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ねずみに支配された島
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2014/06/13 |
JAN | 9784163900810 |
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商品レビュー
3.8
19件のお客様レビュー
1人を救うために5人殺すのかを問うトロッコ問題はあくまで仮定のストーリーであるが、 100匹を救うための1000匹、1万匹の殺処分は現実に行われている。 『すべての命は大切にしなくてはならない』という言葉に嘘はないが、命の価値に優先順位がないと言っているわけではない。 アリを無...
1人を救うために5人殺すのかを問うトロッコ問題はあくまで仮定のストーリーであるが、 100匹を救うための1000匹、1万匹の殺処分は現実に行われている。 『すべての命は大切にしなくてはならない』という言葉に嘘はないが、命の価値に優先順位がないと言っているわけではない。 アリを無為に踏み潰したら非難されるが、蚊を叩いても怒られない。 屠殺に対する抗議運動はあっても、ネズミやゴキブリの駆除が反対されることはない。 命の価値は、人への影響度合いで決められている。 では、その影響が遠い環境ではどうだろうか? 人里離れた離島において、ありふれた外来種により、固有の在来種が脅かされている。 せめて苦しめずに駆除すべきだろうか?その方法を探している間に絶滅してしまう可能性があるとしても? 在来種に価値があると信じる人々は保護のために駆除を進め、在来種に特別な価値を見いださない人々はそれに反対する。 固有種の希少性に十分に寄り添って書かれた本書を読めば、そのための害獣駆除を認めざるを得ないだろう。 例えその対象がネコやイヌであったとしても。
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鳥類学者川上和人先生の著書で取り上げられてれていたことで興味を持って読んでみた。 島に生息する固有種が外来生物によって絶滅するさまや、それを防ごうとする人々の活動を追ったノンフィクション。 天敵のいない島で繁殖していた生物がネズミに食い殺される様子の描写がグロテスクで、映像で...
鳥類学者川上和人先生の著書で取り上げられてれていたことで興味を持って読んでみた。 島に生息する固有種が外来生物によって絶滅するさまや、それを防ごうとする人々の活動を追ったノンフィクション。 天敵のいない島で繁殖していた生物がネズミに食い殺される様子の描写がグロテスクで、映像でなくてよかったと思った。 固有種を守るためには外来種を根絶しなければならない、という矛盾。 固有種は守るべきで外来種はほかの場所にもいるからこの島では絶滅してもいい。これも人間側の理屈。 一番いけない外来種は人間じゃないのかな。 外来種のネズミやキツネを持ち込んだのは人間だよね。 本当は地球のために根絶されるべきなのは人類なんじゃないか…と思わされた本でした
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固有の生態系を保った離島。たった数匹のネズミが難破船とともに上陸して数十年、島の貴重な鳥たちは全滅する。本書は、ネズミをはじめとする外来種が異なる環境にもたらす被害のすさまじさと、その解決のための戦いを描く。 例えば、ニュージーランドで絶滅寸前の飛べないオウム、カカポ。写真を見...
固有の生態系を保った離島。たった数匹のネズミが難破船とともに上陸して数十年、島の貴重な鳥たちは全滅する。本書は、ネズミをはじめとする外来種が異なる環境にもたらす被害のすさまじさと、その解決のための戦いを描く。 例えば、ニュージーランドで絶滅寸前の飛べないオウム、カカポ。写真を見ると、本当に唖然とするくらい無防備な鳥である。不謹慎を承知で言うが、私は「いじめて君(吉田戦車)」を思い出した。いったいどれだけのんきな環境に恵まれてきたのか。ここに何万匹のネズミやフェレットが入ってきたと思うと胸が痛む。 20世紀からは、残り少なくなった固有種を保護、安全地帯に移す努力が本格化する。森に暮らし、変わり者扱いされていたリチャード・ヘンリーがカカポ救済に奔走する(しかし徒労に終わる)エピソードは胸を打つ。脱線するが、ドラえもんの『モアよドードーよ、永遠に』は、絶滅した動物をタイムマシンで捕獲し、無人島を作って放す話だった。まったくドラえもんというやつは、示唆に富むにもほどがある。 ただ、安全地帯がないならネズミを駆除して作るしかない。毒薬を練りこんだ餌の散布で環境保護団体は大きな成果を挙げる。一方、「ある種を守るために違う動物を殺戮するのは人間の傲慢だ」という人々も当然存在する。「生物多様性」の維持は倫理の問題でもある。 さて、「個体数が増えすぎて生態系を脅かしている種」について考えるとき、「人間」を思いつかない、ということは難しい。環境学者の赤尾健一氏は「自然との共生関係は人間の人口調節なしにはありえず、それはしばしば(現代人にとっては)むごすぎる形で現れる。そして現代人はそれに耐えられない」と発言している(「村上龍/坂本龍一 21世紀のEV Café」より)。 手塚治虫の「ブラック・ジャック」はしばしば「自然と人間の優先順位」をテーマにしてきた(けがをした政治家よりイリオモテヤマネコの手当てを優先したりとか)。岩明均のマンガ「寄生獣」は、よりストレートに「人間を減らそうとする自然」がテーマだった。 最後に、筒井康隆の予言。 「どうせ人間は口さきだけで保護だの愛護だのと言いながらも鳥獣すべて殺戮し、最後には食いものがなくなって互いに争いはじめるのである。早いうちに鳥獣がまったくいなくなった世界を想定し、今のうちからどう対処すべきか考えておかないと、これはほぼ確実に、人間が人間を食いはじめることであろう。」(「私説博物誌」(1976年、新潮社)より) ・・・そうならないための答えが書いてあるわけではないが、「知る」きっかけにはなる。環境問題に関心があるなら必読。
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