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言葉なんかおぼえるんじゃなかった ちくま文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2014/11/10 |
JAN | 9784480432216 |
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商品レビュー
4.1
11件のお客様レビュー
以前から「読むべき」人として名前をメモしておいた 今回、図書館から『現代の詩人 田村隆一』を借りて、最初の一編を読んだだけで迫力に圧倒された 買うべき本だと思っている
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「言葉」というのは、人間が人間である所以なんだよ。 動物と人間との違いというのは、この言語能力にあるわけ。 言葉によって概念を操って人間は思考することが出来るのな。だから本能以外の行動を人間だけが出来るんだよ。 しかし、その「言葉」によって、人間は動物が持ち得ない悲しみを得てしま...
「言葉」というのは、人間が人間である所以なんだよ。 動物と人間との違いというのは、この言語能力にあるわけ。 言葉によって概念を操って人間は思考することが出来るのな。だから本能以外の行動を人間だけが出来るんだよ。 しかし、その「言葉」によって、人間は動物が持ち得ない悲しみを得てしまうのな。 動物は仲間でも自分の子供でさえ、平然と見捨てるんだよ。 動物はそれでいいんだよ。 しかし人間だけは、言葉によって膨大なことを考えてしまうわけ。 それが「不幸」だと捉えれば、この詩は何の意味もないんだよ。 悲しみこそが人間の所以なの。悲しみ、苦しまないと人間じゃないんだよな。 そういうことを描いている詩なんだよ。 そして「悲しみ」というものが何なのかと言えば、それは自分のものではないもののことなんだよ。 自分のことで悲しんだり喜んだりするのは、動物も同じなの。感情って動物にもあるんだ。 しかし、人間は言葉による思考のために、他者の悲しみを感じてしまうのな。 でも、生命として、本来はそれは無関係なわけ。ここが重要なんだよ。 第一段はいいよな。 第二段は、思考することで何かに気付いてしまう苦しみと、自分が考えて行動したことで負ってしまう痛みのことだよ。思考と行動の両方から人間は悲しみ、苦しみを得てしまう、ということだよな。 第三段は、そういう他者の痛みを見ても、またその心の中に隠されたものでも感じてしまう人間の思考だよ。動物には無い人間だけのものだ、ということが語られているわけ。 そして第四段において、人間はちっぽけな存在だから、どんなに重く苦しんでも悲しんでも思っても、それは世界の摂理や壮大な流れには遠く及ばない、ということが語られる。 しかし、それは同時に、そういうちっぽけなものなのに、人間というのは大きな悲しみや苦しみを抱いてしまうものなのだ、ということだよな。 そういうことが第五段によって、大いなる肯定として詩人は慟哭しているんだよ。 生命として違ってはいても、ちっぽけなものであったとしても、自分は他者の悲しみに立ち止まり、他者の行なった悲しみを自分のものとして受け止めよう、ということだ。 「涙」というのは心の中にある悲しみであり、「血」というのは外に顕れた悲しみだよな。 また「涙のなか」は人間だけが持つ悲しみのことであり、「血のなか」とは人間というものが自分も他も一体なのだという大らかな宣言と解してもいいんだよ。 他人の悲しみに敏感なんだよ、田村隆一は。自分のものではない悲しみを感じてしまうからこそ、一流の詩人になれたんだよな。
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言葉なんか覚えるんじゃなかった こと一文の強さ、広がりはすごい。 きっと、思い出すたびにさまざまに思考が広がるだろう。 代表的な詩と、語り。 言葉の深みを知り抜いた詩人の粋。
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