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霧のむこうに住みたい 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2014/09/01 |
JAN | 9784309413129 |
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商品レビュー
3.9
21件のお客様レビュー
須賀さんの本は、三冊目。 本書はエッセイ集。 芦屋で暮らした少女時代から、フランス留学時代、イタリアに移ってから、そして東京に戻ってから、さまざまな時期の思い出が、各編でさらりと描かれていく。 たとえば、アスパラガスひとつとっても、アスパラガス農家の娘として育ったアドリアーナと...
須賀さんの本は、三冊目。 本書はエッセイ集。 芦屋で暮らした少女時代から、フランス留学時代、イタリアに移ってから、そして東京に戻ってから、さまざまな時期の思い出が、各編でさらりと描かれていく。 たとえば、アスパラガスひとつとっても、アスパラガス農家の娘として育ったアドリアーナという女性の来歴から、小学生時代に叔父が庭に植えたアスパラガス、そしてパリの学生寮で出るアスパラガスの料理と、自由に思い出が綴られる。 二十年以上もたって、アドリアーナがアスパラ栽培でどんな苦労をしていたかやっと思い至るようになった、という苦い思いとともに。 ミラノ、ジェノワ、フィレンツェなどの街を歩いた印象を書き留めた文章も素敵だ。 ローマを歩く文章が特に印象に残っている。 ゲットという地区がある。 いわゆるゲットー、ユダヤ人が集められた地区のことで、はじまりはローマだそうだ。 そうした歴史が刻まれた町の中で、仕事に打ち込み、ふと温かい表情を浮かべる人々の暮らしを垣間見て惹かれていくことが描かれている。 観光客と、難民と、出稼ぎの人々でごった返す当時のローマのエネルギーを、いろいろと想像させられた。 大洗濯の日という風習をめぐる話も面白い。 一年に一度、何もかも洗えるものを大鍋に入れて煮沸する春の行事だそうだ。 須賀さんは、この話を姑さんから聞いたそうだ。 彼女の滞在時に、すでに廃れつつあったようだ。 ユルスナールの自伝の中で、同じ風習が書かれていることを知り、古くはオデッセウスにも似たようなことがある…と気づいていく。 それだけの話といえばそうなのだけれど、背後に共通する風習があるのかと想像を掻き立てられるところが面白い文章だった。
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イタリアやフランスでの日々を追憶するエッセイ。 日本語で書かれているのに、読んでいるうちに「こんなことばがあったんだ」と感じていました。 するする入ってくるけれど、洋画の字幕を目で追っているような。そんな不思議な感覚です。 しかし、須賀さんの感性と視点を通して描かれる人々は、とて...
イタリアやフランスでの日々を追憶するエッセイ。 日本語で書かれているのに、読んでいるうちに「こんなことばがあったんだ」と感じていました。 するする入ってくるけれど、洋画の字幕を目で追っているような。そんな不思議な感覚です。 しかし、須賀さんの感性と視点を通して描かれる人々は、とてもリアリティがあって、"暮らしている"姿がありありと目に浮かびました。
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霧の流れる向こうに石作りの家 ぽつんと残されて立っていると誰かが迎えにくるかもしれない ーこういう文章が書けるといいなぁ
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