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これからの賃金
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 旬報社 |
発売年月日 | 2014/10/01 |
JAN | 9784845113804 |
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これからの賃金
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「これからの日本の賃金には、日本で働くすべての労働者の均等処遇をめざす賃金制度が必要であること、その賃金制度は"範囲レート職務給"が中心になるはずであって、それに必要な職務評価は"同一価値労働同一賃金"の考え方で実施すべきこと」を、筆者は本...
「これからの日本の賃金には、日本で働くすべての労働者の均等処遇をめざす賃金制度が必要であること、その賃金制度は"範囲レート職務給"が中心になるはずであって、それに必要な職務評価は"同一価値労働同一賃金"の考え方で実施すべきこと」を、筆者は本書で主張している。 筆者はまず「日本的雇用慣行」(筆者の言葉では「1960年代型日本システム」)について説明する。このシステムは、ある時期の日本でのみ成立し得たものであり、当時の日本の状況とマッチして、日本企業の競争力をサポートするものでもあった。ところが、時代は変化し、日本的雇用慣行が存続・機能できる根拠(①企業の継続的成長を前提にしていたこと②長期雇用が企業にとっても有利であったこと③「専業主婦型家族モデル」がマジョリティであること)が失われたのに、それでも、日本的雇用システムはまだ継続しており、それが、多くの問題を引き起こしていると主張している。ここまでは、非常に分かりやすく、頭の整理にもなる。 それでは、どのようにしていくかについて、筆者は、「職務基準雇用慣行/同一価値労働同一賃金」の形に、雇用・賃金制度を変えていくべきであると主張している。いわゆる「ジョブ型」の雇用・処遇システムである。 しかし、「国の様々な経済制度は互いに補い合って機能している。したがって、一国の金融制度なら金融制度、ビジネス組織ならビジネス組織だけを独立に変えようとしても、相互補完的な制度において対応する変化が起きなければ必ず無理が生じる」(青木昌彦「移りゆくこの十年、動かぬ視点」)というのが、今ではほぼ共通認識となっている、制度経済学の考え方であり、「雇用・処遇システム」だけを、ジョブ型に変えることには無理が生じるのである。それは、例えば教育システムである。「ジョブ型雇用」の場合、入職者は新学卒を含めて、ある種のオーソライズされた職業能力を身につけている必要がある。「ジョブ」で人を募集するのだから、それを見につけている人が、あらゆる「ジョブ」に存在することが前提なのである。そして、それはヨーロッパの場合には、学校の職業教育にて身につけさせられるものである。「ジョブ型賃金・雇用」の学校教育システムは、日本とは大きく異なり、職業的専門性をもった人材を学校教育で育てようとしている。「ジョブ型賃金・雇用」は、そのような教育システムとセットになっているのである。従って、「賃金・雇用システム」だけを変えても、「必ず無理が生じる」のである。 また、筆者は「専業主婦型家族モデル」を「多様な家族構成」を許容する社会システムに変えることもセットで行うべきと主張している。これは、家族の形の実態に合わせるという話なので、考え方はよく分かるが、大変な社会制度変革が必要となる。 例えば、税制、「配偶者特別控除」等は存在し得なくなる。例えば、年金制度、3号被保険者制度等は存在し得ない、年金は1人1人が加入する仕組みとなる。その他にも、介護の仕組み、子育て支援の仕組み、等、改革が必要な社会制度は山積みである。そして、この変革から不利益を受ける既得権益層が必ず存在するため、政治的にはこれを実現するのは、相当にハードルが高い。 私自身、「同一価値労働同一賃金」とか、「多様な家族モデル」に反対しているわけではない。しかし、それを実現するためには、上記の通り、障害になることが多いことは分かっている話であり、それについて触れずに、「職務基準雇用慣行/同一価値労働同一賃金の形に、雇用・賃金制度を変えていくべきである」と言っても、それは何も言ったことにならないのではないかと思った。
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