), 皆川博子(著者), 末國善己(編者)

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永遠の夏 戦争小説集 実業之日本社文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 実業之日本社
発売年月日 2015/01/31
JAN 9784408552149

永遠の夏

¥330

商品レビュー

3.3

3件のお客様レビュー

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2023/07/23

真珠湾攻撃、インパール作戦、硫黄島の戦い、沖縄戦、広島原爆投下等々… 第二次世界大戦を題材にした14人の作家による戦争小説集。 戦時中の兵士、一般市民だけでなく、現代に繋がっている物語もあり。 全てフィクションでありノンフィクションなのだと思う。

Posted by ブクログ

2018/04/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アンソロジーなので、面白く読んだものもあれば、タイクツしたものもある。 面白かったのは、古処誠二「糊塗」、帚木蓬生「抗命」、の2作。 前者は、敗戦の陰が差すニューギニアで、部隊移動のために道を補修し続けるという終わりない作業を任務とする隊内で、部下を刺し殺したとする上等兵の謎を暴く物語。それは天皇陛下から預かった銃剣を紛失するという事件から端を発していた。何気ない些細なミスが大きな事件を生むことはあるが、何万という将兵が殺される現実を前に、何を大事とすべきか、何を事件とすべきか、苦しい判断に迫られる。天皇の子であると教育されている兵士たちにとって、銃剣の紛失は大変な失態であり、殺人を犯したと言い募るほどのことであったかもしれない。 しかし、その後の歴史が証明している。この後、何十万もの兵士や市民が命を落としていく。その戦争の中では、銃剣一本のことよりも大切なもの、なくしてはならないものがあったはずだ。そのことを無視して、剣一本、悪意なき不注意を咎め立てできる者はいない。 後者は、ちょうど、その逆で、インパール作戦において、大勢の将兵の命を預かる烈師団長の佐藤中将の判断を問う物語だ。 そもそもの最初から無謀と言われ、その悲惨さも含め、今も最大の作戦失敗として名高いインパールの占拠作戦。中将は後方補給地のコヒマ攻略が任務だったが、兵站の乏しい難路の強行軍に、補給もなく、将兵は病気と飢えでバタバタと倒れていく状況に、軍法会議にかけられる=死刑を覚悟して、司令官牟田口中将の命令に背き、撤退命令を出した。佐藤中将の命令時の精神鑑定をする山下軍医が、もし自分が、中将の精神に異常なしとしたら死刑になってしまう、異常だということになれば命が助けられるのではと逡巡することになる。 無謀かつ強引な作戦を強要した牟田口中将と、将兵の命を優先して命令に背いた佐藤中将と、どちらの精神が明晰であり、どちらの判断が明察であるか。それを法廷で争おうとした佐藤中将の思いは、しかし、激しさを増す戦争の波の中に沈んでしまう。 その他、坂口安吾「真珠」は、太平洋戦争開戦のハワイ特攻を行った九軍神への市井の反応を綴ったものとして興味深い。「あなた方」と呼びかける言葉の裏には、闘いの火蓋を切った若者たちへの尊敬の念が感じられる。その先の歴史を見通しても、同じ尊敬の念を継続し得たのだろうか。 また、五木寛之「私刑の夏」は、敗戦後、北朝鮮から三十八度線を越えて日本へ帰りたいと願って逃走を企てる人々に起きた出来事を語る。敗戦後の混乱期に、遠い異国の地に残された人々には、騙し、騙され、死にものぐるいの駆け引きをしながら、戦史には語られないさまざまな出来事があったことだろう。 田村泰次郎「蝗」では、棺桶とともに、いわゆる朝鮮人女性の慰安婦を部隊に輸送していく軍曹の物語。 冒頭、柴田哲孝「草原に咲く一輪の花 異聞ノモンハン事件」も、ありもしない(?)チンギス・ハンと義経伝説を追って、戦略的には意味のない場所を争った日本とソ連の両軍の空しさが書かれる。その当時の兵士たちは必死だったが、長い年月を経て振り返った時、果たして、厳命をもって他言を禁じたことの意味と価値について考えさせられる。 通して読んで、振り返り、いったい、あの戦争は何だったのだろうと思う。それぞれの刹那が、あまりにも儚く、脆く、愚かだ。

