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この道、一方通行
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2014/04/09 |
JAN | 9784622083733 |
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この道、一方通行
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商品レビュー
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哲学者ベンヤミンが道路標識や通りの名前をタイトルに採って綴った思索の断片集。 レベッカ・ソルニット『ウォークス』で紹介されていたので手に取った。ベンヤミンは初めてだが、散文詩のような語り口が意外に軽くて親しげな印象。元は1926年刊で、当時のドイツの空気がわかる章もある。ソル...
哲学者ベンヤミンが道路標識や通りの名前をタイトルに採って綴った思索の断片集。 レベッカ・ソルニット『ウォークス』で紹介されていたので手に取った。ベンヤミンは初めてだが、散文詩のような語り口が意外に軽くて親しげな印象。元は1926年刊で、当時のドイツの空気がわかる章もある。ソルニットの本からの流れで言うと、すでにこの時代に「運動の手段の豊かさと運動の自由の乏しさ」が語られているのだなと思った。 作家論というか物書き論みたいなのもユーモラスで面白いのだが、〈筆写〉が齎す官能を高く評価しているのが印象に残った。書き写すというのは記録が残るというだけではなく他者の文章を書くという運動でもあるのだという当たり前のことだが、読んだ本からの抜き書きノートをとっている私にはその意味がよくわかる。作家にとって「清書の意味は、それが書き記されてゆく際に、もはや文字の美しさにだけ注意が向けられるところにある」というのも、自作を客観視するのに大事なプロセスだったんだろうと思う。 評論的なところだと、「高級家具付き十室からなる住居」は探偵小説と19世紀インテリアの共犯関係を暴いていてとても面白かった。これって高山宏が言及してたことあったかな? 「おもちゃ」の「射的」はまるでジョセフ・コーネルの箱を文章で立ち上げようとしたかのようだし、からくり人形館に幻惑される人の心理を描いた「非売品」はもうほぼミルハウザーだ。切手についての章で、四方田犬彦『女王の肖像』に引かれていた一文に再会できたのも嬉しい。ベンヤミンのフェティッシュな語りはかなり好みだった。 ただ、「私たち」とは男性のみを指し、女は完全なる他者としてしか登場しないし想定読者にも含めていないとわかる書きぶりは当然だがソルニットとのギャップが激しく、ベンヤミンに限ったことじゃないのだが気になりだすとストレスである。まぁ百年前の本だし許してあげよう。
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美しい断章 新しい訳で滑らかに読むことができた。 こういう冴えた短文を、どのくらいの時間で書くものなのか。
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看板や広告、パノラマやからくり人形、建築とその室内など、都市生活を織りなすさまざまな文物を、文字像として捉え、それが喚起する思想をエピグラムのように書き留める、ベンヤミンによる都市のエンブレム集とも言うべき作品。その翻訳には、本訳書のような簡潔体の散文詩のような文体が相応しい。こ...
看板や広告、パノラマやからくり人形、建築とその室内など、都市生活を織りなすさまざまな文物を、文字像として捉え、それが喚起する思想をエピグラムのように書き留める、ベンヤミンによる都市のエンブレム集とも言うべき作品。その翻訳には、本訳書のような簡潔体の散文詩のような文体が相応しい。この作品は、ベンヤミンのほとんど片思いに終わった恋の相手アーシャ・ラツィスに捧げられ、エロスと歴史の極限へ向かう一方通行の道を指し示す。鋭敏な批評眼をもって思想を形象に込める彼の思考が、最も洗練された形式で表われているとともに、「暴力批判論」と「歴史の概念について」を結ぶ歴史哲学と、後に「人間学的唯物論」と定式化される思考とが凝縮されたかたちで示されている点で、訳者が述べるように、この作品は格好のベンヤミン入門とも言える。「ドイツのインフレーションをめぐる旅」は、この国の現在に恐ろしいほどぴたりと当てはまる。原書表題Einbahnstraßeの訳を「この道、一方通行」とする着想も卓抜。
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