Posted by ブクログ

2015/02/10

戦後70年目に編集された短編集。14人の作家が、それぞれの戦後を描く。目取真俊の短編が一番面白く、柴田哲孝、古処誠二、山田風太郎、五木寛之、小松左京の短編が面白かった。 柴田哲孝『草原に咲く一輪の花 ー異聞 ノモンハン事件ー』。柴田哲孝の『異聞 太平洋戦記』に収録されていた短編...

戦後70年目に編集された短編集。14人の作家が、それぞれの戦後を描く。目取真俊の短編が一番面白く、柴田哲孝、古処誠二、山田風太郎、五木寛之、小松左京の短編が面白かった。 柴田哲孝『草原に咲く一輪の花 ー異聞 ノモンハン事件ー』。柴田哲孝の『異聞 太平洋戦記』に収録されていた短編。ノモンハン事件の真相に迫るミステリーであるが、その真相は意外なものだった。 坂口安吾『真珠』。ハワイの真珠湾攻撃の未帰還兵を描いた作品。歴史の裏に知られざる事実あり。 大岡昇平『歩哨の眼について』。歩哨兵の『私』の敵襲への恐怖を描いた掌編。 田村康次郎『蝗』。慰安婦と白木の棺桶を戦地に運ぶ任務に就いた原田軍曹…生(性)と死の狭間で描かれる兵士たちの渇望。後味が非常に悪い作品であるが、戦時の中で日本が行なった蛮行から目を背けてはいけない。 古処誠二『糊塗』。敗戦濃厚な戦場で繰り広げられるミステリー…狂気…古処誠二の描く、戦争小説は心を抉られるようで、何とも残酷。 帚木蓬生『抗命』。『蛍の航跡 軍医たちの黙示録』収録の短編。軍に抗命した中将の精神鑑定を引き受けた軍医の迷いとは… 城山三郎『硫黄島に死す』。享楽的な生活と戦場という地獄の対比…人間の愚かさと人生の無情さを感じる作品。 山田風太郎『潜艦呂号99浮上せず』。米国との兵器の差は歴然であり、精神力でその差を埋めようとする日本。合理主義者の九鬼中尉は新興宗教の教祖の御神託をも撥ね付け、戦場に向かうのだが… 皆川博子『アンティゴネ』。物語の舞台は書かれてはいないが、登場人物の言葉から推測すると東北地方の田舎であろう。東京から田舎に引っ越して来た佐倉梓と田舎に疎開して来た篠井江美子…終戦後に二人を待っていた悲劇… 徳川夢声『連鎖反応 ーヒロシマ・ユモレスクー』。広島鉄道局の車掌、吉川右近を突然、襲った悲劇…原爆により、突然、喪われた日常… 島尾敏雄『出孤島記』。広島、長崎に原爆が投下されたという報を耳にしながら、自殺艇による特攻命令を待つ主人公の不安の日々… 五木寛之『私刑の夏』。敗戦後、朝鮮半島に暮らしていた日本人たちは祖国を目指し、脱出を図るのだが…ラストに仕掛けられたミステリーと異国の地で過酷な運命を辿る日本人たち… 目取真俊『伝令兵』。この短編だけは本作の中では異質。異質というのは決して、つまらなかったという意味ではない。むしろ、一番面白く、心に突き刺さった短編である。舞台は返還後の沖縄。嘉手納基地近くでジョギングをしていた金城は三人の米兵とトラブルを起こし、首の無い少年兵に助けられる。ホラー短編のような趣きもあるが、戦争は今も続いているのだという著者の強いメッセージを感じる。傑作である。 小松左京『戦争はなかった』。最後は小松左京のSFである。同窓会に向かう途中の主人公が階段で転倒し、彼ひとりだけが戦場の記憶を持つことになるのだが…戦争の記憶の無い日本…パラレルワールドSF。上手い。

Posted by ブクログ